自分の言葉
いつからだろう。
人に良く思われたいと思ってしまったのは。
言葉を発してもそれは私の言葉に非ず。
声が仮面をつけるのだ。
その声は何を話す。
偽りの言葉か。誠の言葉か。
嘘と本当が入り混ざり、誰にとっても当たり障りの無い言葉が口から勝手に出るようになる。
いつからだ。声に仮面がついたのは。
異性に好かれたいと思った時からか。
職場で注意されないようにした時からか。
友人に嫌われないように、、、、。
今となっては、いつからでも関係ないか。
声だけだった仮面が顔まで侵食されてしまった今となっては。
良い人になる為に良い事をするのでは無く。
良い人に思われる為に良い事を言う。
それは仮面の言葉であって、自分の言葉では無い。
それは仮面の顔であって、自分の顔では無い。
では、自分の言葉は何処へ行った。
そっと胸の奥底に耳を傾けてみる。
叫んでいるのが伝わっただろうか。
自分の言葉はいつだってそこにある。
檻の中の獣同様、伝わらずとも叫んでいる。
それが、私の言葉。
自分の言葉。




