プロローグ
初投稿です。拙い文ですが、ご容赦ください。
「言ってきまぁす!」
高校二年の、夏の日差しが強く、セミの鳴き声がうるさい日。なんでもない夏休みの一日。
俺は友人が出る野球部の試合の応援に行く為、意気揚々と自転車にまたがった。
高校入学の時、遠い田舎に住む祖父がお祝いとして買ってくれたお気に入りの自転車だった。
力強くペダルを踏みこむと、ムワっとする夏の空気を切り裂くように加速してゆく。
(おっと、止まるか)
交差点の信号が黄色へと移り変わる。ここの交差点は良く事故が起こりやすいから注意しろと小学校から言われてきた。
そして持ってきたペットボトルを口に付けようとしたその時。
キキ―ッ!!
と車が急ブレーキをかける音が響いた。急いであたりを見渡すと今動くはずの無い、赤で止まっているはずのトラックがこちらへと迫ってきた。
「おい、嘘だろ!!?」
俺は何も考えず、無我夢中で乗ってきた自転車を乗り捨て走った。
ブォォォンという重厚なエンジン音はなおも後ろで響いている。
「やばい!やばい!やばい!!!!!」
懸命に足を動かす。がトラックは止まる様子はない。
(もうだめだ!ぶつかる!)
そう諦めて、俺は、とっさに、ほぼ無意識に、目を瞑った。