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第三十二話 古き聖女のお話

 お屋敷に帰ってきてから、私は回復術師になる為に、勉強を始めようと本をたくさん部屋に持ってきたのですが……凄い量になってしまいました。机が全部本で埋め尽くされてます。


 ジーク様曰く、この勉強量でも足りるかどうかわからないと言われましたが……望む所です! 勉強は大好きですし、私はやるって決めたんですから!


「よーっし、頑張ろう!」


 まずはこの本から……これは回復魔法の歴史や知識が書かれた本ですね。そういえば、私って回復魔法を勉強して習得したわけではないので、こういった歴史に触れる機会は少なかったです。丁度いい機会ですね!


「ふむふむ……こんな昔に凄い人がいたんですね……純白の聖女……ありとあらゆる傷を癒し、国の為、民の為に尽力を尽くした……」


 私も回復魔法の使い手の端くれとして、こんなに凄い人は尊敬しちゃいます。それに、記録では髪が白いから純白の聖女と呼ばれていたと記載があるからか、不思議と親近感が湧きます。


「戦場の最前線に出て兵士の傷を癒した……凄い勇気……わわっ、功績を認められて王家の専属回復術師に……しかもこの人も巡礼もしているなんて……え、最初に巡礼をした人!?」


 読めば読むほど、どんどんと親近感が増してきて、本のページをめくる手が止まりません。私は……すっかりこの方に夢中になっていました。


 ですが、この方が紹介されている最後のページで……私の手は止まってしまいました。


「純白の聖女は、ある日を境にして忽然と姿を消した……当時の資料では、純白の聖女の力を恐れた国によって、世界から抹消されたとの声も……」


 ま、まさかそんな酷い事……あるわけないですよね? この方は国の為、民の為に頑張ってきたのに……最後の最後にこんな仕打ちだなんて……!


「きっとこの本が間違っているんです。そうだ、他にも歴史が書かれた本があるはず……この方の事をもっと知りたいですし、真実を知りたい……!」


 私はベルモンド家の図書室や自室の本棚から、歴史に関する本を大量に持ってくると、純白の聖女について調べ始めます。ですが、どの本も同じ事しか書いてありませんでした。


 やっぱり……この方は本当に殺されてしまったのでしょうか……もしそうなら……あんまりです。


「せめて……この方が安らかが眠りにつけますように……ぐすん」

「シエル様、失礼致します」


 純白の聖女の最後に涙を流していると、部屋に私の身の周りのお世話をしてくれているメイド様が入ってきました。


 こんな夜更けにどうしたのでしょうか……もしかして、なにか事件でもあったのかもしれません!


「えっと、この本の量は……もしかして、一睡もされておられないですか!?」

「だって、まだそんな遅い時間じゃ……」

「何を仰っているのですか! 時計をよく見てください!」


 何をそんなに怒っているのかわからないまま、私は言われるがままに時計を見ると……時刻は七時を少し回っているくらいでした。


 え、えっと……嘘でしょ!? もう朝なの!? 私、本を読むのに夢中になり過ぎて、寝るのも忘れてたというんですか!?


「勉強をするのは良い事ですが、お体に触るような事はお控えくださいませ」

「も、申し訳ありません……」


 うぅ、私ってば本当に馬鹿……いくら夢中になってたからって、まさか夜が明けるまで没頭するなんて……これでは天国のお母さんが安心して眠れないません……。



 ****



「ふむふむ……なるほど……」


 回復術師を目指して勉強を始めてから少し経ったある日、私は教室で勉強をしながら、昼食を取っていました。


 あまり行儀はよくありませんが、少しでも勉強をする時間を取らないと、早く回復術師になれませんから……。


「おいシエル」

「なんですか?」

「本が上下逆だぞ」

「え? ほ、本当だ……!」

「それと、さっきからサンドイッチを掴めてなくて、無を食べているぞ」

「ふぇっ!?」


 私と一緒に昼食を取っていたジーク様に指摘されて、ようやく気付いた私は、体中を熱くしながら本に顔をうずめました。


 通りでさっきから字が読みにくいですし、サンドイッチの味が薄くなったはずです……逆さでは読めませんし、そもそもサンドイッチは食べてすらいなかったんですから……。


「根を詰めすぎだ。最近ほとんど寝ていないだろう」

「そ、そんな事ないですよ?」

「嘘を言うな。屋敷の使用人達が、ここ最近遅い時間まで、お前の部屋から明かりが漏れていると聞いている」

「うっ……」


 ば、バレてる……誰かに知られたら絶対に心配されると思って、誰にも言わずに勉強していましたのに……私って、どうしてこんなに詰めが甘いのでしょうか。


「その、少しでも勉強をしないと……難しい試験に合格できませんから」

「気持ちはわかる。俺もそうだった……兄上に勝ちたくて、必死に勉強をしたり、鍛錬をしたり……だが、真に伸びる人間は、無理をせずに休息を適度に入れるものだ」

「そ、そういうものなんですか?」

「ああ。実際にお前は、集中力が欠けているようだからな。それで勉強をしても、効率よく覚えられないだろう。まあ……お前の並外れた記憶力なら可能かもしれないが……」


 いや、おそらくジーク様の仰っている事の方が正しいでしょう。いくら記憶力があっても、疲弊していたら覚えられるものも覚えられません。


 実際に、こんなカッコ悪いことをしちゃってるんですから……言い逃れは出来ません。


「わかりました。少し休憩します」

「それなら、次の休みに墓参りに行くぞ。まだ回復術師の事を報告していないんだろう」

「いいんですか? 近いうちに行かなきゃと思ってたので、嬉しいですけど……」

「問題無い。前回と同じように、朝食後に出発するぞ」

「わかりました!」


 ジーク様と一緒に、お母さんのお墓参りか……お母さんの所に行けるのも嬉しいですけど、ジーク様と一緒にいられるのが嬉しいです……なんなのでしょう、この気持ちは?

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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