シンデレラとステキなドレス【陰猫(改)ver】
むかしむかし、あるところにシンデレラと言う少女がいました。
シンデレラは意地悪な継母と二人の姉に言われて、いつも、せっせと働いていました。
普段から働いていたシンデレラはいつしか、仕事をするのが楽しくなって自分から進んで働くようになります。
ある日、シンデレラの家にお城の舞踏会への招待券が届きました。
継母やお姉さんは大変喜びましたが、お城へ行く為のドレスに悩んでしまいます。
それを見かねたシンデレラが言いました。
「私がお姉さま達のドレスを作るわ!
きっと、素敵なドレスに仕上げて見せるわよ!」
そんなシンデレラの言葉に継母やお姉さんは最初こそ、笑っていましたが、いざドレスを仕立てに買いに行こうとすると、とてもドレスの値段が高くて手が出せそうにもありませんでした。
仕方なく、継母達はシンデレラにドレスを作るようにお願いします。
シンデレラは嬉しそうにその日から、せっせとドレス作りの為の準備をはじめます。
「一番上のお姉さまは赤が似合うもの!派手過ぎず、上品さを際立たせたドレスが良いわね!
二番目のお姉さまは黄色かしら!明るくて元気さをアピールしつつ、どこか大人っぽいイメージが良いわね!」
シンデレラはドレス作りに夢中です。
朝から晩まで納得のいくドレス作りに励みます。それこそ、やりがいを感じて寝食すら忘れてしまう程です。
そんなシンデレラに最初は仕方なしにドレス作りを頼んでいたお姉さん達もシンデレラの事が心配になってきます。
「シンデレラ。あんまり無理をしては駄目よ。
舞踏会まではまだ時間があるのだもの」
「そうよ、シンデレラ。そんなに頑張らなくて良いのよ」
「だって、お姉さま達の着ていくドレスですもの!素敵なものに仕上げたいじゃない!」
心配するお姉さん達にシンデレラはそう言ってドレス作りを続けます。
お姉さん達はいつしか、ドレス作りに夢中になるシンデレラの助けになればと思い、普段からシンデレラがしていた家事をこなします事にします。
そして、お姉さん達は普段、シンデレラがこなしていた仕事の大切さに気付きます。
シンデレラが一手間一手間を丁寧にこなし、仕事をする事を如何に大切していたのかを知り、シンデレラのお姉さん達は改めて、シンデレラに押し付けていた事がどれだけ大変な事だったのかとシンデレラが働き者だったのかを理解しました。
いつしか、シンデレラのお姉さん達も仕事をこなす大切さを知り、シンデレラに対して優しく接するようになります。
そして、お城の舞踏会当日になり、シンデレラはお姉さん達のドレスを完成させます。
「お姉さま達のドレスが出来上がりました!これが私の自信作です!」
シンデレラはお姉さん達にドレスを着てみて貰い、最終チェックも入念に行います。
そんなシンデレラにお姉さん達は言いました。
「シンデレラ。あなたの作ったドレスは大切にするわ。それで・・・あなたのドレスはどこにあるの?」
「私のドレス?・・・そんなものは用意してないわ。私はお姉さま達が舞踏会で私の作ったドレスを着て、踊ってくれるだけで幸せよ」
こんな事を言うのでシンデレラのお姉さん達は困ってしまいます。
ここまでしてくれたシンデレラに何も用意せず、いままで意地悪をしていた自分達が恥ずかしくなってしまいます。
どうしたものかと悩んでいるとシンデレラの継母がシンデレラのドレスを用意して待っていました。
「シンデレラ。あなたは一生懸命にお姉さん達の為にドレスを作ったり、仕事をしてくれていたわ。私もあなたにつらく当たってしまって、ごめんなさい。
あなたの姿やお姉さん達の仕事をする姿を見て、私も何かしなくてはと思って頑張ってみたの。
私の昔、着ていたドレスをシンデレラの為に調整したわ。少し古いモデルだけれども私なりに流行やシンデレラをモチーフに身繕ってみたのよ。
良かったら、着てみてちょうだい」
継母の言葉と共にシンデレラは予想していなかったサプライズにとても喜びます。
こうして、シンデレラはお姉さん達と共にステキな舞踏会で一夜を楽しみました。
シンデレラ達が作ったドレスはとても人気でした。
その噂を聞いて、シンデレラは心の中で大変に喜びます。
それからというもの、シンデレラは働く苦労を知らない王子様とは結婚せず、下町であくせく働く若い青年と結婚して、一緒に働く事で苦楽を共にして、ささやかながら幸せに暮らしましたとさ。
《めでたしめでたし》
カボチャの馬車もガラスの靴も登場しませんし、王子様とも結婚しないけれども幸せとは堅実に働く事で報われると言うお話。
私も堅実に働いていて仕事へのやりがいなどを実感するようになって楽しかった時期があるので、その時の記憶を元に綴りました。
そんな風に思い付いたシンデレラですが、こんなシンデレラもあるのかと楽しんで読んで頂ければ、幸いです。