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Blade & Dragon Dance 〜月天を焦がす銀剣竜舞〜  作者: 西順


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春の暮れ

「はあ~」


 玉座に座るガラク王は、俺の報告を聞くなり頭を抱えていた。それはそうだろう、隣国ボロス王国で起こった事が、自国でも起こっていたのだから。


「テオドール、ゴードン、直ぐに竜騎士団と調査団を編成して、バイラッハ領のマスカル港へ向かえ。メサイア教国の船は全て差し押さえて、船内を調べろ」


「はっ!」


 王命を拝した大臣と竜騎士の両名は、直ぐ様謁見の間から退出していった。


「ブレイド」


「はっ!」


 王から俺に直々にお言葉が下る。


「スィードに言って、解毒薬を用意してくれ。こちらでも用意するが、バイラッハでは多数の中毒者が出ていると考えられる。数が圧倒的に足りないはずだ」


「分かりました。母に伝えておきます」


 ガラク王は父だけでなく母の事も知っているようだった。



「学院で魔剤の中毒者が多数出たですって!?」


 家に帰るなり、母に魔剤の解毒薬を出来るだけ用意してくれるように頼むと、理由を求められて事情を話した。


「それで、王はどのような判決を下したの?」


「ファンタズマ流の三十三名は退学。そのまま学院外に出すのも危険だから、王都の牢獄にぶち込まれたよ。ファンタズマ流の指導をしていた先生も退職だって。魔剤中毒になった貴族の子供たちは解毒薬で回復してから貴族の学校に編入する事になるみたいだけど、平民の子供はどうなるか分からない」


「そう。バイラッハはどうなの?」


「お家取り潰しで、近隣三領に併合されるみたい」


「そうなるとマスカル港をどこが取るかで、貴族のパワーバランスも変わってくるな」


 と父。そうなのか? 貴族の権力争いとか良く分からないな。


「でも分かったわ。出来るだけ多く解毒薬を用意するわね」


 と母は言うと、錬金術用の部屋に引き込もっていった。


「しかしメサイア教国か。それだけの事をしでかしたんだ。もう取り引きはしないだろうな」


「だろうね」


 何だか、世界情勢が物騒になってきたなあ。



 母はあれから毎日解毒薬を作り続けている。それを朝一に竜騎士がやって来て、バイラッハ領に運んでいくのだ。


 バイラッハのマスカル港はかなり酷いものになっている、と解毒薬を引き取りにきていた竜騎士が教えてくれた。


 港町のマスカルでは、魔剤は奇跡の妙薬として町民の持て囃され、全町民の七割が魔剤に手を出していた。それだけでなく、魔剤は商隊によって近隣三領、更に王都ガラクシアにまで運ばれてきていた事が分かった。


 事ここに至り、ガラク王はガラク王国全土に魔剤の行方調査を実施。結果少数ながら魔剤が各地によって、回復ポーションとして普通に売られていた事が明るみに出た。


 そしてガラク王国は国際法に則り、メサイア教国に損害賠償を請求した。が、メサイア教国はこれを却下。これによってガラク王国はメサイア教国に対して宣戦布告するに至った。



 ガラク王国とメサイア教国による戦争は、春の暮れに開戦した事から、暮春戦争と呼ばれる事になる。


 暮春戦争は当初、ガラク王国の一方的な勝利で終わると予想されていた。しかしそれを覆したのが、ラードーン王国の介入である。


 暮春戦争の直前に、ラードーンでは一部貴族と平民によって反乱が起こり、王家は国外脱出を余儀なくされた。助けを求めたのがガラク王国である。ガラク王国がこれを受け入れた事により、ラードーンはメサイア教国と同盟を結び、ガラク王国に戦争を仕掛けてきた。


 メサイア・ラードーン同盟とガラク王国との戦争は、互いの戦力が拮抗していた事で長期化するかと思われたが、そこに新たな国が参戦した事で、事態は急転する。ボロス王国である。


 水と油のガラクとボロスだったが、今回ボロス王国が味方したのは、ガラク王国だった。


 メサイア教国にはボロス王国も痛い目を見せられていた事、ボロス王国の王妹の娘であるミリアムが、現在ガラク王国にいる事など、様々な理由が挙げられるが、本当の理由は俺には分からない。


 しかしこれによって戦争の情勢はガラク・ボロス同盟に傾き、暮春戦争は夏の中頃に、ガラク・ボロス同盟の勝利で終結した。


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