【1】 香城 朔耶 Side
【名前】香城 朔耶【性別】 女
【年齢】16歳 【身分】 新海学園高等部二年
【容姿】 黒髪のツインテール。149㎝の幼児体型。幼い顔つきだが、周囲を安心させる雰囲気と美しさを備えている。
【名前】香城 那雄耶 【性別】男
【年齢】35歳 【身分】総合研究大学院大学教育研究科特任研究員
【容姿】穏やかな雰囲気を持つ長身(185㎝)痩躯の知識人。
■ 2030年7月15日 ■■■
■■ 環境計画海上都市【新海市】 ■■
■■■ 法王庁立総合研究大学院大学 上級職員寮 ■
「お兄ちゃん! バカなの!? 死ぬの!?」
「いや、死にはしない」
「そんなのわかってるよ!」
「じゃあ、なんで怒っている? いや、それはもしかして喜んでいるの!?」と嬉しそうに身を乗り出す兄。
「怒っているのよ!」即答する私。
畳かける兄の馬鹿さ加減にわたしの怒りのボルテージは、どんどん上がって行く。
怒りの原因は、わたしの目の前にいる「兄」だ。
今日、私が通っている新海学園高等部において午後の授業が臨時休校になった。そこで、いつもより早めに帰宅すると、なんと兄は、わたしのベッドの上で本を読んでいたのだ。
つまり、勝手にわたしの部屋に侵入して、わたしのベッドの潜り込んだというわけだ・・・丁寧に胸の上まで布団をかぶって・・・。
「なんで怒っている? お前の"怒れる理由"を知りたい」
「"怒れる理由"ですって? そんなの勝手に妹(私)のベッドに潜り込んで読書をしている無職の変態兄貴の姿を見たら、怒るに決まっているでしょ!」
「それは違う!」即座に切り返す兄。
「な、なにが違うのよ」少し、狼狽えるわたし。
「僕は、無職ではない! ちゃんと働いている!」
「知ってるわよ! でも、平日の昼間から妹のベッドで読書しているなら無職みたいなものでしょ! で、変態というのは認めるわけ!?」
「お前の主観としてはそうなのかもしれない。この点については、第三者であるわたしには如何ともし難いからな」完全に上から目線で答える兄・・・意味がわからない。
「もうわけがわかんないよ! とにかくベットから降りて、わたしの部屋から出て行ってよ!」
私の心からの叫びを聞くと、兄は無言のままベッドから降りて「ごめんなさい」と頭を下げた。
そのあまりに子供っぽい兄の姿を見たわたしは、情けなくなると同時に怒りが収まっていくのを感じた。