牛蛙より余程巨大である
「はあ?」
どこだここは。
私はなぜか町にいた。
田んぼも農家も集会所も電信柱もない。
紐で吊るしているのか、柔らかい光が点々と並び、人々がわいわいと歩いている。
夢遊病になったのだろうか。
「いやいやいやいやいやいや」
絶対違うでしょ。
そう思ってとりあえず歩いて店を除く。
「いらっしゃいお嬢ちゃん」
私は日本人スキルを駆使し笑顔を浮かべて店を離れる。
「・・・・・・」
骨と皮の骸骨みたいなお婆さんが店主だった。
私は焦り、慌てて辺りを見、携帯を出したが。
「圏外」
そんな馬鹿な。
ここは日本で一応駅が近くて、携帯が繋がらないはずはない場所なのだ。
「お嬢ちゃん、どうなさった」
頭に葉っぱを被った巨大な蛙が私を見上げていた。
「あ、えと、その」
後頭部をさする。
これは一体どういうことなのだ。
二足歩行の蛙が自分を見上げているではないか。
これは現実なのか?
夢か?
「おうい、このお嬢ちゃんが困ってるみたいだよ」
蛙が声を出している。
喋っている。
私はぞーっと頭から血の気が去っていくのがわかった。
その時ぺたりと腕を掴まれて顔をふいに上げてしまっていた。
息が止まったかと思うくらい吃驚し、おかしな声を上げてしまった。
口が裂けた青白い顔が、私を見つめていたのだ。