プロローグ-2
猫視点です。
ある所に、一匹の子猫が生まれた。
何も見えない視界の中、子猫は本能の赴くままに親猫の母乳を求め探る。
だが親猫はどこかに行ってしまったのか、それに辿りつくことはできなかった。
しかし子猫は諦めずに、探し続ける。
「ミー、ミー」
ふと、何かの音が聞こえてくる。
「ミー」
子猫は、音が聞こえてきた方に向かって、一生懸命に手足を動かし歩む。
そして、なにかの気配を察知する。
それが何なのかは分からないが、とにかく子猫はそれに向かって歩み続ける。
そして、ついにその気配の前まで辿り着く。
しかし、それと同時に子猫は疲れて眠ってしまう。
「ミー・・・」
子猫は気がつくと、暖かい物に包まれていた。
それはすごく安心して、とても心地よかった。
そして子猫はようやく求めていた物に辿り着く事ができた。
子猫は成長し、見る、という事を覚えた。
初めて見る物に襲われ恐怖するが、それが自分を守っていた匂いだと知り、それが安心する物だと知り、子猫は心を許した。
子猫は、自分の名前や、自分の主の事を覚えた。
主は、食べ物を与えてくれて、一緒に遊んでくれて、一緒に寝てくれて、頭を撫でてくれる。
子猫は主と居ると、とても安心した。
ふと、主が自分を置いてどこかに行ってしまい、不安に押しつぶされそうになるが、主は必ず帰ってきてくれた。
主と一緒に居る時が、子猫にとっての幸せだった。
主との日々はずっと続くと思っていた。
猫は、自分がだんだんと弱ってきているのを感じていた。
それと同時に、主が何処かに行ってしまうのではと心配した。
しかし、主はそばに居てくれた。
ずっと頭を撫でてくれた。
このままずっと一緒に居て撫でてくれるなら、それでいいと思った。
気がつくと、主が居なかった。
また、頭を撫でて欲しい。
そばに居て欲しい。
猫は、主を探した。
弱った体を無理に動かしてでも、主と会いたかった。
しかし、主は見つからなかった。
猫は疲れたので、横になった。
猫は少しでも安心できるよう、偽者の主を見つめた。
猫は思い浮かべる。
主の顔。
主の声。
主の温もり。
主との思い出。
主との---
猫は、静かに目を閉じた。
目が覚める。
いつの間にか私は眠っていたみたい。
また・・・あの夢か。
「ご主人様・・・」