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ペンシルナイト  作者: 手頃羊
3話「メリケンキラー」
12/16

その6・敗北

リュウ「逃がしはしないぞ。」


ジャック「そうかよ…」


シンジョウ「気をつけろ…」

ジャックがカッターを振り上げる。


ジャック「だったら1人だけでも道連れにしてやるよ‼︎」

リュウとシンジョウの2人に向かってカッターを投げる。


シンジョウ「くっ!」


リュウ「うおっ!」

何とか持っている文房具で防ぐ。


ジャック「ああああああ‼︎」

投げたと同時に突進してきたジャックがすぐ目の前に来ていた。


ジャック「死ねええええ‼︎」

カッターを突き刺してくる。


リュウ「ぬあっ‼︎」

ギリギリ芯で防ぐのが間に合い、胸を刺されるのは防いだが、さらに飛んできたカッターで左腕を刺されるのは防げなかった。


シンジョウ「リュウ!」


リュウ「ちくしょう‼︎」

ジャックを蹴って引き剥がそうとするが、全く離れない。

左腕の二の腕に刺さったカッターをさらに押し込んでくる。


リュウ「ぬあああああああ‼︎」

芯でジャックの顔のあたりをデタラメに突く。

そのうちの一回がちょうど目に入る。


ジャック「ぐがあああああ‼︎」

さすがに目を突かれては耐えられず、リュウから離れる。


レン「そこだぁ‼︎」

鉛筆のレールから突進してきたレンがジャックの両腕にホッチキスの芯を当て、そのまま地面に芯を刺す。


ジャック「ぐぅっ‼︎」

芯で手首を地面に固定した形になり、身動きが取れなくなる。


シンジョウ「やったのか⁉︎」


レン「やったよ!これで抜け出せないもん!」

ジャックから離れたレンがリュウの元へ駆け寄る。


レン「リュウさん!」


リュウ「腕が…」

動かないわけではないが、動かすとかなり痛い。


リュウ「痛ぇ……」

それでも立ち上がり、ジャックの前まで来る。


リュウ「ちくしょう…どうだよ、この殺人鬼!」


ジャック「くぅ…なんでだよ…」


シンジョウ「それが運命というやつだろうよ。」


ジャック「そうじゃねぇよ…お前…」

リュウの方を見る。


ジャック「分かるぞ…お前が俺と戦おうとしたのは、石が欲しいからじゃねぇだろ…」


リュウ「…まぁ、石は二の次かな。」


ジャック「なんなんだ…何がしたいんだお前は?人の願いを邪魔したいだけか?」


シンジョウ「命乞いのつもりか?しょうもない。」


ジャック「答えろよ…」


リュウ「あんたを野放しにしたら被害者が増える。」


ジャック「…それだけか?ヒーロー気取りかお前。」


リュウ「ヒーロー気取りじゃない。あんたを野放しにするとかいう悪いことしたくないし、あんたみたいなやつは死ぬべきだ。」


ジャック「くそっ…くそっ…めんどくせぇ…」


リュウ「シンジョウさん…」


シンジョウ「なんだ?介錯しろってか?無理だな。」

思っていたことを当てられたが、期待した答えは返ってこなかった。


リュウ「えぇ?」


シンジョウ「俺のこの消しゴムでどう介錯しろと?」


リュウ「いや、武器くらい貸しますよ?」


シンジョウ「お前がやれ。」


リュウ「えぇ…」


レン「はい。」

レンに鉛筆を渡される。


リュウ「えぇ…」


ジャック「やるならさっさとやれよ…俺はまだそんなに殺してないから、あっちでゆっくりチャンスを待つさ。」


リュウ「チャンス?」


ジャック「金ならたくさんあるからな…ちょっと払えば出してもらえるのさ…」


レン「どういうこと⁉︎」


シンジョウ「賄賂でもしようってのか!」


ジャック「ハハハ…」

目を潰されたダメージを負いながらも笑う。


リュウ「できるわけねーだろ‼︎てめーみたいな人殺しが釈放されるなんて、世の中が絶対許すわけねぇ‼︎」


ジャック「お前ら、俺のニュース見たか?」


リュウ「は?」


レン「ニュースって…なんで?」


ジャック「俺みたいな狂った殺人鬼がいたら…さすがに他国でもニュースになるんじゃないか?」

子供を何人も誘拐して殺すような殺人鬼がいたとしたら、国を問わずニュースになるだろう。


シンジョウ「聞いたことないぞ…?」


リュウ「見たことない…」


レン「あたしも…」


ジャック「当たり前だよ…いろーんな所に金払ってニュースにしてもらわないように頼んだからな…」


リュウ「は…?」


ジャック「もちろん金で解決しない奴は、色々と脅したけどな。」


レン「最低…‼︎」


ジャック「俺の願いはな、『無罪になって、釈放されること』だ!だがこっちで死んであっちの世界に戻っても、『無罪になって釈放されること』が不可能になるだけで、『釈放』自体はできるんだよ‼︎」


シンジョウ「っ‼︎」

我慢の限界だったか、シンジョウがジャックの頭を蹴る。


ジャック「がぁっ…‼︎歯が…‼︎」


シンジョウ「この真性のクズが‼︎」


ジャック「ハハハハハッ‼︎こういう時の為に薬を売り捌きまくってたんだよ‼︎金ってのはいくらあっても困らねぇからなぁ‼︎買収に使ってもざっと数億ドルくらい残るかなぁ‼︎」


リュウ「数億⁉︎マフィアか何かかよ⁉︎」


シンジョウ「黙りやがれ‼︎」

シンジョウがジャックの顔を殴る。


ジャック「ごふっ…おいおい…俺死んじまうぞ…?」


シンジョウ「くっ…」


ジャック「勝っても負けても…死んでも生き残っても…結局俺の勝ちなんだよ!ハハハハハハハッ‼︎」


レン「どうするの…?こいつ、このままだと…」


シンジョウ「殺すのはマズイ、かと言ってここから逃げられたら…こいつのことだから10個貯まるまで人を殺す余裕だろうな…」


(どうする…殺すのはマズイ…生かしてもおけない…)


ジャック「日本は良いところだよなぁ?何もかもヌルい!何もかも小さい!簡単に殺せるからなぁ?」


リュウ「…レン、こいつにありったけホッチキスの針使いまくろう。」


レン「…うん。」


ジャック「あーん?」


リュウ「とりあえず、外から他の奴に殺されないように、全身覆い尽くそう。」


ジャック「いいのか?自殺しちゃうぞ?それなら殺した方が良いんじゃないか?」


リュウ「お願い、レン。」


ジャック「そうでなくとも、こんなの時間かければ出てこれるぞ?」


リュウ「うるさい!」

ジャックの頭を掴んで、思い切り地面に叩きつける。


ジャック「がっ‼︎」

もう2度叩きつけてようやく気絶させる。


リュウ「…レン。」


レン「…うん。」


(これが最善策なはず…)



ジャックを封印して、近くのスーパーの入り口まで来る。


レン「ありがとうございました…」


シンジョウ「こっちの方こそだ。あれで良かったのかは、分からないが…」


リュウ「……」


シンジョウ「お前を責めてるわけじゃない。あの状況の正解を見つけられるやつはいないだろう。…俺はここで別れるつもりだが、お前たちは?」


リュウ「レンの探し物の手伝いがあるんで…」


シンジョウ「この状況でお人好しだな。じゃあな。」

去っていった。


レン「……」


リュウ「行こう?」


レン「うん。」

腑に落ちないまま、再び目的の人物を探しに行く。

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