2、ここは何処だ?
「うわぁー、良い匂いー。ずぅーーっと花道が続いてるぅ…この先に何があるのかなぁー」
ワクワクしながら道を進むとなんだか暗い場所に着いた。
「あれ?今度は真っ暗だ…ここは洞穴か何か…?かなぁー?」
冒険者になった気分を楽しみながら更に奥に進んで洞穴から抜けるとそこは大きな川があり、その先には一面の花畑が広がり更に空には満点の星空が煌めいていた。
「不思議だなぁ…星空なのに花畑は明るい…」
川沿いを歩きながら橋を探していると後ろから何かに引っ張られて叩かれた。
見ると拳を握った長身の人がいた。
その人は白い服を着て、水色の髪に蒼い瞳の綺麗な男性だった。
「おぉー!人がいた!でも殴らないでくれます?死んでても痛いんですけどぉー?」
「君は何処から来た?ここで何をしてる?」
「私は死んだみたいなので花道を通ってこの先の花畑の先に何があるのか気になって探索しに来ましたー」
頭を擦りながら明るく元気に話すと彼は呆れていた。
「…君はど阿呆なのか?生きてるか死んでるのかすらわからんとは呆れて物が言えん!」
「呆れていてもそれだけ言えたら十分ですよ?」
「減らず口を…君はまだ生きてるからこれ以上は行ってはいけない!さぁ、早く戻りなさい」
その人は戻る道を示したが私は川の向こうに行きたかった。
「えっ?嫌です!折角来たのでこの先を冒険して楽しんでから戻ります!」
「この先は死者の国だ!君の様な者が行くと穏やかにいる者達が迷惑するから帰りなさい」
(イケメンでも失礼な奴だ!)
ロザンナは拗ねてキレた。
「良いじゃん!少しくらい見せてよ!みんな楽しそうだしさぁ?意地悪しないで見せてくれたっていいじゃん!」
彼は何とも言えない複雑な顔をして何処からか杖を取り出し地面を突いた。
すると円を描いたような大きな水溜まりが出来て何かが映りよく見るとそれは家族や婚約者達だった。
「ロザンナ…あんなに明るい子だったのに…早く目を覚ましてあの明るい笑顔を見せておくれ…」
父親のラッセル・クローバー伯爵が悲しそうに声をかけていた。
「ロゼちゃん…早く目を覚まして?」
母親のノアンナ・クローバー伯爵夫人も辛そうだった。
「お姉様…お姉様のあの阿保に思えるくらいの笑い声や笑顔を見ないとなんだか寂しいですわ…」
妹のフィオナ・クローバー伯爵令嬢が寂しそうにして声を掛けていたがロザンナはその言葉にカチンときた。
「フィオナ…良い度胸ね?ぶん殴る!」
「少しは戻る気になったか?」
「秒で行って帰って来ますからちょっと待ってて!」
ロザンナはフィオナの映った水溜まりに拳を突きつけるとそのまま吸い込まれ、着いた先は映像の中にあった彼女の眠る部屋だった。
「フィオナ!一発殴らせなさい!」
頬を目掛けて拳を振るとスカッと透けて殴れなかった代わりにフィオナの本音が聞こえた。
(お姉ちゃんの馬鹿!いつまで眠ってるのよ…嫌味言ったんだからいつものように起きて殴ろうとしてみせてよ…)
とても寂しそうな声に少しだけ罪悪感が湧いてきていた。
「どうだ?まだ戻る気は無いか?君はまだ生きている。戻りたいと思えば戻れるぞ?」
先ほどの男性が後ろにいた。
「そういえばあんた誰?」
「今更か…」
彼は呆れながら続ける事にした。
「私はあの境を守る者で名はゼロだ。本来はあの場所まではかなりの時間が掛かる筈なのに、何故か君は短時間で行ってしまったために見過ごしてしまった。
いずれはあの場所に行くのだから今は体に戻っておきなさい」
「でもなぁ…あの花畑の奥が気になるんですよねぇ?」
どうしてもあの光景が頭から離れず行かなければ気が済まなかった。
「先程も話したが彼処は死者の国だ。生者が行っても良い場所ではない」
「そこをなんとかー!」
「何故そこまで行きたがる?川を渡れば本当に死ぬぞ?」
「え?それでも構わんよ?」
「は?未練は無いのか?こんなに若いのに?」
もしかしたら何か強がっているのかと思ったがそうでも無さそうでまじまじと見ていた。
「んー?一応15年は行きたよね。この先は嫌な婚約者と一緒にならないといけないなら死んだ方がマシかなって感じかな?」
「…そんなあっさりと…」
「本当にもういいんだよねぇ…色々と疲れたからさぁ…とりあえず次行ってみよー」
「……仕方ない…」
あまりにも未練がなさすぎるロザンナに唖然としていたゼロは暫くの間は彼女から離して貰えずしつこく頼み込まれていたのだが認めるわけにもいかないのでまだ寿命ではないから…と早めに戻るように説得を試みても全く聞き入れず諦める気配もなかったので重いため息を漏らしながら仕方なく許可するとロザンナの粘り勝ちで花畑に連れて行って貰える事になった。
ロザンナ:新天地は楽しいね!
ラッセル:お父様はとても悲しいよ?
ノアンナ:婚約者の彼はアレだけど…それで人生終わらせるのはどうなのかしら?早く戻ってらっしゃい。
フィオナ:お姉様…逃げ方ってあると思うわ…不器用なの?
ロザンナ:フィオナ…不器用って酷くない?
ゼロ:その前に何故そこまで未練がないのかが…
ロザンナ:え?だって…アイツと一緒になるとどの道私の人生は終了したようなものだよ?
ゼロ:それはそれでどうかとは思うが…
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ラッセル:ロザンナの気が変らないだろうか…早く戻って安心させて?
ロザンナ:そこに未知の興味があるならまずは確かめないとね。
ゼロ:…騒がしいし…頼むから自分の体に戻ってくれ…




