11 33-0から始まる野球
今日は魔術学院恒例の春の野球大会です。
私達一年一組は三年一組、皐月先輩のクラスとの対戦なのですが、一回の表が終わった時点で33-0で負けています。
野球ってこんなに点が取れるスポーツだったっけ?
「どないするー?もうノーアウトランナー満塁から始めてもええよー」
ピッチャーの奥村先輩が一年チームの一番バッターの佐倉君に声をかける。
この野球大会はあくまでも楽しくやるが前提なので、生徒間でルールは自由にしていいことになっている。
但し魔法を使うのは絶対に禁止。
あくまで野球で勝負すること。
「まだ一回なので早いんじゃないかと思います」
「じゃあもう初めてええ?」
「あの」
二番バッターの筧君が挙手する。
「なにぃ?」
「外野手一人でお願いします」
「ええよー、皐月以外ベンチ帰ってー」
「後内野はショート一人で」
「かーけーいー、千早先輩の負担エグいじゃん、ダメだろー」
「ショート一人て、ゲッツーどないするねん?」
「ピッチャーがベースカバーに行けばいいと思います」
「まぁええか」
「いいんですか?千早先輩、いいんですかー?」
「いいよー。頑張んなー、佐倉」
「はい、頑張ります」
佐倉君がツーベースヒットを打ち、筧君のヒットでホームに帰ってきたので、ベンチにいる皆でハイタッチで迎える。
なんかこういうの、いいな、楽しい。
三番バッターはかのんちゃん。
中学まで野球部で、ショートやってたんだって。
左のバッターボックスに入っているのがいかにも経験者って感じがしてかっこいい。
「かのんちゃーん、カーブ行くでぇ」
「めんどくさいんで、ど真ん中ストレートでいいですよ、先輩」
「かのんちゃん、つれないー」
「早く投げてください、先輩」
「もうちょっと会話楽しもうやー」
「遅延行為ですよ、先輩」
「はーい」
かのんちゃんがフェンス直撃のスリーベースヒットを打ち、四番の中学ではキャッチャーをやっていたという水上君のヒットで二点目が入る。
一回の裏の攻撃を終えて33-2。
「あの」
筧君が奥村先輩に話しかける。
「外野二人増やしていいですか?」
「ええよ」
「内野も二人増やします」
「ええけど、どうせ俺らホームランしか狙わへんで、しみったれたヒットなんて何本打ったってしゃーないし」
「奥村先輩、野球はツーアウトからなんですよ」
佐倉君が満開の笑顔で言う。
「それはそやけど、今言うセリフではないかなぁ」
二回の表の三年生チームの攻撃は四番から六番まで三者連続ホームラン。
七番ショートゴロ、八番ホームラン、九番デッドボール、一番奥村先輩ホームラン。
二番皐月先輩、センターフライ。
三番千早先輩センターフライ。
スリーアウトチェンジ。
二回の表終了、39-2。




