表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Blade & Dragon Dance 〜月天を焦がす銀剣竜舞〜  作者: 西順


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

121/128

西の山へ

「『竜狩り』ですか?」


 竜狩り組合所のお姉さんは、明らかに「この時期」に? と不思議そうにこちらを見てきた。


 まあ、それはそうだろう。国中が新たに出現した黄金迷宮(ダンジョン)に夢中になっていると言うのに、発見者? がそれを無視して竜狩りをしたいと言っているのだから。


「ええ、まあ」


 俺はそれに対して苦笑いだ。俺たちの後ろでは、知らない竜狩りたちが笑っている。しかし人が増えた。黄金迷宮に挑む為だろう。以前の五倍くらい人がいて、ぎゅうぎゅうにひしめきあっている。


「人、増えましたね」


「ええ。国中はおろか、周辺各国からも竜狩りやら魔物狩りが、このウーヌム村にやって来ていて、未だにその数は増え続けていますから」


 そうなのか。どうやらダンジョンの出現と言うのは、俺が思っていたよりも凄く大事のようだ。黄金迷宮が出現してまだ十五日程度だと言うのに、その情報は既に他国にまで轟いていたらしい。


「まあ、お陰で、宿に食事処に道具屋に鍛冶屋と、施設が圧倒的に足りなくて、村は建設ラッシュですよ。この竜狩り組合所も、手狭になってしまったので、増築と人員の補充を、大工さんやら他の組合所に声掛けている所です」


 大変そうだ。父に言ってウーヌム村でしばらく働いて貰うか? いや、夏は薬草採取の最盛期だ。そんな暇はウチにはないな。などと考えていると、お姉さんが俺の耳元に顔を寄せてきて囁く。


「そのせいで村では喧嘩やら脅迫やらの犯罪も急増してしまって、王都から衛兵なんかも増員されているわ」


 本当に大変そうだ。ううむ、しかしこの村に来る人たちの目的がみんな黄金迷宮となると、


「竜狩りの手伝いをしてくれる、他の竜狩りも募集しようと思ってたんですけど」


「集まらないと思うわ」


 ですよね。俺は五人を見遣るが、皆苦笑いをしている。他の竜狩りたちを見ても、俺たちを見てニヤニヤ笑うばかりで、儲け話だと食い付く感じはなかった。


 さて、どうしたものか。このまま「人が集められなかった」と言って家に帰れば、親にどやされるだけだろう。幼竜であれば俺たち六人だけでも捕獲は出来るだろうが、まだ巣立ちをしていない幼竜は、親竜から離れて行動しない。運良く幼竜を捕獲出来ても、親竜と戦うのは必至となりそうだ。


「狙うなら、巣立ちをしたばかりの成竜だな」


 と口にするカルロス。


「ええ? 一匹狼的なはぐれ竜じゃない?」


 とはマイヤー。


「能力を考慮しないなら、老竜と言うのもアリなんじゃないか? 竜は長生きだ。老竜とは言え百年は生きるだろう」


 こっちはショーン。その他にも皆あれやこれや自身の意見を言い合う。どうやら五人ともここで諦める気は毛頭ないらしい。


「なら、狙うは西の山ね」


 と組合所のお姉さん。


「西、ですか?」


「今、東の王都方面ルートと南の港ルート、そして北の山のメラニゲルがいなくなった事で、北のシャニアル公爵領からのルートが新しく開通したの。竜たちもあまり人がいる所を好まないから、今、周辺の竜たちは西に集まりつつあるようなの」


 流石は竜狩り組合所のお姉さん。竜の情報に詳しいな。


「西の山、と言うと、ヴァイスリッターですね」


「ええ」


 首肯するお姉さん。


「ヴァイスリッター?」


 リオナさん以外の、ウーヌム村周辺に詳しくない四人が首を傾げる。


「ヴァイスリッターって言うのは、メラニゲルと同等の力量を持つと言われている、西の山の主の白竜の事だよ」


 俺の言葉に、四人は明らかに嫌そうな顔をした。それはそうだろう。メラニゲルみたいな化け物とは、もう戦いたくないからな。だけど皆、この周辺には西の他に南や東にも、メラニゲルと同等の、主と呼ばれる竜がいるんだよ。まあ、言わないけど。


「しかもここ何年かの話なんだけど、西の山では、ヴァイスリッターの他に、二頭の白竜が確認されているのよ」


「二頭、ですか? それって……」


 首肯するお姉さん。俺が言いたい事が伝わったのだろう。その二頭とは、恐らくヴァイスリッターの血縁だろう。もしかしたらヴァイスリッターの子供かも知れない。ううむ。下手にそんなものに手を出せば、あっという間に俺たちの首が飛びそうだ。これは思った以上に気を引き締めて取り掛からないといけなそうだな。


「取り敢えず、西の山に行ってみよう。危ないと感じたら即退却で」


 俺の言葉に五人が頷く。俺たちは組合所を出ると、一路西の山へと向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ