プロローグ-3
鬼畜野郎注意。
主人公が転生する前の話です。
「ゼジルくん、今日も頼んだよ」
「っち、めんどくせぇ」
いつものように食料の入った大きな袋を渡される。
ったく、なんで俺様が汚い獣人に餌をやらないといけないんだ。
「あと、奴隷たちを殴ったりしちゃ駄目だよ!跡が付くと売り物にならなくなるんだから!」
「分かってるよ!」
お前は奴隷が殴られるのが嫌なだけだろうが。
あれは態度がムカついたから立場を教えてやっただけだ。
そういう躾けをしないから、いつまで経っても奴隷が売れないんだ。
親父が死んであれから二年。
店主があのお人好しエルフに代わってから奴隷が売れる気配が全く無い。
なんで親父はあんな奴に店を譲ったんだか。
まぁ毎日満足な食事をくれる分には感謝してるがな。
さて、今日も奴隷たちを躾けてやるか。
奴隷どもが居る地下牢への階段を、音を立てながらゆっくりと下りる。
俺が地下牢に現われると、怯えた雰囲気が伝わってくる。
くっくっく。いいねぇ。
さて、どいつから躾けてやろうか。
人族の奴隷は全部売れちまって、残ってるのは汚い亜人だけだ。
どれも違う鳴き方をして俺を楽しませてくれる。
そうだ、最近入った猫人族からやってやろう。
他の奴よりは反応が良いからな。
一番奥にある牢屋に行き、中の様子を見る。
「っち、寝てやがる」
鉄格子を思い切り蹴り上げる。
大きな音が響き渡り、中に居る猫人族の少女はビクッと体を震わせた。
「ひぃっ・・・」
「オラッ!起きろ!」
声を上げると、怯えて隅っこのほうへ逃げ蹲り、震える少女。
「ごしゅじんさまぁ・・・たすけてぇ・・・」
「何ごちゃごちゃ言ってんだ!」
さらに鉄格子を蹴り続ける。
怯える少女の様子に満足しながら、どう躾けてやろうかと考える。
その時。
「あぶねっ!」
急に足のバランスが崩れ、体が後ろに向かって倒れていく。
鉄格子を蹴り損ねたと理解した時にはもう遅く、後頭部に強い衝撃が走ると同時に、意識が遠のいていった。
※主人公は鬼畜野郎にはなりません。ご安心ください。