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ふと、視界が赤くなったことに気がついた。
「――――――、――――――――!」
続いて、大きな声。何を言っているのかは判らないが、とても興奮しているらしい。泣き声らしきものも聞こえた。
自分の状況を確認しようとして、
(――――――っ!!?)
―――身体に、異常な圧迫感を感じた。
原因を思い出そうと、行為を継続する。
よく見えない目。泣き叫ぶ口。持ち上がらない、重い頭。加えて、記憶を辿って思い出した、自分が死にかけていたという事実。
(転生っ、したのかっ?)
そんな風に考えられたのはほんの一瞬だった。
圧迫感が急激に増し、身体から、みちみち、ぶちっという危険な音がし、激痛に苛まれる。肌や眼球は痒みを伴いながら熱くなり、硝子の破片の混じった血液が凄まじい勢いで全身をぐるぐると巡っているような、そんな感覚。苦しくて苦しくて呼吸をしようと喘ぐ。
ともすれば直ぐに失ってしまいそうな意識を、恐怖で必死に繋ぎ止めていた。体感的には数時間。だがしかし、
ーこのままでは、死んでしまう。
ふいにそんな予感が脳裏を過った。
(嫌だ、まだ死ねない、死にたくない!)
無様だと思いながらも必死に叫ぶ。
(彼女に会うんだ、その為にはまだ!)
そう叫んだ途端、身体の痛みが嘘のように消えた。
(…!?な、何が…?)
安心よりも先に不安を感じた。直感によって齎された、背筋を這う、冷たい悪寒。それが、先程の激痛の無効に代償があることを教えた。
この感覚を例えられるならば、車裂きの刑、その痛みを数万倍にしたようなものだっただろうか?
気が狂いそうなほどに、身体ではない何かが激しく痛む。
抗うように、少し上方に見える、薄ピンクと緑色のもやもやとしたモノに、必死に手を伸ばす。それはきっと、何か、大事な物が身体から切り離されるというに対しての、本能的な行動だった。
触れた、と思った途端、何かが流れ込んでくる。
その気持ち悪さを感じながら、意識を手放した。




