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死刑囚だった俺が小学生に転生!? 裏切られて死んだけど、ここからは俺のターン。裏切り者は詰みです。  作者:
1章 序章

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16話 本性

 意識を失った男を踏み越え、俺はすぐさま警棒を拾い上げた。

 想像以上に重量がある。だが、それがむしろ好都合だ。リーチが稼げる。


 残る敵は五人。全員が警棒を構え、囲むように位置取りを変えている。

 その目に油断はない。どうやら、“只者じゃない”と理解したようだ。


 だが、――自分からは仕掛けない。

 正面からぶつかれば、ただの力比べになる。

 力で勝てないなら、カウンターで勝つ。


 ――まずは、来い。


 一人が痺れを切らし、飛び出してきた。

 狙いは胴。警棒を肩越しに大きく振りかぶってくる。


 俺は体を左にスライドさせ、相手の振りかぶる位置から半歩ずらす。

 振り下ろされた棒は空を切り、その瞬間、俺の警棒が右から回り込み、肘へ強打を叩き込む。


「ぐっ……!」


 鋭い打撃により、相手の手から棒が滑り落ちた。

 俺はすかさず一歩踏み込み、相手の鼻へ警棒を横に振りかぶる。


 鈍い衝突音。男はそのまま崩れ落ちた。


 残り四人。二人が同時に動き出す。

 左右から挟み込むように突っ込んでくる。


 俺は右の男へと一瞬だけ意識を向け、視線でフェイントをかける。

 釣られた右の男の動きが一瞬硬直。その隙を逃さず、左の男の膝へ警棒を一閃。


 膝を崩した相手に、体をひねって回し蹴りを叩き込む。

 ぐらついた男はそのまま膝から崩れるように倒れた。


 すぐさま体勢を戻し、右側の男へ視線を戻す。

 右側の男が慌てて振りかぶろうとしている。

 不慣れな相手の動きを察知しつつ、右の男の喉元へと突きを一発。

 小さな悲鳴とともに、男も崩れ落ちる。


 ――残り二人。


 ここまで数秒。

 アドレナリンを感じる……。

 ――体がゾクゾクする。


 何度も死線を乗り越えてきたが、この感覚はたまらない。

 おもわず小さな笑みがこぼれる。


 相手は俺の動きを見て表情が変わる。動きも変わった。


 “カウンター狙い”がバレたか……。


 残る二人は、あえて警棒を振らず、体ごと間合いを詰めてくる。

 接近戦に持ち込めば、反撃の余地を潰せると判断したのだろう。


 俺は舌打ちを一つ。

 この距離ではできることが限られる。


 ならば――やることは一つ。

 俺はおもむろに、二人を挑発した。


「お兄さんたち……。小学生相手に何ムキになってんの? 恥ずかしくない?」


 そう言って、わざと警棒を落とし、手招きをする。


「このガキッ!」


 二人が同時に突っ込んでくる。

 片方が右から、もう片方が正面から手を伸ばす。


 俺は右に視線を向けたまま、正面からの手を受け流す。

 そのまま手首を掴み、相手の勢いを利用して引き寄せる。


 膝を落としながら腕を引き、背中に乗せて――投げる。

 重力が、小柄な俺の味方をしてくれる。


「うぐっ……!」


 男の体が宙を舞い、アスファルトに叩きつけられる。

 その音に、もう一人が一瞬だけ怯んだ。


 その隙を見逃すわけがない。

 ステップを踏み込み、相手の腰に回り込む。


 足を払って、腰のひねりで一気に浮かせる。


「はっ!」


 短く息を吐きながら、全体重を乗せて投げ飛ばす。

 相手もまた、呻き声を漏らしながら地面に沈む。


 静寂が戻った。


 だが、体は正直だ。

 額から冷や汗が垂れ、筋肉のあちこちが悲鳴を上げている。


 (……戦い方は覚えている。でも、体は追いついていない。)


 未使用の筋肉を、いきなり本番で使った反動が出ている。

 全身がじわじわと痛む。


(応援が来る前に……離れないと)


 俺は痛む体を引きずるように、踵を返した瞬間――


「――動くな」


 路地の奥から、足音が三つ。


 その場に似つかわしくない、冷たい視線を纏った男たちが現れる。

 スーツ姿。明らかにさっきの連中よりも“上”。


 三人。その手には、同じ警棒。

 同じ武装だが、圧が違う。


 さっきの奴らとは明らかに違うことが、よくわかる。


(……なるほどね)


 俺はゆっくりと姿勢を正し、

 引きつった笑みを浮かべる。


 心臓はバクバクいってる。

 でも、脳は逆に静かに、興奮していた。


 正面から3名。


「うぐっ……」


 後ろには投げたやつが意識を取り戻しはじめている……。

 その光景を見た俺は、絶望の中で体が熱くなる。


 俺の中で、ワクワクとした感覚が牙を出す。

 血が、戦いを思い出してきている。

 体も、痛みの中で順応を始め、今まで感じてたズレのような違和感が消え始めていた。


(おもしれぇ……)


 近くに落ちていた警棒を拾い上げた……。


「で……お兄さんたち、何者? 

 せっかくの放課後なんだけどな。

 邪魔が入ると、予定が狂うんだよ――僕の計画が」


 ゆっくりと目を細め、口元に笑みを浮かべる。


「だからさ、邪魔するなら……全員、消えてもらう。

 “俺“の計画を壊すやつは、例外なく――消えてもらう」


 リーダー格と思われる男の顔に怒りが混じる。


「てめぇ、今すぐ倒せ!このガキを!」


 一人目が鋭い突きを繰り出す。

 警棒で相手の棒を受け止めると同時に、素早く一歩踏み込み、膝へ打ち込む。


「ぐっ……!」


 男が痛みに顔を歪め、動きが止まった隙に、警棒をそのまま横に振りかぶり、強打を見舞う。

 鈍い音とともに男は地面に倒れ込む。


 次に、二人目が素早く距離を詰めてきた。

 俺は一度足を引き、後ろへ引きつけるようにしてから、相手が警棒を振る直前に体を入れ込み足をさらう。


「うおっ!」


 男は足を取られ、そのまま転倒。俺はその瞬間を逃さず、膝で相手の体重をかけて倒す。


 一瞬の静寂。


 そして最後の一人が、俺に向かって来る。

 恐らく、こいつがリーダーだろう。


 だが、そんなことは関係ない。


 相手が警棒を上段に構え、振り下ろしてきた。

 その動きを捉えた瞬間、俺は冷静に一歩後退し、相手が振り下ろした警棒を一気に上から叩きつけて弾いた。


 その隙を見逃さず、俺は素早く相手の顎に掌底を叩き込む。

 相手は脳震盪を起こしたのか、膝から崩れ落ち、意識が遠のいていく。


 だが、俺はそれで終わらせるつもりはない。

 背後に回り込み、相手の腕を一気に掴んだ。


 耳元で低く囁く。


 悪魔の囁き――。


「お兄さん、お願いがあるんだ。これ伊集院家の執事にやられたってことにしてくれないかな?」


 相手の顔が青ざめる。震えた声で、必死に言葉を絞り出す。


「お……お前は……」


「僕の言っていることがわかるかな?」


 冷徹に続ける。


「君もまだまだ下っ端でしょ?子供に負けたとか……そんなこと言えないよね?」


 リーダー格の顔が青白くなり、焦りがひしひしと伝わってくる。俺はその腕にさらに力を加える。


「”俺”のことは忘れるんだ。いいね?もし口外したら、近いうちに必ず殺すから。」


 リーダー格の耳元で、さらに冷ややかに囁く。


「わかった…。分かったから腕を!」


 相手は必死に訴える。


「わかっていないね。腕、折ろうか?」


 俺は冷たく告げ、警棒を相手の肘にあてて、真逆の方へ力を加える。


「絶対に言わない。……言いません。許してください!」


 リーダー格はもう泣きそうな顔をして懇願する。

 その言葉を受けて、俺はリーダーの胸ポケットから財布を引き抜く。

 身分証を確認し、冷徹に拘束を解く。


 身分証を返しながら、リーダー格がまだ冷静さを取り戻す前に、俺は最後に告げる。


「さっさと部下を連れて撤収しろ。通報されててもおかしくないぞ。」


 その言葉にリーダーは顔を歪ませながら、仲間を起こし始める。

 俺は一歩後ろに下がり、リーダー格に最後に告げる。


「約束は忘れるなよ、鮫島(サメジマ)さん。」


 俺は深呼吸をし、荒い息を整えながら周囲を見回しながら移動を開始する。


(追手や、怪しい車などは見当たらない)


 安心した瞬間、今まで抑え込んでいた痛みが全身を襲ってきた。


(明日は全身が筋肉痛だな……)


 血の匂いが染み付いたアスファルトを背に、俺は足を踏み出す。

 帰路につきながら、戦闘の余韻に浸っていた。

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