電車の中で
僕の名前はカナタ。
そこそこ中堅と呼ばれている会社に中途で入って早2年目。
でも、働きがいがあるのでとても楽しい。
自分が仕事を取っただけ成果が上がり報われるので、
もっともっと頑張りたいんだ。
そんな感じで成果を今、あげてきたとこだ。
そう、先方での商談が終わったところだ。
自分で言うのも何だが、こう見えてもけっこう出来るタイプの人間だと思う。
まぁ、それだけ陰ではけっこう努力しているけどね。
「プルルルルルルルルルルルルル・・・」
扉が閉まりそうな電車に飛び乗り、クーラーの前に立つ。汗が気化して心地よい涼しさが体の表面に行き渡る。
「ふう・・・なんとか間に合った。」
一呼吸おき、辺りに空いている座席があるか見渡す。
ちょうど自分の後ろ側の席が空いていたので、すかさず滑り込んだ。
一応、ここまでは順調だ。
カバンを開き、報告書にまとめる為の書類を整理する。
「・・・よし、これで大丈夫だな。」
書類に目を通して、カバンの中にしまうのと同時に手帳を取り出す。
「戻って報告書提出して、明日は別の件で昼から会社出てって・・・」
明日の予定を確認する。何事も計画的に運営して行くのが大事
でも、仕事では小さなミスも許されない。ミスすれば、どんな些細なミスでも気になてどんどん自分でミスを誘発する。
そうならないようにするために、あらかじめ仕事の予定は全て確認しておく。
他の人間は、「今日の分は終わったんだから、明日やりゃいいじゃん。」って言ってくるんだけれど、
須藤部長が言ってたんだ。
『明日出来る仕事を今日やったら、
明日出来る仕事は明後日の分出来ちゃうんだぜ、
ずっと続けてたら、1年後には2年先の仕事をしてるんだぜ?
それってスゴくね!?』
と飲みの場所で言ってもらって、納得した。だから実践してる。
今までそうやって頑張ってきた。これからもたぶんそうだろう。
手帳に記した予定にも一通り目を通し、漏れがないかをチェックし終わる。
「会社に着くまで、まだ時間はあるな・・ふぁ~ぁ」
大きなアクビをする。正直眠い。
ここの所、商談の段取りで徹夜続きが多かったためにちょっと睡眠不足だ。
電車の中ですこし休むとしよう。
僕は、目をつむった。
電車の揺れが心地よいリズムを奏でる。体が揺れる度にだんだん眠気が深くなっていく。
やっと、ひとつ大きな仕事が終わった。
・・・。