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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

古典×デスゲーム!?~ばとる・ろわいやる~

むかしむかし

ある小さな村に、ある日

従者を引き連れてお殿様がお訪ねなさった。


このお殿様、見た目こそ普通なれど

その心内は人を人とも思わぬ外道、世にもおぞましい嗜好の持ち主であった。


村のみなを一所に集めて開口一番


「おぬしらには殺し合いをしてもらう。」


と、さも当然の様に言う。


みな唖然とし、事態を飲み込めずにいた所

ひとりその頓狂な命に声を上げたのは猿回しのさる吉。


「へえへえ、お殿様、そいつはいくらなんでも無茶というものでございま…」


ダーーン


言い終わらぬうちにさる吉の眉間に穴が開いておった。遅れて火薬のにおいが立ち込める。


「ふふっ、みなよく覚えておけ。異議を唱えるからこうなる。」


ある種のざわついた静寂の中

震える声で牛飼いのうし夫が申し出た。


「お殿様、お、お尋ねしたいことがございます。」


「よかろう。申せ。」


「して、わ、私どもが誰も殺し合わなかったなら、どうなるのでございましょう。」


「ほうほう、まあ、ただやれと言われても、やる気も起きぬわな。

 そこでじゃ、喜べ、賞金を用意した。最後に立っていたものに一万両を与えよう。」


そういって風呂敷の下から出てきたのは金色に光る大判小判の山


みなごくりとのどを鳴らし、その金色から目が離せないでいる。

さる吉のことなどとうに忘れてしまったようだ。

なにせ5回贅沢に人生をおくってもおつりがくるほどの金、夢のようというのはこのことであった。 


「みな文字通り目の色を変えよったぞ、これだからやめられんのじゃ。はっはっ。

 わしはのう、このような輩の、欲望にまみれた顔が死ぬ間際に絶望に塗り変わる瞬間がたまらなく、たまらなく好きでのう、それを肴に喰らう脳みそのなんと馨しく美味なことか。おぬしらが死なばわしが喰ろうてやる、無駄にはすまい。よかったのう。」


なんとこのお殿様、まさに畜生の所業、おぞましくも脳を食すらしい。


その言に寒気がしたが、なにせ一万両。

みなどう勝ち残るか思案しておった。


馬借のうま助は機動力において村一番の自信があった。

ミヨという女、はだけた胸元に妖艶な雰囲気を纏い、常に男をはべらせ、しかし目は蛇のように鋭い、男の扱いはわかっておった。

大男のくま五郎、手足は丸太のように太く、熊を撃退したこともある、圧倒的な肉体が武器であった。

村唯一の医者、まん亡、生かすも殺すも手慣れたもの。夜目の利くねこ太夫……


「よしよし、みなやる気十分そうじゃな。それでは、、、はじめ。」


お殿様の一声で、とうとうはじまってしもうた。





その狂宴は三日三晩続き、そして4日目の朝、始まりと同様、お殿様の一声で終わりを迎えた。



結局誰が勝ったのか。

そんなものは始めから分かりきっておった。


一村人に一万両も与える馬鹿はおらぬ。

最後に立っているものなどいるわけがない。みな死んでしもうた。


ただし、勝者はいたようじゃ




殿もこう言っておる。




「うまかった。」

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