three knight
ただ耳を塞いで
心に響く真実に
目を背けるように身を固める
誰か……と縋りたい
自分が神なら……誰に祈ればいいのだ……
闇に溺れていく瞬間
差し込んできた光は……
雑音混じりの盗聴されてくる声は胸を抉るように静かに響いてくる。
動かなければと、どうにか行動を起こして彼女を助けに行かなければと頭で分かっていても、体が鉛のように重く動かない。
そんな健太郎に追い打ちをかけるように、その声はまた静かにつぶやいた
“人が嫌いだったんだアイツは……お前等のような薄汚い奴らが……自分(死)を疎んじるお前等がね……地上に降りた僕と流は人を消すのが目的だった……人を消し……新しい生命を生み出す目的で降りたんだ……それなのに……流はお前に出会ったんだ……優花の生まれ変わる前の少女に……それからだ……流がおかしくなったのは。……お前のせいて……お前が居たから……お前が流を唆したんだよ!!”
バキッ……と鈍い音が聞こえてくる。
それが一体何の音なのか、聞かずとも理解できるほど痛い音だった。
そんな恐ろしい音も、現実を突きつけてくる静かな声も、もう聞きたくない。
耳を塞ぎながらその場にうずくまれば、懺悔と悲しみと怒りと……いろんな感情が渦巻いてくる。
一番……一番認めたくはなかった真実をこれ以上突きつけられて、耐えられるほどの精神力は持ち合わせていないのだ。
この場から逃げ出したくなる衝動が一気に襲いかかってきて、健太郎は無意識に目を閉じた。
……一瞬、なにが起こったのかはわからなかった。
髪を捕まれ、その痛みに目を見開いて顔をあげれば、智樹の顔がすぐ目の前にある。
消えそうになっていた生きているという感覚が、ソコから一気に引き戻されていく。
抵抗しようと耳から手を離し、そいつの胸元を押し返すも、ビクともせずにそいつは目を閉じたままで居る。
気持ち悪い感覚までもが鮮明に感じとることが出来たとき、ようやくそれから解放された。
「んっ!……っあ……なっ!……にすんだよっ!」
健太郎から離れた智樹は、詫びる様子もなく唇を袖で拭いながら立ち上がり、ゆっくりと健太郎を見下ろす。
健太郎も同じように唇を強くこすれば、周りで見ていた後輩達は唖然と、健吾にいたっては悪戯っぽく笑ってそれを見ていた。
「里見」
「んだよっ!」
「里見健太郎」
「なんだよって!!」
何度も健太郎の名前を呼ぶ智樹に、今にも食ってかからん勢いで返答をすれば、智樹は真顔で言った。
「そうだ。間違えるなよ。お前は里見健太郎だ」
何を言われたのか一瞬わからなかった。
何を言いたいのかがわからなかったと言ったほうが正しいかもしれない。
真顔ながらも人一倍冷静な、穏やかな表情を健太郎に向けて目の前に立つ智樹は、静かに、心に浸透していくような持ち前の深い声でつぶやいた。
「この先何があっても間違えるな。お前は他の誰でもない、お前自身だ。お前を拾ってくれた親が、付けてくれた名前だけがお前の名前だ」
こんな当たり前のことを言われて、どうしてこんなに悔しいのかと健太郎は感じた。
いつもそうだ。
普段はでしゃばる事を嫌っているくせに、肝心な時にはしっかりと助けてくれる。
手を差し伸べるタイミングも、かけてくれる言葉もすべてがすんなりと聞き入れられる。
相変わらず、コイツだけにはどうしても適わないと健太郎は素直にそう思った。
正気に戻すためとは言え、まさか同性に唇を奪われるなんて思ってもみなかっただろう。
腹が立つけど感謝して、ムカつくけれど自分を取り戻せたことに健太郎は穏やかな気持ちになる。
神様などどうでもいい。
本来自分が求めていたものを思い出し、自分がこれからどうすればいいのかを改めて思考する。
だけど、先ほどのことを鮮明に思い出すほうが強すぎて、健太郎は頭をガシガシとかいて智樹を睨んだ。
「……っ!クソッ!荒治療にもほどがあるだろうがっ!」
「……お前一回麻美とキスしたろ?敵はとった……俺は満足だ」
「まだ根に持ってたのかよ……仕返しに深いのくらった俺はしばらく立ち直れねぇよ……」
半ば涙声になりながら健太郎が訴えると、それを見ていた健吾がうれしそうに自分自身を指差しながら健太郎に言う。
「あ、じゃあ俺ともしとく?」
「そこで参戦すんなよ!」
健太郎の罵倒に、健吾と智樹は大きく声を上げて笑う。
そんな二人に、健太郎もつられるように笑って。
未だ現状についてこられない後輩たちを横目にゆっくりと立ち上がれば、笹木と吉倉は今までに見せたことが ないほどの企みの笑みを浮かべた。
関係ないとは言わない
でも今の自分はここにいて、里見健太郎として生きてきた
辛いことも悲しいことも乗り越えて、今まで“自分”として生きてきた自分を誇りに思おう
俺にはコイツ等が居る
それは誰にも否定させはしないと強く心に決めて
口に弧を描いてみせた。
「さぁ……俺達流の宴を始めようか」
『了解』
立ち上がることも反抗することも諦めてしまった人間たちを見下すように眺めながら縁側に座り込む。
十六夜……いや光が密かに感じているのは、再会を待ち続けた自分の片割れがもうすぐここへ来るという何とも言いかえることの出来ない歓喜の想いだ。
人を1人ずつ殺して待っていることも出来たのだが、それは時間潰しにもならないと感じていた。
何百、何千年と待ち焦がれていた覚醒と再会を、このような短時間待つことと比べてしまえば微塵でもないからだ。
ただ、自分が一番慈しんでいる存在の近くに、気に入らない二つの鼓動を感じ光は詰まらなそうに眉をひそめた。
「ねぇ……ゲームをしようか」
光の言葉に生気を失った里の人間と、体の自由が利かず、ただ呆然と立ち尽くす警察官達が顔をあげる。
「僕の望みは流だけなんだ。他はいらない。流が二人ほど人間を連れてくるみたいなんだけどさ……」
クスクスと笑っていた光の口元が歪むような醜い弧を描いた。
「邪魔なんだよね……殺してよ?そしたら里の呪い、解いてあげるからさ♪」
神とは思えないほど憎しみの満ちた醜い表情に、そこにいたすべての人間が身を震わせた。
正しく言えば身が震えたのではない。
逆らえぬ恐ろしさが波のように押し寄せ、心を震わせたのだ。
この状況で神が自分たちを解放するわけがないと理解していた。
しかし神の意志に背くことなど出来ないとも感じてもいるのだ。
一分、一秒でも長らえるためにはそれしか思いつかないほど、彼らには重圧的で恐ろしい。
再び楽しそうにクスクスと笑う光は自分の足下に転がっている血だらけの少女に、視線を落とした。
「特別に最後まで生かしておいてあげるよ。大切なものを奪われていく様を見せてあげる」
「……め……て……」
「聞こえないよ?」
「……も……やめ……て……」
額から流れ出した血が顔を赤く染め、乾きだしたその頬に涙の線が生まれても、光はそれを可笑しそうにただ 眺めていた。
「お前さぁ……自分のせいだって分かってんの?お前の存在が招きだしたことだってまだわかんない?僕から流を奪っておいて、まだ懲りないの?」
「やめ……おねが…………いざ……よい……」
溢れ出す涙を止めることも出来ず、動かない体で必死に懇願する彼女の姿に、光は見下しながらゆっくりと立ち上がると、笑顔を崩さないまま勢いよく彼女の顔を踏みつけた。
「っあ゛ぁあ゛ぁぁあ゛っ!!!」
「まだ泣ける力は残ってるみたいだね……だったらお前が殺せよ……あの二人……お前が殺せば許してやらないこともないけど?存在自体が罪なお前には優しい課題だと思わないかい?」
そう言いながらクスクスと笑いながらも足の力をいっそう強め、優花の顔は地面にめりこんでいく。
ミシミシと人の骨が砕けるような音が聞こえてくるも、光は足の力を弱めることはなかった。
「その足、よけた方が身のためだぞ」
突然の声に顔をあげた瞬間、光の体が真横へと吹っ飛んだ。
「まず一発」
静かに聞こえてきた懐かしい声に、優花は精一杯の思いをしながら視線だけをそちらに向けた。
「あ……あぁ……」
青い髪がゆっくりと風になびいている。
先ほど自分を痛めつけていた相手よりも一層その青が鮮明に瞳に写る。
涙でぼやけながらもとらえたその姿は、自分の方を見て優しくほほえんだ。
「お待たせ……しすぎちゃったね?ごめんね優花」
抱き寄せてくる温もりから、安心感が生まれてくる。
同じなのに、決して同じではない彼を、ずっと待ち続けていたのは優花も同じだった。
「……たろ……けんた……ろぉ……」
「そうだよ……俺だよ……優花……」
ゆっくりと、慈しみの伝わる指先が、優しく優花の頬を撫でる。
力なく自分を見つめる優花に、ようやく会えたと涙を浮かべる。
力強く、けれど優しく抱きしめれば、互いの存在の大きさを改めて実感していく。
何と愛おしいことか
この温もりすべてが互いのためにあるような感覚と
流れゆく涙が解け合う瞬間が
想いを馳せていく
抱きしめて
触れて
指を絡めて
唇をあわせて
優しさに泣いて
そして
微笑んでいく
好きだと……愛してると言う言葉だけでは語り尽くせないこの胸の想いが全身を駆け巡るように。
それはたぶん、数分数秒の出来事。
短時間の再会の喜びだった。
健太郎は優花を抱きしめたまま、片腕をまっすぐと横に伸ばし、指をパチンッと鳴らす。
とたん、屋敷内で光の重圧に動けないでいた真由羅と久徳の体が軽くなり、真由羅はすぐさま二人の下へ駆け寄った。
「優花ちゃんっ!!!」
健太郎の胸に抱かれ、意識が途切れ途切れになっている優花を真由羅は我慢することなく涙を流して手を握り締める。
「ごめっ……ごめんねっ……守れなくて……ごめんね……」
「……だ……じょうぶ?……まゆ……怪我……ない?」
明らかに自分の方が重症であるはずの優花が、それでも真由羅のことを気遣って優しい言葉をかけてくる。
あれほど里の掟に逆らえず、主を人質に取られ、彼女を二度も裏切った自分を気遣ってくれる優花の優しさに、真由羅はただうなづくことしかできない。
健太郎はそれを見ながらも無言で優花の体を真由羅に預けると、苦痛に顔をゆがめながらもこちらに駆け寄ってきた久徳に、声をかけた。
「白虎、治癒能力を持っていたよね?優花の手当てをお願い」
「は……はい」
自分の能力を知っていた健太郎に戸惑いを感じながらも、久徳は真由羅の腕の中にいる優花に静かに触れる。
それを見届けたあと、健太郎は立ち上がると、真由羅は慌てて声をかけた。
「里見君っ!まだ蜜夜と諒がっ!」
「残念だけど、あの二人は俺の属性じゃない。俺の力じゃ開放できない。今はとにかく二人で協力して、優花の治癒を続けて」
そう言うと、健太郎は静かに後ろを振り向く。
それは静かに、何事もなかったかのように健太郎を慈しむ瞳で見つめていて。
こぼれ落ちていく涙は小さな宝石の塊となって地面へ落ちていく。
「久しぶりの再会に……随分手荒な事をしてくれた……けれどそんなこと気にしない……許してあげるよ……。ああ……流……ようやく会えた……」
まるで先ほどまでの憎悪を感じ取れないほど喜びに満ちた表情に、里の人間は表情を曇らせ、健太郎はまっすぐに光を見つめたままでいる。
足をゆっくりと動かし、健太郎に近づいてくる光を、健太郎は抵抗もなく自分自身からゆっくりと近づいていく。
両手を広げ、今にも抱き寄せんとする光の目の前で、健太郎は足をとめ、はっきりとした言葉で光に言った。
「光、賭けをしないか?」
その言葉に、光は両手を広げた形のままピタリと脚を止め、眉をひそめる。
けれど健太郎はそんなこともお構いなしに続けて言った。
「俺はまだ人であることに未練がありすぎる。お前と一緒に帰ってもきっとまた同じことを繰り返すだろう。そのために、だ。俺の連れ二人と、ここに居る里の人間とを戦わせよう。もし里の人間が二人を殺すなり倒すなりした場合、お前の勝ちで、俺はお前と共に帰る。もし俺の連れ二人が里の全員を“反撃できなくなるまで”追い詰めたら、俺の勝ち。里を開放して俺を諦めてほしい」
「っあははっ!流どうしたんだい?可笑しいこと言うね。お前を殺したのは人間だよ?それなのに人に未練があるだって?まったく生まれ変わっても馬鹿げたことばかり……」
「俺を殺したのはお前だ光」
光の言葉を遮るように健太郎が冷たく言い放てば、光はグッと口を閉じ、健太郎を睨んだ。
「あの時、俺を殺したのはお前だ」
もう一度同じ言葉を繰り返せば、光はただ口をゆがめ、詰まらなそうに目の前にいる健太郎を見つめた。
言い訳することも、肯定することもせずに、光はゆっくりと里の人間を見渡せば、光は口に醜い笑みを浮かべて言った。
「その賭け乗ってあげるよ。たった二人の人間を殺すなんてどうってことないだろう?」
「決まりだな。戦い方は自由だ。俺達は一切手出しをしない。俺との約束だ……守れるよな光」
力強くそうつぶやけば、光はふんっと鼻で笑いながら里の人間をもう一度見渡す。
「ちゃんと殺せよ。身内殺しをしてるんだ、他人を殺すくらいどうってこともないだろうグズ共」
光の言葉に、里の人間は目を見開きギリッと歯を食いしばる。
こんな風にした本人がそのような発言をして許されるわけもない。
けれど彼らには抵抗する力も、言い返す言葉もないのだ。
先ほどまで体に感じていた重圧は解けても、心に感じる重圧は絡みつくように縛り付けている。
そのとき、警官の一人がまだ解けぬ重圧の中声を荒げた。
「ふざけるなっ!私達を目の前にして殺し合いなどさせるかっ!殺し合いになってみろっ!お前ら全員死刑確定だぞっ!!」
警官の叫ぶ理由がわからないでもない。
それは一般論であり、無関係の人間が繰り出す言動に過ぎない。
いつまで続くかもわからないこの戦いに、警察は必ず動きだすだろう。
「ばっかだなぁ、俺ら普通の高校生だよ?殺すわけないじゃん。まだ全うな人生送りたいし♪」
怒り狂う警官の言葉に、緊張感のない声が響く。
そこにいた全員が振り返れば、笑顔でそこに並ぶ二人の姿があった。
手には改造モデルガンをぶら下げて歩み寄ってくる健吾に、改造マシンガンをぶら下げている智樹が追いかけるように歩いてくる。
この緊張感を知ってか知らずか、相変わらず気の抜けた笑みを浮かべる二人の姿に、警官は驚愕した。
「なぜ……なぜだっ!なぜ入ってこられるっ!?門前には別の警察官達が待機して……」
「ああ、あの人たち?」
「里見は入れたくせに、俺達入れてくれないからさ、ちょっと眠ってもらっちゃったよ」
「なっ!?」
絶句する警官をよそに、健吾の視線はすでに健太郎に向けられ、ため息交じりの言葉を吐いた。
「ちょー、里見、お前先行かないでよ。入るのめっちゃ苦労したし」
そう言ってヘラヘラと笑う健吾に、健太郎は呆れた表情を浮かべる。
「お前らが先行けっていったんだろう?でも早かったな?」
「ここ入るのに10分も費やした。ゲームの説明は?」
「今したところ」
あまりにも場違いなのんびりとした会話に、そこにいた誰もが唖然とした。
まるで少年達が、自分達よりも年下の彼らがそんな肝の据わった会話をしていることが不思議でたまらない。
警官でさえ足をすくませていたこの場に、足をしっかりと地面につけ、楽しそうにしている様子を見て、誰もが驚いて当然だろう。
そんな里の人間達をよそに、そのゆったりとした会話は続いた。
「あれ?じゃあもう戦闘開始してOKなわけ?」
「いいんでない?」
「そっかそっか、じゃあ遠慮なく」
そう言って健吾と智樹が周囲にいた里の人間に銃口を向ける。
未だ動くことができないでいる里の人間に、智樹はニッと笑みを浮かべて言った。
「退屈させんなよ?」
その言葉と共に、里の人間は我に返ったように顔を見合わせ、フッと笑って体制を整える。
と思えば即座に動き出し、二人に襲い掛かってきた。
「さっ!踊るぜっ!」
激しい銃声が響き渡る。
次々に二人に襲い掛かってきた里の人間達はその銃声の餌食となり倒れる者が出てくる。
クナイが飛んできた方向を振り返りながら、智樹はそれをかわす仕草をするも、しっかりとよけきれずに頬に赤い線が走る。
そのままクナイを飛ばした人物にうまく脇に入り込むと、銃声を鳴らした。
まともにくらったその人物は、ドサリと体を地面に打ち付けるように倒れこみ、薄れゆく意識の中、智樹を見上げた。
「いい夢を」
一層激しくなっていく戦いを、傷が癒え始めた優花が目を見開いて光の横で立ち尽くしている健太郎に尋ねる。
「殺しっ……」
「殺してないよ。麻酔銃だから眠ってるだけ……。目が覚めれば、悪夢も消えてるよ。大丈夫、俺達は負けない。負ける理由がないんだ」
はっきりとそう言った健太郎に、優花はただ唖然とし、もう一度視線を二人に向けた。
あの二人はただの高校生だ。
それがどうしてここまで里の人間と渡り合えるほどの戦いができるのかが不思議だ。
里の人間と言えば忍者になるために訓練されてきた人間ばかりだ。
漫画のような分身の術など使えたものではないが、普通の人以上に戦い方を知っている。
健太郎が賭けの話題を持ち出したときには、勝つことがありえないと自覚していた。
ところがだ。
二人は怯むことなく向かってくる里の人間と戦っている。
彼らが戦う理由などないのに。
なぜ彼らを戦わせているのか、健太郎の考えていることがまったくわからず理解できない。
ふと、視線を健吾に向ければ間合いを取るために後退するように走っていく一人を、健吾もまた追いかけるように走っていく。
足に自信があるのか、後ろも振り返らずに走っていくその人は、すでに真横を平行に走る健吾を見て驚愕した。
「なっ!!」
「なんだ、忍者って言うから期待してたけど、たいした走りしないね。目が覚めたらちゃんと走り方教えてあげるよ」
にっこりと笑みを浮かべながら健吾は銃口を向け、引き金を引く。
「何だっ!?なんだあいつ等!?」
「ただの高校生じゃないのかっ!?」
彼らのあまりにも順応的な戦いぶりに、里の人間は戸惑いの声を上げた。
その言葉をきき、健太郎は額に汗をたらしながらもニッと微笑みそれを見守り続ける。
『そんな賭け、光が乗るとは思えない。第一お前らが戦う理由がない』
『賭けに乗せるのはお前の仕事。俺達が戦う理由なんてひとつしかないだろう?』
『なん……』
『お前が戦ってる。だから俺らも戦う。それ以外に理由はない』
「……ただの人間じゃないのか?」
初めて焦りの言葉を漏らした光に、健太郎は視線をそらさないままはっきりと言った。
「we are three knight」




