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Blade & Dragon Dance 〜月天を焦がす銀剣竜舞〜  作者: 西順


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決断

「いや、あれは心臓に悪いな!」


 五人、竜に跨がり次の流星墜落現場に向かう間、俺は思わずアインに苦言を呈していた。


 得体の知れない黄金の直方体に、アインは文字通り飲み込まれたのだ。俺もああなっていたのかと思うとゾッとする。直ぐに直方体は腕輪へと姿を変じたが、あれでは心配するな、と言う方が無理があった。


「アイン! 大丈夫なの!?」


 無茶をしたアインを、マイヤーは心配して声を掛けるが、当の本人は「大丈夫だ」と返答するのみだ。まあ、俺もそう返事をするし、実際、黄金の剣を振るわなければ、身体に不調は現れないのだ。


「次の目的地が見えてきたぞ!」


 マイヤーの心配を振り払うように、アインが竜上から俺たちに告げる。次の流星墜落現場にいたのは、ジャイアント・アントの群れだった。


 ジャイアント・アントは小さくとも人間の子供ぐらいはある、蟻型の魔物だが、残念ながら今回俺たちが相手をするジャイアント・アントは、成人並の大きさだ。その上、既に全身を黄金色に輝かせている。これではリオナさんやマイヤー、ショーンの攻撃は通らないだろう。


 俺とアインは、互いに目で合図を送り合い、その後リオナさん、マイヤー、ショーンの三人ともアイコンタクトを交わすと、この戦いは俺とアインに託される事になった。三人はとても苦しそうな顔をしていたが。


 地上を這いづるジャイアント・アントたちは、あらゆる物を噛み砕くその顎で、植物も、動物も、魔物も、全てを破壊しどこかへ向かっていた。いや、その先を俺は分かっている。別の流星墜落現場だ。奴らは更に流星の欠片を取り込んで、より強大になろうとしているのだ。


 それはさせられない。俺は上空からジャイアント・アントに向かって、黄金の槍を撃ち込んだ。黄金の槍は穂先を枝のように何本にも分かちながら、ジャイアント・アントを刺し貫いていく。


 この蟻たちにも、流星の欠片から作られた黄金の武器は、威力を発揮するようだ。その上、蟻たちは上空の俺たちを攻撃する術を、持ち合わせていないようだった。群体として流星の欠片を取り込んだ事で、群れとしては強大になったが、個としてはあまりパワーアップしなかったようだ。


「いけるぞ! アイン!」


 俺が振り返ってアインの方を見遣ると、アインの右腕に巻かれた黄金の腕輪は、波打ちながらアインが持つ槍へと移動していく所だった。そうしてアインの槍を完全に取り込んだ流星の欠片は、アインの槍を五又の黄金の槍へと変貌させた。


 そしてアインがその五又の槍を振るうと、光が迸り、次の瞬間には、ジャイアント・アントのいる地上で爆発が起こっていた。


 なんて威力だ! アインと俺とでは、明らかにパワーアップのしかたが違う。流星の欠片は、個人の性質に合わせて出現する変化が違ってくるのかも知れない。


「その槍って、曲げられるのか!?」


 俺が馬鹿みたいな質問をすると、


「曲げられると思うか!?」


 とアインから返答が来た事からも、俺に確信を持たせた。


 とにかく、曲がらなかろうが、穂先が枝分かれしなかろうが、アインの槍の威力が凄まじいのは事実だ。俺とアインは手分けして俺たちの攻撃に慌てふためき、散り散りになっていく蟻たちを駆除していった。



 そして全てのジャイアント・アントを駆除し、女王蟻まで倒した所で、三個目の黄金の直方体が現れた。


 これはどうしたものか、と俺は考えてしまった。俺かアインが触れれば、更なるパワーアップが期待出来るが、今後の事、メラニゲルともし戦う事になった場合を考えると、残る三人のうちの誰かに触れて貰い、パワーアップして貰うのも手段の一つだ。


 何より、先程のジャイアント・アントとの戦いで、身体が悲鳴を上げていた。やはり流星の欠片を使用するのは、相応の負荷を覚悟しなければならない。となるとこれ以上流星の欠片を取り込む事は、更に身体に負荷をかける事になる。メラニゲルとの戦いの前に、流星の欠片の負荷で身体が駄目になりそうだ。


 四人も色々思考を巡らせたのだろう。誰が触れるべきか、皆で目配せして牽制し合うような、微妙な間が出来ていた。


「私がいきます!」


 名乗りを上げたのはリオナさんだった。その決断に異を唱える者はいなかった。この場の五人に、何が正しいのか判断出来る者がいなかったからだ。だから決断を下したリオナさんを、他の四人で尊重した。


 リオナさんは黄金の直方体の前に進み出ると、右手を伸ばしてそれに触れた。瞬間、黄金の直方体は波打ってリオナさんの右腕に絡み付き、その後苦痛から呻き声を上げるリオナさんを、その黄金が包み込んだ。


 そして直ぐに吐き出すようにリオナさんは黄金から開放され、流星の欠片はリオナさんの右腕に、俺やアインのような黄金の腕輪となってくっ付いたのだった。


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