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成功と失敗の中間は  2

 初めて魔法陣を書いたのは、小学5年の夏休みだった。

 テレビで見ていたアニメに出てきて、それは雷が落ちたかのように私の身体にビビッと来た。

 夏休みの課題そっちのけで魔法陣や魔術、魔法などのことを図書館で調べた。

 最初はノートに小さく簡単なものを書いていた。

 だが今では複雑かつ晦渋、難解といった感じの出来栄えに惚れ惚れと自画自賛してしまう。

 それもそうだ。もうこの床に何十回書いたことか。

 いやこの床以外も回数に入れたらおそらく、二百回は優に超えている。


 最初のうちは自宅にあるもので我慢していたが、より正確で綺麗な魔法陣を書くためにわざわざインターネットでいろいろと購入してしまった。

 黒板などで使う教師用のコンパスと三角定規と一メートルの物差し。

 書きやすくなったが、いつも使っている実物より大きい。当然だが値段も高い。だが、それほどまでに魔法陣に本気で取り組んでいることが自他ともに認める。・・・と本当だったら言いたいところだが、僕以外は知らなかった。

 海外の作家が『充分に発達した科学は、魔法と見分けが付かない。』と言っているが、私は化学よりも何倍もいや何百倍も優れていると思っている。

 ・・・それはただ単に文系の私が高校時代から科学が、『大』がつくほど苦手と言うわけでは決してない。

元々、人には向き不向きがあるのだから仕方ないことだ。


 「我は汝を召喚する。我の声が聞こえるのであればその姿を現したまえ。我が手となり足となり、従順に我に従いたま―――」


 「だだいまー。いやー、まだまだ暑いわー。」


 「あーっ、もう! お母さん帰ってきちゃった。遅くなるって言ってたのに。

せっかく、今回の召喚はいけると思ったのにー。」


 玄関から帰宅したのは私の母。

 昔から厳しく、私がそれなりに勉強もできたのもこの母のおかげであろう。

 母にとって私は『いい子』である。

 今どきでは珍しく、私は髪も染めたことがない。門限は19時でお泊り会も、夜遊びも許してもらえない。

 そんな厳しい母が、私の部屋にこのような魔法陣が書かれているのをを見たら・・・大方の想像はつく。

 ・・・仕方がない。今回の召喚は中止にしよう。

 戦略的撤退も時には必要である。一階に下りて雑巾を持ってきて床の魔法陣を消そう。

 魔法陣の上を通り入口へ向かう。

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