対メラニゲルその3
俺とアルジェントは戦場の遥か上空にいた。何が起こったのか分からす、俺は呆然とする。
「グルルル……」
その時アルジェントが一声鳴いた。それで俺は理解した。黄金の武器をアルジェントにぐるぐる巻きにした事で、黄金になったメラニゲルのように、パワーアップしたのだと。まさかこうなるとは思っていなかった。だがこれなら……!
「アルジェント、いけるか?」
「グルルル!」
そう言えばアルジェントは諦めないやつだった。どこまで出来るか分からないが、俺も、アルジェントと共に限界まで戦ってみよう。
「いくぞ! アルジェント!」
俺はアルジェントの背に取り付けられた鞍の取っ手を強く握り込むと、前傾姿勢になった。アルジェントは俺が前傾姿勢になったのを確かめると、メラニゲルに向かって急降下突撃を開始した。
どこにいったのか? と辺りを探し回っていたメラニゲルの直上から、アルジェントがぶち当たる。と、メラニゲルはくらくらとなって地面に膝を付いた。効いている。
「アルジェント!」
俺の掛け声に呼応して、アルジェントは更なる突撃を開始するが、これはメラニゲルに避けられ、逆にこちらが突進を食らってしまった。しかしそれにも耐えるアルジェント。
アルジェントは直ぐ様体勢を立て直すと、メラニゲルにまた突進する。これに耐えたメラニゲルも、こちらへと突進してくる。アルジェントとメラニゲル、高速で突進を繰り返し、互いにダメージを蓄積していく。
しかしこのままでは駄目だ。体格が違い過ぎて、先にこちらがダウンしてしまう。どこかで一発逆転を狙わなければ。しかしその隙が見当たらず、互いに突進を繰り返すばかりで、俺は振り落とされないように掴まっているのでやっとだった。
どこかで……、どこかで……、
その瞬間は唐突に訪れた。アルジェントとメラニゲルが互いに衝突した次の瞬間、メラニゲルの後方から、リオナさん、アイン、マイヤーが、メラニゲルの背中の一点を狙って、黄金の武器を突き刺したのだ。
三つの武器で一ヶ所を攻撃されては、流石のメラニゲルも一瞬動きが止まった。振り返り尾の一撃で三騎を叩き落とすメラニゲル。しかし三人のお陰で一瞬だが時間が稼げた。
「アルジェント! ルナ・バースト!」
ルナ・バーストはメラニゲルに効かない。しかし俺の黄金の武器で強化すればどうだろうか? 俺は黄金の武器でアルジェントの口周りを囲い、ルナ・バーストと黄金の武器を共鳴させる。
月色の閃光をメラニゲルに向かって放出するアルジェント。仕掛け通り強化されたルナ・バーストが、メラニゲルの頭を襲う。閃光と爆発が轟き、俺たちはメラニゲルから吹き飛ばされて地面に叩き付けられた。
「……うぐっ、どうなった?」
全身激痛に襲われながらメラニゲルの状態を視認する。すると、メラニゲルの黄金に覆われた頭は、アルジェントの強化されたルナ・バーストによって、跡形もなく吹き飛ばされいた。
「やった……! のか?」
頭のないメラニゲルを見ても、勝ったのか自信が持てなかった。何せ今までなら、死体から黄金が乖離して、死体と黄金の直方体に分かれていたからだ。それなのにメラニゲルは頭を吹き飛ばされ、活動を停止させたと言うのに、黄金が身体から乖離しない。
勝てたのか? それともここから復活があり得るのか? その動向を見守っていると、頭のないメラニゲルの黄金の身体が、波打ち始めた。そして急激に膨張を始めるメラニゲルの身体。
「た、退避!」
俺たちは相竜に跨がると、膨張するメラニゲルに巻き込まれないように、その場から離脱する。逃げても逃げても追い掛けてくるように膨張するメラニゲルは、それ自体が小山か城か塔か要塞のようにその身体を変化させると、その姿でこの世界に固着していった。
「ブレイド殿!」
リオナさんたちも、どうやらメラニゲルの膨張に巻き込まれず済んだらしい。ちゃっかりショーンとルブルムもいる。
「ブレイド殿! これは!」
リオナさんの言いたい事を汲んで、俺は首肯する。
「ええ! これは黄金迷宮です!」
黄金へと変化した竜は、今度は黄金の迷宮へと変化した。




