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ペンシルナイト  作者: 手頃羊
1話:プロローグ
2/16

その2・ブラックガール

?「おい、もう目開けて大丈夫だぞ。」

先ほどの少女の声が聞こえる。


?「もういいって言ってんだよ!早く開けろって!会話しづらいだろ!」


リュウ「え?あ、おう…」

目を開けると、草原が広がっていた。

目の前には自分の胸にも頭が届かないような褐色肌のワンピース少女が立っている。


リュウ「え、あんたは…」


?「あたし?さっきのメモ帳だよ。あんたの案内人。」


リュウ「案内人?」


?「書いといただろうが。敬語で話すのは慣れねぇしメンドクセェし…なに、あたしみたいなガキは信用ならねぇってか?」


リュウ「いや、別に…まぁ正直言うと、子どもだし。」

正直に言う。


?「ふーん…まぁ正直に言ったから許してやるが、あんたよりこの世界には詳しいんだからあたしの言うことはちゃんと聞いといた方がいいぞ。」


リュウ「お、おう…」


(なんだこれ…なんだこの展開。)


リュウ「ここが、ペンシルナイトの世界?」


?「いや、ここはまだ入り口。ネトゲ風に言えばチュートリアル画面だ。」

少女が先ほどリュウが持っていたメモ帳を開く。


リュウ「あれ?いつの間に?」


?「いつの間にも何もねぇよ。あたしはさっきのメモ帳だって言っただろうが。」


リュウ「メモ帳だって…人間が?」

呆れるような表情を返される。


?「人間がメモ帳なわけないだろが。あたしは人間とは違う別モンってことだよ。そのぐらい高校生なら察しろ。」


リュウ「いやいや、無茶だろ。」


?「なになに?誠ってやつを助けたいのか。」

無視して勝手に進んでいく。


?「ほー、トラックに轢かれて意識不明の重体、ねぇ。しかもかなり仲良かったんじゃん。ふーん。弟の為にペンシルナイトに参加できるほど、ってわけか。へぇ〜。」


リュウ「なぁ…」

話し掛けようと名前を呼ぼうとするが、名前を知らない。


リュウ「えっと、名前なに?」


?「普通にいいお兄ちゃんじゃん。イケメンだし。今回はあたし結構運が良かったなー。」


リュウ「おい、聞いてる?」

無視される。


?「何回か前の時なんかキモいしデブいし、願いも、この世のすべての可愛い女の子を奴隷にしたいとかいうクソみたいなこと言い出す奴を案内させられてたからなー。挙句に、あたしまでそういう目で見やがるし。」

話を聞いてくれなさそうなので向こう側の話に合わせる。


リュウ「うわぁ…それはキツいな。」


?「本当だよ。本当にキツかったよ。だから石が6個集まるまで適当に案内させて、後はテキトーなこと言って死なせてやった。んで選択肢選ばせずに殺した。あんなの、現実の世界に残しとくのも現実世界の奴らが可哀想だよ。」

ペンシルナイトの世界で死んでも、願いを放棄すれば現実世界に戻ることができる。

だが少女によると、それすら許さなかったという。


リュウ「案内人がそんなことして良いのか?」


?「だって、キモすぎんだもん。他の参加者や案内人からも同情されるレベルだぞ?まぁそのせいで今回になるまで案内人するの禁じられてたんだけどな。」


リュウ「でも何もされなかったんだろ?」


?「あぁ。手ェ出したら案内してやらないって脅したらちゃんと言うこと聞いてた。あたしのご機嫌取ろうと色々やってくれたけどな。下心見え見えだったから好きになんか全くならなかったけど。」


リュウ「案内人も大変だな。」


?「でもその点、あんたはいいな。あたしが話シカトして自分のことばっか話しても合わせてくれてるし、心配もしてくれてるし。」


リュウ「無視してたのわざとかよ!」


?「まぁまぁ。安心しろって。あんたみたいなやつは好きだから、ちゃんと最後まで案内するぞ?なんだったらあのクソキモには絶対にさせなかったような色んな、あんなコトやこんなコトしてきても許してやるぞ?」

体をクネクネさせて誘うように言ってくるが、


リュウ「いや、別にいいよ。さすがにそれは倫理的にマズイ。」


?「うっわ即答かよ。ちょっと惚れかけただけに悲しいわー。」

顔を覆って少し泣き声になる。


リュウ「いやいやいやいや。」


?「冗談だよ。逆にこんな見た目のあたしに返事迷われた方が怖いわ。」

今度はニヤニヤ笑いながら言う。


リュウ「あのさぁ…」

いろいろ通り越してもはや呆れてしまう。


?「アハハ!はいはい。で、えーと…そうだ、あんたの武器だ。」

メモ帳を何枚かめくる。


?「え、これ?マジ?こんなんまるで主人公みたいな王道じゃん。」


リュウ「どういうこと?王道って、剣とか?」


?「ほら、自分の手を見てみな。」


リュウ「え?うおっ!」

いつの間にか巨大な鉛筆を握っていた。

ただ太さは手で握りやすい良い感じの大きさで、剣や槍のような感覚で持てる。


リュウ「え、鉛筆⁉︎」


?「ここはペンシルナイトだぞ?鉛筆の騎士って書くんだぞ?武器は、文房具の内のどれかになるんだよ。」


リュウ「だからって鉛筆ゥ?」


?「文房具って言ったら最初に思い浮かぶのは鉛筆だろーが。あたしが出会った中で1番おかしかったのは鉛筆削りだぞ?」


リュウ「えぇ…」


?「んで、鉛筆か。まぁ、鉛筆と同じことができるな。」


リュウ「どういうことだよ。」


?「武器となる文房具でできることが能力になるんだよ。消しゴムだと何かを消したり、ハサミだと切ったり。あんたは鉛筆だから…書いたり?」


リュウ「書いたり?じゃなくてもっと確証を…」


?「さぁ?実はあたし鉛筆持ったやつの案内なんて初めてなんだ。」


リュウ「王道じゃないのかよ。」


?「この世にいくつ文房具の種類があると思ってんだ。しかも文房具の会社が新商品とか出したらその都度新しいのができるんだからな?しかも同じ文房具でも出来ることが違うやつとかもあるし。第1回の頃が懐かしいよ。」


リュウ「第1回?そういやこれ第21回とか書いてあったけど、どのくらいやってんの?」


?「1世紀に1回だから…単純に2100年?あ、いや、21世紀も始まったばかりだから2000年ちょいか。」


リュウ「そんな長くやってんの⁉︎」

つまり、キリストとほぼ同じくらいの歴史があるわけである。


リュウ「ちょっと待って、君何歳?」


?「あんた女に年齢聞くとか歯折られても文句言えねぇぞ?」


リュウ「えぇ…そこまで言われる?」


?「別にあたしは気にしないけど、他のやつには気をつけた方がいいぞ?いきなりビンタされても文句言えねぇから。これはほんと。」


リュウ「こえぇ…で、第1回目がなんて?」


?「あの頃はインクとか羽のついたペンとか…石碑に文字刻む用のナイフみたいなのとかそんなのばっかだったなぁ。みーんな似たようなもの持ってんだよ。それが今となりゃ…プロレスラーの形した消しゴムとかなんなの?あれ。」


リュウ「あぁ、ナントカマン消しゴム…流行ったんだよ…当時超人気だったんだよ…」


?「でも2,30年くらいで一気に消え去ったよな。ほんと、移り変わりは激しいなぁ。」


リュウ「…そろそろ、名前が知りたいんだけど。」


?「え?あぁそうか。」

思い出したように言う。


?「うーん、あたしの名前…鉛筆…」


リュウ「え?なんか悩むようなことなの?」


?「いや実は、あたしら案内人には決まった名前が無いんだよね。だから毎回考えなきゃならないのさ。」


リュウ「へぇ。基準とかは?」


?「みんな案内してる参加者の武器に関係したような名前にしてるぞ。消しゴムだとイレイズ、ハサミだとシザースとかな。」


リュウ「じゃあ鉛筆だと…ペンシル?」


?「ねぇわ…さすがにダサすぎるわ…」

おそらく今回1番の嫌な顔をされた。


リュウ「だよなぁ…」


?「なんかないかなぁ…他の鉛筆の案内人どんな名前だったっけ…」

リュウも一緒に考える。


リュウ「鉛筆で思い浮かぶもの…BとかHとか?」


?「Bとか?あぁ、『濃さ』かぁ。そういえば、鉛筆のBとかって何の略か知ってるか?」


リュウ「いや?そういえば何となく使ってたけど全然知らねぇな。」


?「Hってのはハードの略だ。Fってあるだろ?あれもファームってのがあるんだ。」


リュウ「じゃあBはあれか?ブラックか?」


?「そうそう。ブラックって言って…そうだ!あたしの名前ブラックにしよう!カッコいいじゃん!」

案外さらりと決まった。


リュウ「そんなんでいいのかよ。」


ブラック「いいんだよ!んじゃあよろしくな、リュウ!」

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