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第39話花嫁入場ー僕にとって一番綺麗な人

いつも、お読みいただきありがとうございます。

今回は、いよいよ結婚式のシーンになります。

やっと、結婚まで辿り着いた二人。喜びと感動と正式に夫婦、家族になれた嬉しさを描いています。

また、ジョエル神父の心の声、儀式中の真剣さなど見てもらえれば幸いです。

今回は教会式のシーンとなります。

Scene 1:祭壇の前 ― 緊張と喜びの狭間で(エリック)


教会の祭壇の前、


エリックは胸に手を当て、深く息をした。


(大丈夫……大丈夫だ……

 リサが……来る。僕の……花嫁が……)


でも足はわずかに震えていた。


その時、祭壇に立つエドガー(ジョエル神父)が

小声でつぶやく。


「深呼吸、エリック。倒れたら式どころじゃないぞ。

 ……大丈夫だ。ちゃんと見ててやるから。」


友人の声が混じったその一言が、

エリックの緊張をそっと解きほぐす。


(ありがとう、エドガー……)


大扉の前に、静けさが落ちた。


スタッフが合図する。


「新婦、入場します。」


エリックの心臓が跳ねた。


挿絵(By みてみん)


Scene 2:リサ視点 ― 光の中へ


扉の向こうで、リサは父・グレイと腕を組んでいた。


お腹の赤ちゃんが小さく動く。


(大丈夫よ……一緒に行こうね。)


深呼吸。


ベール越しに光が揺れる。


スタッフが扉に手をかけた瞬間、

グレイが小さく囁いた。


「……行くぞ、リサ。」


リサは微笑む。


(エリック……今、行くね。)



Scene 3:扉が開く ― 世界が変わる瞬間


パイプオルガンの音が流れた。


大扉がゆっくり、ゆっくりと開いていく。


光が雪のように差し込み——

その中にリサが立っていた。


母から受け継いだドレス。

白いベール。

穏やかな笑顔。

そして、お腹の赤ちゃん。


エリックの目から涙が零れた。


(……綺麗すぎて……

 息……できない……)



Scene 4:エリック号泣 ― 感情の崩壊


リサが一歩踏み出した瞬間、

エリックは胸を押さえて、肩を震わせた。


「……リサ……っ……」


本当に声にならなかった。


涙が溢れて止まらない。


視界が揺れる。


リサは、そんなエリックを見て微笑んだ。


(本当に……泣いてる……

 エリック……かわいい人……)


父グレイの腕の中で、

リサの目も静かに潤んでいく。



Scene 5:司祭ジョエル神父 ― プロの仮面の裏


祭壇前で、ジョエル神父は

完璧な司祭の表情で二人を待っていた。


しかし内心は——


(開幕30秒で号泣……!

 頼む、エリック、落ち着いて……!式中に倒れるのは困るぞ!!

 オレも職務中なんだって!!)


だが顔には一切出さない。

完全なる“司祭の仮面”をかぶっていた。



Scene 6:バージンロード ― 心が重なる歩み


父と腕を組みながら、リサはゆっくりと歩く。


足元に広がる白いバージンロード。


その先には、

自分を泣きながら見つめる愛しい人がいる。


(エリック……私、あなたのところへ行くね。)


エリックは泣きながら笑った。


(来てくれて……ありがとう……

 本当に……ありがとう……)


挿絵(By みてみん)


Scene 7:父から新郎へ ― 手の受け渡し


祭壇前。


グレイが娘の手をそっと取り、

エリックの手へゆっくりと重ねる。


「……リサを頼むぞ、エリック。」


エリックは涙の滲む目で、まっすぐ頷いた。


「……はい。必ず……守ります。」


リサが囁く。


「もう……泣きすぎよ。」


「……ごめん……綺麗すぎて……無理……」


二人は思わず笑った。


挿絵(By みてみん)


Scene 8:司祭の導き ― 優しい声


ジョエル神父の落ち着いた声が響く。


「それでは……

 エリック・コールとリサ・ホイットニーの結婚式を

 ここに執り行います。」


その声は厳かで、温かくて、

どこか友人としての愛情がにじんでいた。


(……エドガーの声、今はジョエル神父だけど……でも……告解の時の神父様にも聞こえる気が……

 いや、考えるな。今はリサだけだ。)


エリックはまた涙をこぼす。


(リサ……君となら、一生を誓える……)


Scene 9:聖書朗読 ― 祈りの静けさ


ジョエル神父はゆっくりと聖書を開いた。


その動作は司祭としての厳かさに満ちているが、

エリックの涙に気づかないふりをしてくれている優しさもあった。


「『愛は寛容であり、愛は情け深い……すべてを耐え、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを忍ぶ』

 ——コリントの信徒への手紙より。」


式場の空気が静かに震える。


エリックは涙を拭いながら、

(リサ……君のことだ……)

と胸に手を当てた。


リサもそっと瞼を閉じ、

母の残した想いと、今隣にいる“家族”の温かさを抱きしめる。



Scene 10:誓約 ― 二人だけの声


ジョエル神父が二人に視線を向ける。


「では、誓いの言葉に移ります。」


エリックとリサは向かい合う。


エリックは震える手を握りしめ、

涙で曇った視界の中でリサを見つめた。


「エリック・コール。

 あなたはリサ・ホイットニーを愛し、

 苦難の時も、喜びの時も、

 これからの生涯、彼女を敬い、

 支え続けることを誓いますか?」


エリックは息を吸い込んだ。


「……誓います。

 僕は……リサを一生……守ります。」


リサの目が優しく揺れる。


続いて、神父がリサへ。


「リサ・ホイットニー。

 あなたはエリック・コールを愛し、

 病める時も、健やかなる時も、

 これからの生涯、彼を尊重し、

 共に歩むことを誓いますか?」


リサは微笑んだ。


「……誓います。

 エリックとなら、どんな未来でも歩けます。」



Scene 11:指輪の交換 ― 永遠の証


ジョエル神父が、指輪を乗せた小さな銀の皿を差し出す。


「では、神が結び合わせたこの二人に、

 永遠の証として指輪を授けましょう。」


エリックは震える手で指輪を取り、

リサの左薬指へそっと触れた。


「リサ……これからも……ずっと……側にいてください。」


指輪がぴたりとはまった瞬間、

リサの目がまた潤んだ。


次はリサがエリックの指輪を取る。


(この手が、私と赤ちゃんを守ってくれた手……)


そっと、エリックの指に指輪を滑らせた。


「エリック。

 あなたと歩む未来を……大切にします。」


エリックはまた泣いた。


(リサ……ありがとう……)



Scene 12:誓いのキス ― 世界が静まる瞬間


ジョエル神父が微笑みを湛えながら告げる。


「それでは……神と皆の前で誓いを交わした二人に。

 ——誓いのキスを。」


エリックは一瞬、呼吸を忘れた。


リサは微かに肩を揺らしながら微笑む。


(エリック……大丈夫よ。)


エリックはそっと、

リサの頬に手を添えた。


指先が震えている。


でもその震えごと、優しさだった。


二人は顔を近づけ——

ベール越しに触れる、やわらかいキス。


世界が、音を失ったように静まり返った。


(リサ……君と……家族になれた……)


リサの手が、エリックの胸にそっと触れる。


(エリック……愛してる……)


挿絵(By みてみん)


Scene 13:ジョエル神父、無事に司式を終える。


「——今、ここに。

 エリック・コールとリサ・ホイットニーは夫婦となりました。」


式場が拍手に包まれる。


その後ろでジョエル神父は、

司祭の顔で、ホッとした表情で祝福していた。


(オレ……すげぇ緊張してたな!!

二人を見てると幸せそうで……無事に司式できて、良かったぜ!エリックも倒れなくて良かったな!!)



Scene 14:退場 ― ふたりで歩む初めの一歩


エリックがリサの手をしっかり握る。


涙はまだ乾かない。


けれど今は、誇らしげに笑っていた。


「行こう、リサ。」


リサは微笑んで頷く。


「ええ、エリック。」


二人はバージンロードをゆっくりと歩き出す。


この先に待つ未来へ。

ふたりと、これから生まれる家族が歩む、

新しい人生へ。


挿絵(By みてみん)


お読みいただき、ありがとうございます。

やっと、正式に夫婦、家族になった二人です。

まだ、博士課程中の身で、これからも大変な二人ですが、ひとまず無事に式を終えました。

次回は、どのような、祝宴の場になるのか、お楽しみくださいね。



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