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ミスクラ! ~旧校舎の六不思議~  作者: 直井 倖之進
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最終章 『今明かされる旧校舎の六不思議、七番目の真実』②

 運命の(とき)、午後八時を迎えた。

 権田巡査部長と一緒に、校内で合流した美奈が連れ立って交番内に入ってきた。

「あれあれ? 皆、真剣な顔しちゃってどうしたの? あ、分かった。旧校舎に行くのが怖いんでしょう? でも、大丈夫よ、先生がついてるんだから」

 何も知らない美奈が、開口一番おどけた様子で胸を張る。

 だが、彼女を大好きな颯太でさえも、その茶目っ気に反応することはなかった。

 彼は、

「いいから、さっさと旧校舎に行くよ」

 との言葉を残し、先頭に立って交番を出て行った。

「何か怖いよ、颯太君」

 泣きそうな顔になって美奈が彼を追いかける。

 次に、

「それでは権田さん、真中さんをお借りします」

 そう丁寧に頭を下げ、優冴、充、朱音の三人が交番をあとにした。

 最後に残った真中に、権田巡査部長が言った。

「真中、子供たちの安全をしっかりと守れよ。あと、ついでに、お前の“びびり癖”も直してこい」

「はい。行ってきます」

 警察官らしい歯切れのよい返事とともに真中は、懐中電灯を手に西桜小学校内交番を飛び出した。


 新校舎を出てから右手にまっすぐ進むと、旧校舎の正面玄関が見えてくる。

 玄関付近のコンクリートが敷かれたスペースには、明朝の校舎解体を控えて、ショベルカーやブルドーザー、ダンプカーなどが置かれていた。

 それらの重機を横目に、五人の子供たちと真中、美奈が歩く。

 彼らは、正面玄関前までやってきた。


「あー、明日壊すっていうのに、まだ警備なんかしてる」

 玄関のガラス扉の先、天井付近に見える赤い警備ランプを指さして、美奈が頬を膨らませた。

「ど、どうしたんですか? 何か問題でも?」

 妙に緊張した様子の真中が、彼女に尋ねる。

「いいえ。大したことではないんですけど、旧校舎の自動警備がまだ作動しているみたいなんです。新校舎のほうで一括管理しているので、そちらで解除するしか……」

「じゃあ、僕が行ってきますよ」

「本当ですか!」

 真中の申し出に一瞬喜ぶ美奈だったが、すぐに首を横にふって続けた。

「あ、やっぱり駄目です。だって真中さん、自動警備の解除の仕方、ご存知ないでしょう?」

「そういえば……」

「大丈夫です。私が行ってきます。真中さんは、子供たちを見ていてください。それと、あの赤いランプが青に変わったら解除されたって証ですので、校舎の中に入っても平気です。こちらが、旧校舎の鍵です」

 右手で警備ランプを示し左手で鍵を渡すと、美奈は大急ぎで新校舎へと戻って行った。

「……さて、どうしようか?」

 遠ざかる美奈の背中を眺めながら、真中が誰にともなく意見を求める。

 それに優冴が答えた。

「じっと待っているのも何ですから、先に、中庭の花壇を見に行きませんか?」

「花壇って、殺人現場かい?」

 暗くてよく分からないが、真中は顔色を青くした。

「はい。とはいえ、もう十一年も前の現場ですけどね」

 そう言ってひらりと方向転換すると、優冴は、正面玄関に向かって右手にある中庭へと歩を進め始めた。

「よし、ウチらも行ってみよう」

 理沙の声をきっかけにして、他のミスクラメンバーも歩き出す。

「ち、ちょっと待つんだ。勝手な行動は控えて」

 そんな注意をしながらも独りになりたくない真中は、急いで子供たちのあとを追うのだった。

 ご訪問いただき、ありがとうございました。

 次回更新は、9月23日(日)……と、いつもならば続くところなのですが、今回は少し違います。

 実は、Seesaaさんで続けておりますブログ、『不惑+2 直井 倖之進の日常』が9月22日(土)で2周年を迎える運びとなっておりまして、その記念に、こちら小説家になろうさんにて掌編を掲載させていただこうと考えております。

 タイトルは『嫌忌者』。400字詰めの原稿用紙換算で40枚に満たない作品です。

 よろしければ、本作同様、『嫌忌者』につきましてもお目どおしいただけましたら幸いです。

 そういうわけで、次回更新は、『嫌忌者』で9月22日(土)。なお、『ミスクラ!』の更新は、通常どおり23日(日)に行います。

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