表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大いなる  作者: Y.Y
2/6

黙示録第一章 教会・礼拝堂にて

 ピチュ、ピチュ・・・ピチュ


 静かな、穏やかな風景。

外では涼やかな小鳥の声が聞こえる。

 冷えた空気を感じながら、金髪の修道服の少女―――クリーフィは祭壇で祈りを捧げていた。

「っ・・・」

 ステンドグラスの窓が作る光の彩りに、耐え切れず目を開ける。

ゆっくりと開かれたその先には、神々しく光に包まれる、窓を中心にそれぞれ横に立つ石像の姿が見えるのである。

そして一歩、祭壇から離れると、彼女は雄雄しいその姿に、自然と跪いた。



 大天使とされる、火を司るミカエル。風を司るラファエル。


それを信仰し、崇め、その代わりに加護を受ける【アーク教】は、二大宗教と呼ばれる程の大きな宗教だ。


 クリーフィも、【アーク教】の信者の一人である。



「?、騒がしい・・何かあったのかしら。」

 先ほどから聞こえる、ドタバタとした足音が多い。

気分を害され、彼女は思わず少し眉をひそめた。

「あ、クリーフィ!此処にいたのね。」

 小走りで入り口へと駆け寄って来たのは、同じ信者のロナだ。黒髪が光を反射する。

「・・何かあったの?」

 朝からここにいたので、外の事も気にせずやっていたせいで、事態がまだよくわかっていないクリーフィに対して、何かって・・、と呆れ顔のロナ。

「国のお偉いさんから令書が届いたのよ!本堂の方よ、急いで!」



「・・・ふむ、全員、揃ったようだな。」

 ネルフ神父が、大きな祭壇から、修道士達を見回した。

 先ほどクリーフィがいたのは、別の比較的小さな礼拝堂で、こちらは本堂と呼ばれる。

「先ほど、国王陛下からの令書が、このエルシュの教会に届いた。」

 国王陛下、という言葉に、皆が一斉に騒がしくなる。

国王からのじきじきな、というのは、珍しい事態であり、由々しき事態を指す。

「嗚呼、静まって、静まって・・・・うむ。それで、この令書には、こう書かれてある。」

 神父の言葉に、誰もが静まり、耳を澄ました。

「・・・『銀髪の少年を発見次第、即座に国へと引き渡すように』・・」

「?・・・少、年?」

 事態に対してずいぶんとあっけらかんとした内容に、またザワザワとどよめきが走る。

「保護の間違いじゃなくて・・国に引き渡すの?」

 ロナがおずおずと呟く。

「ならその子、罪人なのかしら・・。」

クリーフィがロナの言葉に相槌をうちながら、静かに答えた。

「・・聞こえたかな、みな。では、昼食にしようかね。さあさあ、食堂に行きましょうか。」

 神父が、場をまとめるために軽く手を叩きながら、高らかにそう言った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ