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ある朝トイレに入ったら便器がきれいに消えていた  作者: 烏川 ハル


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1/2

前編

   

 カーテンの隙間から差し込む朝日で、目が覚めて。

 布団をはねのけた俺は、ベッドからも部屋からも出て、短い廊下を歩いて、トイレへ向かう。

 ここまでは、いつもの朝なのだが……。

 トイレの扉を開けると、そこにあるはずの便器がなかった。


 腰掛便器というのが、正式名称だっただろうか。ごくごく一般的な、洋式の水洗便所。

 普通ならば視界に入るはずのそれが、すっかり消えていたのだ。

 いつも俺が尻を座らせていた便座部分も。

 トイレの床とガッシリ繋がっていたはずの便器本体も。

 水洗便所の命ともいえる水を大量に蓄えていた水洗タンクも。

 何から何まで、きれいサッパリなくなっているのだった。


 奥の壁からは、水洗タンクと繋がっていた金属菅が、取り残されたように虚しく突き出している。

 また、トイレの床には、ポッカリと穴が空いていた。今まで水洗便器で流された汚物は、ここを通って下水道へ向かっていたのだろう。しかも、蓋になっていた便器が消えたせいか、プーンと悪臭が立ち上っている。

「おい、おい。これ、どうしたらいいんだ……」

 朝の尿意も忘れて、そんな言葉が口から飛び出した。

 くさいならトイレから出ればいい、とか。

 うちのトイレが使えないなら他を当たるしかない、とか。

 一番近くの公衆便所はどこだっけ、とか。

 そうした冷静な判断力も、いざとなったら失われてしまう。ただただ唖然として、しばらくの間、何もないトイレで何もせず、ボーッと突っ立っていたら……。

 突然。

 どこからか、ザーッという音が聞こえてきた。

 続いて、視界が一瞬、歪んだかと思ったら、消えた便器が戻ってきた。

「あれ? 見つかっちゃったかな?」

 便器の横に立つ、一人の不審者と一緒に。

   

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