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ペンシルナイト  作者: 手頃羊
3話「メリケンキラー」
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その4・切り裂き魔ジャック

カッター男を探して街を歩く。


リュウ「やっぱり逃げたからか、見つからねぇなぁ…」

またもや数十分歩いているが、見つからない。


シンジョウ「まぁ現実でガキ殺してた頃も、何ヶ月も捕まらなかったそうだ。こういう所とはいえ、逃げ方ってモンを知ってんだろう。」


リュウ「逃げ方、ねぇ。」


シンジョウ「まぁ俺と2度とカチ合わない、ってだけだろうがな。」


レン「あたしたち、それ見つけられるの?」

不安になる。


シンジョウ「知らねーよ。」


リュウ「そんなバッサリと…」


シンジョウ「嘘言っても仕方ねーだろーが。」


リュウ「まぁねー。っと、ねぇあれ。」

道の先で、血を引きずったような跡がある。


レン「なにこれ…」


シンジョウ「死体か…そうでなくても誰か怪我させて運搬させたかだろうな。」


リュウ「ここって、動物とかいんの?」


シンジョウ「……いないらしいぞ。」


リュウ「らしい?」


シンジョウ「俺の案内人が言ってる。」


リュウ「あぁ…。」


(他の参加者にも案内人いるんだよな…時々忘れる…)


レン「これ…誰の仕業?」

血の痕跡の前でしゃがみこむ。


リュウ「カッター男…と決めつけるのも早計ってやつだよな。」


シンジョウ「奴以外にも色んなやつがいるだろうしな。だが、これを辿るのも悪くはないだろ。」


リュウ「じゃあ行こう。」

各々が武器を構えて血の跡を辿る。



数分歩いた先で物音が聞こえる。


リュウ「なんか聞こえない?」


シンジョウ「聞こえるな。」

何か鈍い物がぶつかる音と同時に、誰かの声も聞こえる。


レン「なんの声…?」


シンジョウ「あいつか…?」

シンジョウが駆け出す。


リュウ「あ、ちょっと!」

シンジョウを追いかける。


道を曲がった先で、男が地面に向かって何度かカッターを突き立てている現場に出くわす。


シンジョウ「こいつだ…」

先ほどシンジョウと死闘を繰り広げていたカッター男がいた。


リュウ「うわぁ…」

よく見ると、カッター男の前に誰かの死体が転がっている。

明らかに身長が小さい。


レン「もしかして…」


シンジョウ「他の参加者…しかも、ガキか。」


カッター男「ん〜?」

リュウ達に気がつく。


カッター男「オウッ!さっきの奴らですか?」

服に返り血が大量に付いている。


リュウ「ん?日本語うまい?」


シンジョウ「さっきも俺と戦う前は日本語がうまかった。」


レン「バイリンガルってやつ?」


カッター男「残念ながら自分は3つの言語まで余裕なのさ。トリリンガル、ってやつ。」


レン「そんな頭良いのに、子どもを…」


カッター男「頭の良さと趣味は関係ない。日本人ってのはムダにモノとモノとを繋げようとするよな?ん?」


シンジョウ「黙りやがれ!ガキを殺すなんざ正気じゃねぇ!」


カッター男「ハッ!正気とか、他人の趣味に対して言う言葉じゃないねぇ!自分の好きなことを我慢してるあんたらの方が、イかれてるって思わないか?」


シンジョウ「人を殺すってのは異常なんだよ!」


リュウ「シンジョウさん、無理。話通じない。」


シンジョウ「クソッタレが…」


カッター男「ハッハー!初めましてもいるみたいだし、自己紹介しなくちゃね!My name is Jack ! ジャックと呼んでくれたまえ!」


リュウ「いつぞやのイギリスの殺人鬼のつもりかよ。」


ジャック「一応本名なのになぁ。で、1on3なのかい?それはちょっとやだなぁ。」


シンジョウ「うるせぇ!ぶっ殺してや…」

ジャックに近づこうと足を踏み出した瞬間、ジャックがカッターを投げる。


レン「ひっ!」

カッターはレンに向かって投げられたが、シンジョウが消しゴムを構えて前に立ち、カッターを受け止める。


レン「シンジョウさん!」


シンジョウ「クズが…!」


ジャック「ハッハハー!まだまだあるぞ!」

手から次々とカッターが現れ、それを投げる。


シンジョウ「ちぃっ‼︎」


リュウ「うおっ!うわっ!」

鉛筆を使ってカッターを叩き落とす。


シンジョウ「リュウ!」

シンジョウはレンを守るのに手一杯で、リュウにまで手を回せない。


リュウ「大丈夫っ‼︎じゃない、かも‼︎」

飛んできたカッターを集中して落とすが、投げられた物を叩き落とす経験の少ないリュウには厳しい。


シンジョウ「チクショウ‼︎」


ジャック「ヘイヘイ!どうしたどうした?」

投げる速度が一向に緩まない。


リュウ「シンジョウさん!」


シンジョウ「逃げろ!これはマズイ!」


リュウ「いや、いけるかもしれません!」


シンジョウ「あぁ⁉︎」


リュウ「レンは僕が引き受けるんで、その盾持って奴に突貫してください!」


シンジョウ「突貫だと⁉︎」


レン「リュウさん⁉︎その作戦大丈夫⁉︎」


リュウ「やらなきゃ、あいつ、倒せない‼︎」


シンジョウ「ふざけんな!その鉛筆で叩き落そうってか⁉︎」


リュウ「ジリ貧よりかマシでしょ‼︎逃げてもあいつ多分追いかけてくるよ‼︎」


ジャック「逃げる?ハハッ、逃げたら追いかける?Of course ! これ以上仲間増やされるのも面倒だ!逃がしはしないぞ!」


シンジョウ「ちぃっ…しくじるなよ‼︎」

シンジョウが消しゴムを構えて突進する。


ジャック「ワオ⁉︎」

ジャックがシンジョウに集中してカッターを投げる。


リュウ「よし、多少は!」

飛んでくるカッターも少なくなり、叩き落とすのに支障はない。


シンジョウ「おらぁ‼︎」

ジャックにたどり着き、タックルをかます。


ジャック「Shit ! 簡単にやられるか!」

シンジョウの猛攻を捌きながらも、リュウに向かってカッターを投げ続ける。


リュウ「この程度なら!」


レン「痛っ!」


リュウ「え?」

守りきっているはずなのにレンが声を上げるので振り向くと、レンの足にカッターの破片が刺さっていた。


レン「痛…ああ…あああ…」


リュウ「レン?どうした?」

レンの様子がおかしい。


レン「あああ…ああああああああ‼︎」

突然大きな声で叫ぶ。


リュウ「レン⁉︎おい、おい!」


レン「あああ足があああああ‼︎」

足にダメージを負うことによる恐怖から、ヒステリックに叫ぶ。


リュウ「レン!うがああ‼︎」

よそ見をしすぎたせいでカッターの何本かが背中に刺さる。


シンジョウ「てめぇこの‼︎」


ジャック「ハッハー!ガキはやはり殺しやすいな!」


リュウ「レン…!レン!」


レン「あしぃ…あしが痛い…!」

レンの足のすぐ近くにカッターが飛んでくる。

カッターの先端が地面に命中するが、その衝撃で歯が折れ、折れた歯がレンの太ももに突き刺さる。


レン「ひぎゃああああああ‼︎」

かなり深く刺さったらしく、絶叫を上げる。


リュウ「なんで⁉︎クソ、マズイ‼︎」

レンを抱えてジャックの攻撃が当たらない物陰まで走る。


(そうか…カッターは歯を折れるから…それも能力か‼︎こういう攻撃があんのか‼︎)


レン「ひぃっ…ひぃっ…」


リュウ「落ち着けレン!やっぱり逃げとくべきだったか!」


レン「うぅ…ぐぅぅ…!!」


リュウ「もう大丈夫だから少し待ってろ‼︎」

近くにアパートのような建物があった。


(仕方ない、あそこに一旦逃げよう!)

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