そしてこれが初めての遭遇に繋がる
M県の田舎道は夜は暗く人気も無い。
いつかの大地震後に直されたコンクリートは車で走るとちょっとデコボコしている。
駅から疲れたサラリーマンたちがパラパラ湧いてきて、それでもすぐに人気がなくなってしまう。
その駅から年頃の女がぶらぶら徒歩で帰っても、この数年間一度たりとも事故にすら遭遇せず。
はあとため息を吐いた。
重たい教材だらけの鞄を肩にかけ直す。
山登り用みたいなデカいリュックサックに積めれば余裕があったので、入学してからしばらくリュックで通っていたのに、母親に極めて嫌そうな顔で抗議されたため母親曰く女性らしい鞄にパンパンに教材を詰めて毎日通っている。
アパートを決めて一人暮らし!と両親に期待していたのだが、認められず、遠距離登校。
私はもう何もかも諦めて毎日この長い時間を無駄に過ごしていた。
「疲れたあああ」
誰もいない夜道に呪いの言葉を呟く。
足元をバッタみたいな虫が飛んで横切る。
暗くて本は読めないし、携帯を開くと明かりに虫が寄ってくる。
「祖父ちゃんの軽トラという手もある」
が、年寄りに悪い気持ちがある。
それは若いというだけのちんけなプライドである。
私は再び今日でもう何回したのかわからないため息をして、ふと気づいた。
目の前に町があった。