序
初投稿です。
拙い文章ですが、読んでいただけると嬉しいです。
西暦二〇××年元旦――
その日、パンドラの箱は開かれた。
その日、世界各国に突如として異形は現れた。
それは昔から語られてきた姿に良く似ていた。
空想上だと人々は考えたであろう。しかし、それは実際に存在するものであり、長い年月と月日を経て空想へといつしか成り替わっていたのである。
それは妖怪と呼ばれる類であり、悪魔と呼ばれるものであり、神と称される貴い存在であったり、本来ならばこの世に実在していた筈の姿なのであった。しかし、人類はいつしかその存在を忘れつつあった。そして、その異形の存在により、その年の内に人類は総人口が1/3にまで減少させられた。
そんな異形に対抗すべく、人類は実に多様な兵器を造り出した。
中でも、その最たるは新人類〈ニューヒューマン〉であろう。彼らは人間であり、兵器であり、異形に対抗できる能力を有した存在である。
捕らえた異形を科学者達が解析し、異形の中にも人類に近く、高い知能を持った種があることが知れた。それにより、人類と異形の交配が可能であるということが判明したのだ。
初めは半信半疑であった。しかし、とある科学者が異形を交じり、それが事実であることを証明した。
生まれた子供は人の形をしているが、何処か人とは異なる姿をしていた。
そう、生まれた子供には角が生えていたのである。その上、異様に発達した犬歯や人では凡そありえない髪の色から、人でありながら人ではない何かであることが想像させられた。
そしてその子供のみならず、生まれた子供達は一様に人類とは異なる姿をしていたのだ。肌や髪や瞳の色であったり、獣の耳が生えていたり、尾が生えていたりなどと。
その子供を調べた結果、人類が持ちえない程の高い能力を秘めていることが数値をして叩き出された。そして交配が成功して生まれた子供達は、今まで空想でしか成し得なかった能力――例えば火を吐いたりだとか、水の中で呼吸ができたりだとか、大型トラックを持ち上げたりとか、信じられないことをやってのけたのである。
このことから、片親が人類で、もう片親が異形である者は総じて異質の能力を引き継いで生まれてくることが発覚。彼らを新人類〈ニューヒューマン〉と呼ぶこととした。
彼らは人類とは異なる姿をしていることから、それを異形と区別する為にナンバープレートの着用が義務付けられた。これは新人類だけではなく、人類の敵ではないと判断される者全てが対象とされた。その中には、人類に敵対意思のない異形も含まれることとなった。
このナンバープレートはここ数年で発見された、ある特殊な石が材料となっている。一度着けたら、持ち主が死ぬまで外れず、死んだ時点で自ずと壊れるのだ。
この機能を活用したことにより、知能の高い異形から身を守ることに成功し、更に、人類の総数を把握できることから、人類とそれに準ずる異形を合わせると、その人口は過去最大人口の1/2にまで上昇したことが知られた。
しかし、依然として異形からの侵略は後を絶たない。
人類は生き残る為、武器を手に取り続けなくてはならないのだ。