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2 社長魔王は空気になりました

「おじいちゃーん、ただいまー。連れてきたよー」


「お帰り、マリー。思ったより早く帰ってきたのぉ。まだ朝ご飯食べ終えておらんよ」


「もう行くって言ってから2時間近くたってるんだけど…何よりもうすぐお昼だよ?! 」


「ほぇ? 」


「ちょっとしっかりして、おじいちゃん!」


「ほぇ? 」

 ……


 話の中心になるべき私の存在は忘れ去られ、突っ込みと「ほぇ?」の応酬が始まった。


 いや、マリーさん、流石に一昨日おしっこ漏らしたことバラされたら、おじいちゃん可哀想ですよ。村長としての威厳消えちゃいますよ。村長もいい加減その「ほぇ?」やめませんか?わざとやってるの見え見えですよ。冷や汗ひどいし。


 当分続きそうなため、二人を無視し、自身のステータスを確認する。

 そう、ステータスで分かるのは、名前や値が10のHPだけではない。簡易表示を展開することで自身の運動値、技能値、知識値、幸運値などの能力値や習得済み魔法などを確認できる。

 確認方法は引きずられていたときにマスターした。コツは目で見るのではなく脳裏に映すという感覚。今は指操作が必要だが、慣れればそれも必要なくなりそうだ。


(知識値は高め。前世での記憶ボーナスといったとこか)


 とはいっても所詮lv1 のステータス。大したことない。大体魔王当時の1/100。ちなみに他の値に至っては1/1000程度になっている。まあ、ミノタウルスやゴーレムのような脳筋(石頭?)よりは知識値は高いが。

(※決してバカにしているわけではありません。事実です。念の為人権保護。)


 勿論、前世が魔王であること関係なしに、私の正体が学者だったという可能性もあるのだが、今の職業、勇者と全く繋がりがない。その上、今の精神は魔王なのだから、精神関係の数値は魔王時代のものを引き継いでいると考えていいだろう。


(兎に角、私自身のことが一番よく分からないんだよな…)


 当然魔王としてのではなく、この肉体の持ち主についてである。私がこの体で目覚める前はどんな生活をしていて、どんな性格をして、どんなことが好きだったのか。


 周りの人はすぐ分かる。例えば前の二人。

 魔女っ子のほうが「マリー・グノム」見た目からして十代後半。

 彼女の発する言葉は、声は女の子らしい。ただし殺傷能力があるほど鋭い言葉を扱う。見た目は女の子らしい。ただしlv2の癖に力は大男と大差なし。サディスト。

 おじいちゃんの方は「ドード・グノム」得意技は「ほぇ?」推定70歳。肌にツヤがあり、健康的。それどころかlvl10と強い。ボケているふりも得意技。かまってちゃん。どこかでみた事ある顔。よくある顔なのかもしれない。


 簡易ステータスが見れる上、言動を見ていれば相手がどんな人間かこれぐらいはすぐに分かる。もう少しの観察で本人になりきるぐらい出来るようになる。

 比べて私の事はいくらステータスが詳しく分かっても、今までの言動を知らない。その為、想像の域を超えられないのだ。


 別に知らなくても生活自体は可能だ。ただ、そのうち周囲の人間に不審がられてしまう。下手するとそれは私の前世が魔王であったとバレる原因になる。

 私の常識では元魔王の勇者を受け入れる人間、いや生き物を知らない。

 よって、折角得た命の為にも、たとえあの憎き勇者と同じだとしても、ジン・マサカというひよっこ勇者の演技をしなければならないのだ。

 はあぁ、面倒。


 全部の項目を見終えてしまった。

 いい加減思考と考察も疲れたため、顔をあげる。

 向こうもいい加減、くだらないコントは終えて、


 しりとりを始めていた。

 何がどうしてこうなった。


  なんだか真剣に考えていたのがバカらしくなってきた。とはいったものの、することは特にないため、ステータスに再び目を落とす。

 完全に暇つぶし。


(スキルやアビリティは今試せないものばかり。ログも変わりなし。以上! )


 やっぱり暇。

 二回も三回も見たってステータスは変わらないんだよ!!


  魔法の大半は魔王の時のものだった。これもいわゆる転生ボーナスといったところだろう。アビリティにも魔王のときにあったものがちらほら。使い方も効果も分かる。ただ効果が危ないものばかりで、今は到底使えない。

 残りは、いかにも勇者専用のあるネーミングセンスに欠けるもの。

 例えば、さっきから使っているアビリティ「ステータス具現化」と「ステータス認識」

 そもそもステータスはステータスペーパーを使わなければ、一般人もモンスターもステータスは認識できない。そもそもこれができたら、オレオレ詐欺し放題ではないか。流石はチート・ヘンタイ・クズを兼ね揃えた勇者だ。うん。え、私はしませんよ。


 ログは最初発見したとき期待したが、生憎目覚めるまえのログは一切なかった。本当に役ただずなログだ。まったく。



 すると突然、あの役立たずなログが追加される。


 >>ジンはドードの話を無視した。


 いや無視したのではなく気づかなかっただけなのだが? ツッコミを入れながら、ステータスをとじ、顔をあげると


「ふぐっ」


 間抜けな私の声とともに、顔に衝撃が走った。目の前が真っ暗になる。


 何が起きた?


 もしかして、おじいちゃんが話を無視したのに怒って実力行使に出たのか?流石はかまってちゃん。

 やっぱり元魔王の勇者なんて生きていける訳ないよな!そう、もう諦めよう。皆さん、さよ



「おじいちゃん!体液をとるって言ったのになんで突然顔面に紙をぶつけてるの?!」


「え、じゃって鼻かむ時、紙を顔に当てるじゃろ?!」


「体液って言ったら、普通針とかで指先からちょっと血をとるだけでしょ?!あぁ鼻血まで出ちゃってるじゃない」


「結局血がとれたなら結果オーライばっちぐーなのではないかのぉ」


「「 絶対違う!! 」」


「ほぇ?」


 死ななくてよかったと考えるべきか、村長の奇行を怨むべきかわからないが、(絶対後者だ)とりあえず鼻血だけで被害は収まりましたとさ。



 鼻血がベットリついた紙を見ると少しずつ文字が現れている。

 これがステータスペーパー。勇者であることを確認するなら、これが一番手っ取り早い。

 村長に返す前にチラッと内容を見る。まぁ、さっきまで散々みた内容と同じ事なのだが。


『 元魔王 』


 ステータスペーパーは燃えて灰になった。

 >>ジンは「執念の炎」を覚えた。



「「 な ぜ 燃 や す の」じゃ」

燃やす=ロマンだからです


マリーとおじいちゃんの会話は希望が一人でもありましたら、すぐに書きます。なかったら気が向いた時に書きます。結局書きます。


ブックマーク早速つけてくださった方ありがとうございます。評価して下さった方にも感謝感激!

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