妖怪の町から脱出しました
久しぶりに書きました。
ぬれおんなさんと提灯お化けに笑顔で手をふられている。
私はそれに手をふって返す。
半笑いで。
「妖怪、ね」
これぞ昔!みたいな町?である。
ガラスもコンクリートも高い建物も無くて、今ではあまり見なくなった、昔の商店街だった。
活気で熱い空気が頬を撫でていく。
よくわからない店や、客と喧嘩している店主がいる。
「黒トカゲがないってどういうことだ!」
「安いよ、どうだいお嬢ちゃん」
「河童の皿あるよ。三枚一組だよ」
「これ人間のところからかっぱらってきたんだ」
「蝦蟇の油あるよ」
犬の頭蓋骨、雪女の氷、人魚の鱗?
雪女の氷って、解けないのか?
わからないまま歩く。
聞きたいけど聞けないというもどかしさに口元をゆがめながら(人間の生一匹!とか言って売られることになったら怖すぎるので)びくびくしながらとうとう町の終わりまで歩いてきた。
そこは何かの蔦のたくさんぶら下がる赤い門が立っていた。
「これ意味あるのか?」
ただぽんとあるだけの門で、囲った柵があるわけもなく、無造作に立っているのだ。
数メートルのただの普通の古そうな門である。
一応潜っておく。
そしてなんとなくその後に門に手を合わせておいた。
なんとなくである。
深い意味は無い。
「さて、この林?森か?これ抜けるのか?ああああ・・・」
ちらっと後ろを振り返る。あの二人はいない。
「妖怪と住むわけにはいかぬのだ」
濡れ女と提灯お化けは友好的な妖怪だったが、やはり人のいる町がいい。
文才ないなほんとに。