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Blade & Dragon Dance 〜月天を焦がす銀剣竜舞〜  作者: 西順


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始末

 ウーヌム村を囲う四方の山々には、それぞれ主と呼ばれる竜がいる。北のメラニゲルに西のヴァイスリッター、東のベヒモスに、そして南のスターゲイザーである。


 スターゲイザーは八股の頭を持つ濃緑の多頭竜(ヒドュラ)である、と言う事以外あまり知られていない、情報のない竜だ。一説には、その昔は人間と契約していたが、その人間に裏切られて以来、人間嫌いになり、南の山に引きこもったとか。


 俺に正体を看破された為に、苦々しげに歯軋りをする黒青(ミラジオ)


「は、ははは、良く分かったな?」


「情報から推理しただけだ。西の山はメラニゲルが倒れて以来、北や東、南の山から竜たちが集まっているらしい。そしてそれと時を同じくして始まった西の山での幼竜狩り。俺はもしかしたら西の山に人間と通じて、幼竜を捌く裏切り者がいるんじゃないかと考えた。そして西のアームデン領に詳しいお前だ」


「ちっ、おしゃべりが過ぎたか」


 ミラジオは舌打ちすると、人間の姿から黒青の竜の姿に変身して見せる。どうやら奴の認識阻害はこんな事まで可能であったらしい。竜に変化したミラジオに、驚き(おのの)く西の竜騎士たち。直ぐ様己の相竜に跨がり、竜となったミラジオを取り囲むが、ミラジオは霧のブレスを吐くと、その姿はその認識阻害のブレスによって掻き消える。


「はっはっはっは、今更私の正体を見破ったからと言ってどうなる? ここにいる者たちは、もう王都に攻め入るしか選択肢が残っていないのだ! 貴様に何が出来る? 何も出来ないさ!」


 ミラジオの声はそんな言葉を残しながらどんどんと遠ざかっていった。そしてその言葉の通りと言うべきか、この場の者たちの視線は俺へと向けられた。


 アームデン伯爵が腰の剣を抜いて、その切っ先を俺の喉元に向ける。


あの竜(ミラジオ)の言う通りだ。我々には国家転覆以外に生き残る道がないのだ。貴様をここで殺し、我々は東に進軍する!」


 切羽詰まってるなあ。竜に騙されたとは言え、竜騎士を集めて反旗を翻してしまったのだ。ここにいる全員、死刑か、良くて国外追放だろう。ならば王都に攻め入り政権を奪取する以外に道がない。だが、


「な、何だ!?」


 地面が、停留地が金色の光に輝き出した事に、アームデン伯爵や竜騎士たちに動揺が走る。


「何が起こっている!?」


 配下の竜騎士に尋ねるアームデン伯爵だったが、竜騎士たちにも分からない。そして俺を睨み付けるアームデン伯爵。


「貴様何をした!」


 どうやら俺はアームデン伯爵に向かって、笑みを浮かべていたらしい。


「笑うな!」


 腹を蹴飛ばされ、息が詰まる。


「は、伯爵!」


 伯爵に、上空から様子を窺っていた竜騎士が報告する。


「何だ!? 何が起こっているのか分かったのか!?」


「この光、魔法陣を形成しているようです!」


「魔法陣だと!?」


「これは! この陣は! 契約解除陣!?」


「なっ!?」


 その竜騎士の言葉に、場にいた竜騎士たち全員が驚愕の声を上げる。契約解除陣とは、その名が表す通り、竜との契約を解除する為の魔法陣である。


「貴様、まさか!」


 縄でぐるぐる巻きにされた俺の胸ぐらを掴んだアームデン伯爵は、俺の右腕からミストルテインが、地面に向かって放射状に伸ばされているのを知った。


「それは!? ちっ!」


 剣でもって俺を殺そうとするアームデン伯爵だったが、もう遅い。


契約解除(コンセレーション)


 俺が呪文を唱えた事で、契約解除陣が発動し、停留地が金色の光に包まれる。



 光が収まった後の停留地は酷いものだった。余程騎士たちに不当な扱いを受けてきたのだろう。契約から解放された竜たちが、そこかしこで自身と契約していた騎士を襲う姿が目撃された。中には竜との契約が解除されても、竜との絆が今まで通りの竜騎士と竜がいたが、それは全体から見れば極少数に留まった。


「貴様! 直ぐに契約陣を展開しろ!」


 俺の胸ぐらを掴んで、アームデン伯爵や他の貴族、騎士たちが俺に脅迫してくる。


「はっはっは。無理だな」


「何だと!?」


「だって俺は契約解除陣の中央にいたんだよ? 俺の契約だって解除されているさ」


 そして竜と契約が解除された人間に、魔法は使えない。


「なっ!? ならこの事態、どうやって収めるつもりだったんだ!」


「収めるつもりなんて最初からないよ。この場の全員道ずれにして死ぬつもりなんだから」


「なっ!?」


 俺の言葉に、崩れ落ちる貴族、騎士たち。


「それより、俺に構ってて良いのかい? お迎えが来ているみたいだけど?」


 俺の方を見ていた貴族、騎士たちが振り返ると、そこには貴族や騎士たちが契約していたのだろう竜たちが地に降り立ち、こちらを向いて大口を開けていた。ブレスか。これが俺の最期かな。


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