55 奨励会が始まったんだよね
『奨励会』に入ったんだよね
『奨励会』というのは正式には『新進棋士奨励会』なんだよね
誰も呼ばないんだよね
っていうか呼べないんだよね
東京と大阪の2か所にあるんだよね
東京の渋谷の将棋会館が関東奨励会なんだよね
大阪の福島区にある関西将棋会館が関西奨励会なんだよね
正式に言える人は少ないんだよね
・・・言えた?言えなかったと思うんだよね
入るには棋士の推薦と試験が必要なんだよね
試験は一年に一回なんだよね
三日間に渡って行われるんだよね
初日は筆記試験と受験者同士の2対局なんだよね
二日目が受験者同士の3対局なんだよね
ここまでが一次試験なんだよね
ここで合格すると三日目の奨励会員との3対局と面談なんだよね
合格すると奨励会に入れるんだよね
あと下部組織の研修会から勝ちあがると一次試験は免除されるんだよね
二次試験は受けなきゃいけないけど、だけどね
ボクはこっちなんだよね
でも師匠が勝手に手続きしていたんだよね
おかげで連れて行かれた先が二次試験の会場でびっくりしたんだよね
要は騙されたってことなんだよね
もちろん試験は受けたんだよね
ここで受けずに師匠と口論するなんてできないんだよね
将棋界に伝説を作ってしまうんだよね
ストーカー、もとい将棋フアンとしてはそんな伝説はいらないんだよね
昭和の時代にはないけれど未来だと『初段受験制度』と『三段編入試験』があるんだよね
前者はアマチュア大会の優勝者か準優勝者、後者は優勝者が対象で奨励会員との対局の結果で奨励会に入れるんだよね
あ、初段とか三段とかだけど一番下は7級なんだよね
そして徐々に上がって行って1級の次が初段、そして三段になるんだよね
三段で勝ち上がると四段なんだよね
囲碁だと初段がプロだから間違える人がいるかもしれないんだよね
間違えると恥ずかしいから、間違えないようにしたほうがいいんだよね
隔週の日曜に対局があって7割勝たないといけないんだよね
負けが続くとBが付くんだよね
Bとは降級点のことなんだよね
なぜBなのかは誰も知らないんだよね
あと、年齢制限があって26歳になると退会しなければならないんだよね
才能がないからあきらめて普通の仕事についてね、ってことなんだよね
でも大抵の人は将棋関連の仕事に就くって言われているんだよね
もっとも二度と将棋を指さないって人もいるんだよね
ボクは研修会に入るってのは了解したんだよね
モノに釣られたんだよね
大規模災害でなくなるモノをゲットしたいからなんだよね
でも奨励会に入るとまでは言っていないんだよね
奨励会に編入出来る資格ができた時点で師匠が勝手に話を進めていたんだよね
師匠は東海地方に棋士は少ないのをいつも嘆いているんだよね
本当に五月蠅いくらいなんだよね
そんな時に小学生の大会で優勝したボクの話を聞いたんだよね
カモがネギ背負ってやってきた、ではなく育てて見たいと言ったそうなんだよね
いやリアルで育ゲーやられても困ると思ったんだよね
ボクの中身ジジイなんだよね
大人の都合で子供を振りまわすというのはどうかと思うんだよね
子供の都合で大人を振りまわすというのはいいんだよね
おじいちゃんは楽しそうだからなんだよね
しかし現役の棋士は凄かったんだよね
詰め将棋のように詰めにかかったんだよね
絶対に奇襲戦法の騙し打ちなんだよね
だからいつか恩返ししてやろうと思っているんだよね
将棋界の恩返しは公式戦で師匠を負かすことなんだよね
絶対にやってやるんだよね
研修会は栄でできるんだよね
家からバスで1本、約1時間なんだよね
ここまでならまあ小学生的にはギリセーフなんだよね
ところが一番近い関西将棋会館なんて朝の5時に出ないと8時に着かないんだよね
おまけにボクは小学生なんだよね
新幹線に乗って通うとかありえないんだよね
ここで初めて棋士が内弟子をとることの意味を知ったんだよね
地方の奨励会に通えない子供を東京なり大阪なりの師匠の家で預かって通わせるんだよね
内弟子なんて意味のない時代錯誤だと思っていたんだよね
廃れてざまあみろと思っていたんだよね
でもそれが間違っていたことに気がついたんだよね
将棋マニアとしては嬉しい誤算なんだよね
ちょっと脱線したんだよね
元に戻すんだよね
執念を持った棋士は凄かったんだよね
周りの人間を味方につけるは、泣き落しにかかるは、その他イロイロしたんだよね
・・・ここで拒否したら人間失格とか追い詰めるのはどうかと子供心に思ったんだよね
結果として強制的に奨励会に入ることになったんだよね
もっとも(嫌がらせのために)通うのを手助けしろという約束はさせたんだよね
ボクの中身はジジイなんだよね
それくらいはできるんだよね
騙し打ちと包囲網で奨励会に入れられたので仕方がないから
将棋をしよう!
なんだよね




