2/81
プロローグ 終わりで始まり
ガシャァン!!
「うぅっ・・・」
「フッハッハッハッハー。弱い、柔い。脆い! どうした・・・この程度か勇者よ!!」
壁に弾き飛ばされ膝から崩る。そのまま前のめりに倒れそうになるが、どうにかといった感じで剣を杖代わりに身体を支える。
身体も防具もボロボロな勇者とは違い、高らかに笑い傷も汚れもなく余裕に満ちた表情の魔王。
「くそ・・・魔王め・・・。うわあぁぁぁっ!!」
「ハッーッハッハッハー! 喚け! 叫べ! 跪け!
我を恐れよ・・・そして崇めよ。称えよ!」
「もう一回、もう一回だ・・・。何かチャンスがあれば・・・。」
「もう思い残すことはないな? 一思いに消してやろう!!」
歩み寄る魔王に対し、為す術がない勇者。
「ここまで・・・なのか・・・。」
ピカーンッ
閃光。
突如として部屋全体に、この世のものとは思えないほどの光。
目に見えていたはずの世界を一瞬にして覆い尽くした。
「うわぁあああ!なんだこの光はぁぁッ!? 身体がぁ、熱いぃっ!!」
「っく・・・いまだ、今しかない!! 動け・・・動けえぇ!
くらえ、うおぉぉー!!」