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第4話 顔合わせ


 酒場の隣にある宿屋の中にて。

 俺はリーンに連れられて他の二人に紹介してもらう事になった。

 これからの異世界ライフに関わってくる大事な場面、ここで失敗する訳にはいかない。


「という訳で、私たちに新たなご主人s……仲間が増えました!」


 お前、大事な初手で何を言いかけた?

 これ以上俺をおかしな性癖に巻き込むんじゃない。


「おおっ!? リーンがまた知らない人連れてきたぁ!?」

「……だれ?」


 赤髪の美少女と緑髪の美少女……えーっと、クリムとイブだったか?

 クリムは楽しそうに、イブは無表情に俺を、というかリーンを見ている。


 てかおい、今『また』って言ったか?

 もしかしてこの三人組で一番問題があるのってリーンじゃねぇの?

 最初は真面目枠かと思ったもんだが……人間、わからないもんだなぁ。


「さっきそこで運命的な出会いを果たしたの! 今度こそ私のご主人s……仲間になってくれるよ!」


 ボコられた挙句に意思確認無しで整形させられたの間違いでは、などとツッコミは入れない。

 折角顔と声が変わってるんだし、バレなきゃこのまま逃げられるからな。

 借金なんてもんは踏み倒すものって相場が決まってんだよ。

 どこの相場かって? そりゃ全俺中に決まってる。


「うーん、じゃあ一週間くらいお試しでパーティ組んでみよっか! アタシはクリム、斥候(スカウト)だよっ!」

「……イヴ。錬金術師(アルケミスト)。よろしく」

「そして私がリーン、僧侶(ヒーラー)です。改めてよろしくお願いします!」


 ほうほう……ん? いや、ちょっと待て。

 ゲームだと前衛が敵の動きを止めて魔法使いが攻撃、僧侶が回復って役割分担だと思うんだが。

 このパーティだと……役割分担ってどうなってんだ?

 てか斥候(スカウト)錬金術師(アルケミスト)って戦闘できるのか?


「あっ! その顔はアタシたちの実力を疑ってるねっ!?」

「いや、そういう訳じゃないんだが……理解は出来てないな」

「これでも二等級の冒険者だから強いんだよっ!」

「あぁ、そういやそんな事言ってたな」


 ふむ、二等級ねぇ。二等級かぁ。なるほど。


「なぁ、二等級ってどのくらい強いんだ?」

「……冒険者等級を知らないの?」

「全く知らん。なんだそれ?」


 言い切った俺に向き直ると、イブが無表情に補足してくれた。


「……言葉のまま。冒険者は最初五等級で始まって、四等級から一等級まで上がっていく」

「ほう。じゃあお前らは上から二番目か。それって凄いのか?」

「……大陸に三十人くらいしかいないはず」


 なるほど、いわゆるランカーって奴か。

 つまり冒険者としてかなり優秀らしい。

 ……クリムとイブはともかく、リーンも優秀なのか。

 この世界ってよく分からないなぁ。


「むむっ! その目は疑ってるねっ!? なら明日、実戦を見せてあげるよっ!」

「……その目に焼き付けるといい」

「そうです、まずは私たちの活躍を見ててください!」


 疑っていたのは実力じゃなくて人格面なんだが……

 まぁ、何だかやる気満々の三人によって、そういう事になった。






 そういう事になったのだが、俺が無一文な事には何も変わりない訳で。

 という事は、今日寝る場所も無い訳で。


 うーん。ここは一つ、ちょっとだけ頑張ってみるか。

 クズだニートだと言われ続けた俺でもやればできるって所を見せてやろうじゃねぇか!


「おいリーン、今日の宿代くれ」

「はいぃぃぃ♡ よろこんでぇぇぇ♡」


 労働ってちょろいなぁ、うん。

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