5、ストレス解消?
駆け付けたアマンドを無下にも出来ないのでラッセルと一緒に応接間で話をすることになったロザンナは支度を済ませて向かうと彼を見た瞬間に嘔気がした。
「…はじめましての筈なのですが…貴方を見ていると腹立たしさと吐き気がします。まずは挨拶代わりに一発殴らせて下さいっ!」
挨拶を述べながらロザンナは彼が話す前に拳で一発お見舞いしていたが手が少し痛くて擦っていた。
「…ロザンナ嬢?何故私が殴られないといけないんだ!はじめましてって何?君の婚約者のアマンドだよ?」
アマンドは殴られた頬に触れながらその顔には戸惑いかあった。
「アマンド殿…ロザンナは…」
そんな二人の様子を見ていたラッセルはロザンナが記憶を失っている事を話すと青ざめた。
「そんな…私のせいなのか?」
「貴方のせいかは知りませんが…貴方の顔を見るだけで虫酸が走ります。
金輪際顔を見たくありません!どうぞお引き取りください。二度と来ないくださいね。
お父様、もう彼とは会いたくないので宜しくお願いします。本当に気分が悪いので戻ります!」
この際だからと本心を口にした後のロザンナはなんとか嘔気を抑えながらラッセルが口を開く前に素早く退室した。
(…あれ?なんだろう?なんだか凄く心も体も軽くなったような…?)
本音を口に出来たロザンナは部屋を出ると精神的な苦痛から解放されたような気がして気分も良くなると部屋に戻るのが勿体なくなり、そのまま庭に出て散歩をしてると馬屋に着いた。
「ねぇ、私でも乗れる子っている?」
ロザンナが声を掛けると馬屋番はギョッした表情になった。
「お、お嬢様!?何故こちらに?」
「散歩してたら着いちゃったの」
ふふっと笑うと彼は困った顔をした。
「…えーっと、お嬢様は旦那様に馬は止められていた筈ですよ?」
「そうなの?特に困ってないけど…私って記憶が無いみたいなのよねぇ…だから言われたとしてもそれは過去の私の事でしょ?全く覚えが無いから乗り方教えて?」
「お、お嬢様!いけません!旦那様からお叱りを受けますよ」
ロザンナが無茶振りをして馬屋番を困らせていると、探しに来たのか後ろから慌てた様子で声を掛けられた。
「あら、マーサじゃない?どうしたの?私が過去の事を綺麗サッパリ忘れてるのは知ってるわよね?」
「はい。存じております。ですから尚更おやめください!」
「それなら問題ないわよ!過去に言われた事なら今の私には関係ないもの。
大丈夫!今の私ならイケル!もうイケル気しかしないのよ!」
自信満々に言いきるロザンナにマーサは青ざめていた。
「おやめください!私共が旦那様に叱られます」
「それなら黙ってなさい!」
「そういうわけにはいきません!」
「なかなか頑固ねぇ?それで貴方の名前は?」
面倒臭そうにマーサから視線を外して話題を変えると、いきなり目を向けられた馬屋番はこのままマーサがなんとかしてくれると思っていたので油断していて焦った。
「わ、私ですか?私はジェム・ロジャーと申します」
「なかなかワクワクする名前ね。ではロジャー、改めて今から私に馬の乗り方を教えてほしいので宜しくお願いします」
「…し、しかし…」
「大丈夫よ!気付かれなきゃいいのよ!さあ、ここで時間を掛けてる場合ではなくてよ!」
「わ…わかりました」
どうしても馬と触れ合いたいのか諦めてくれないので仕方なく教える事になった。
ロジャーはロザンナが選ぶ前に比較的大人しい馬を勧めると世話から教えた。
「なるほど、まずは親睦を深めるのね。この子の名前は?」
「メイです」
「あら、貴女は女の子なの?私の名前はロザンナよ。貴女と仲良くさせて貰えると嬉しいわ。これから宜しくね」
ロザンナはメイに触れると声がした。
「ええ、御転婆なロザンナお嬢様、宜しくね」
「あら?貴女…そうなのねぇ…なんだか楽しくなりそうね」
思わぬ話し相手が出来て今後が楽しみでならなかった。
アマンド:いきなり殴るなんて…
ロザンナ:仕方ないでしょ!腹立たしいんだがら!ここはスッキリしたいもの!
ラッセル:…だからと言って殴るのは…
マーサ:そうですよ。少しは淑女らしくなさいませ。
ロザンナ:以前の私の事はわからないけど今の私は殴る一択よ!それよりもロジャー、宜しくね。
ロジャー:はい。あまり無茶はしないでくださいね?
ロザンナ:無茶はしないわよ。楽しむだけだから。
ここまで読んで下さって有り難う御座います。
これからロザンナは好き勝手しますわ!
メイ:ふふっ、相変わらずお転婆さんねぇ




