美術の時間 ~彫像造り~
ある美術の時間のことです。
その日の授業は彫像造りでした。
二人一組に分かれて片方の人がモデルをし、
もう片方の人はモデルの人を彫っていく、という形式でした。
私は刃物が怖く、また手先も器用でないためモデルになり、相方の人に彫ってもらうことにしました。
私の相方は、彫刻が得意らしく手を止めることなく、彫り進めていきました。
授業が終盤に差し掛かる頃には、白くて冷たいもう一人の「ワタシ」ができていました。
相方の子は、「ワタシ」の細かな部分を削っていき、いまにも完成しそうでした。
その時、
・・・ゴキリ、鈍い音が響いて「ワタシ」の手が折れてしまいました。
「ああ!」
相方の子は、声をあげて彫刻刀を取り落としてしまいました。
私にそっくりな「ワタシ」の腕がない光景には、気味の悪いものを感じました。
でも、もう少しのところで失敗してしまった相方の子はきっと残念に思っていることでしょう。
そう思い私は相方の子に声をかけました。
「もう少しだったのに、残念だったね」
すると、相方の子は悲しそうに微笑み、言いました。
「ほんとにあと少しだったのにね」
そして、小さな声で付け加えました。
「もう少し先のほうで折れば、完璧だったのにね」
作者の茂吉です。前回の話と似たような話になってしまいました。
前回の話で頂いた感想を参考に、「」内の。はのけておきました。
ご指摘ありがとうございました。
あと、これからこのような短編を少しずつ書いていくつもりですが、連載として投稿したほうが読みやすいでしょうか?
連載のほうがいい人は感想欄に書きこんで頂けるとありがたいです。
最後になりましたが、このような文を読んでいただきありがとうございました。