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勝負といこうか、転生娘

作者: 赤リンゴ
掲載日:2016/06/27

「ほーぉ、へーぇ、ふーん」

「なんだよ、さっきから気持ち悪い…」

「うんにゃ、なんでもない。」


どーも、みなさん、私、暁大河と申します、他の家庭より少し貧乏な所を除けば普通の男子高校生でございます。

さて、あちらではしきりにリア充どもがイチャイチャしているのですが、女の方は男に極太のピンクの矢印が向いています。しかし、男の方はシャー芯のようにほっそーい矢印しか向いておらず、かわりに別の女子生徒に太いピンクの矢印が向いています。



これ、すなわち好意の矢印、恋の矢印と呼んでも構わないかもしれませんね、つまり、あの男子は彼女がいるにもかかわらず別の女子に好意を抱いているということ…さーて、お仕事お仕事、



「おい、親友よ、」

「お前が俺の事を親友と呼ぶときはどうせろくでもない事に決まっているんだが…なんだ大河、」

「今日の昼飯代はお前が払ってくれ、安心しろ、必ず返す」

「だめだ、2倍にして返せ」

「なっ……!?」

「出来ないのなら交渉決裂だな」

くそ、1分1秒が大事になるというのに…

「分かった!1.2倍だ!」

「2」

「1.2!」

「1.9」

「1.3!」

「1.8だ、」

「1.5でどうだ!これ以上は…」

「いいだろう」

「よし!サンキュ!」

そう言った瞬間脱兎のごとく駆け出す、全く、ケチな友人を持つと苦労する…



何をするかはもうお分かりだろうか?ゆすりだ、たかりとよんでも構わない、あの矢印は私にしか見えないので、それを利用して浮気の証拠をとらえて脅して金をとる、相手は秘密がばれなくてハッピー、こちらは金が手にはいってハッピー、素晴らしい事じゃないか!



ま、あの矢印はきっかけみたいなもので浮気の証拠は自分で押さえるしかないが、金の為なら安いものだ。



それから2日後なんとかあの男子が他の女子にプレゼントを送っている写真を手にいれた。

「よし!後は呼び出してお金を頂くだけ~♪」



ターゲットを人目のつかない場所に呼び、声をかける。

「白石裕也」

「お前か、俺を呼び出したのは、一体なんの様だ!」

「まぁまぁ、落ち着いてこの写真でも見てくれよ」

「なっ!?これは…」

「彼女さんにバレたらまずいだろう?どうだ?これで譲ってやるよ…」

そう言い指を3本立てる、こいつが月5000の小遣いを貰っているのは調査済みだ、悪い額ではないはず、すると奴は顔を上げると

「………分かった、彼女とは別れる!」

「…は?」

「いや、今の彼女ももう嫌になってきたし、別れるにはいいきっかけかもな!その写真はどうとでもしてくれ!」

そう言いきり、奴はスタスタと歩いていってしまった

「え、え~~…」

たった3000円で彼女と別れる事を決めるとは…お前他の女に4000円のぬいぐるみ買ってただろ…

ま、まぁこんな事もあるが大体は成功してる…ほんとだぞ!



そんなある日、うちの高校に化け物が入学してきた、まぁちゃんと人なんだが、超美少女で、少しドジッ子で誰にでも心優しいと…なんだお前は!?ちなみに名前は西野梨杏、どんな飯の種になるかわからんが要チェックだな…



ま、彼女持ちの誰かが西野の事を好きになるまで俺には関係あるまいと思っていたんだが、そうでもなかった、俺の食いぶちが恐ろしい勢いで減っていったからだ、理由は明確、大半の男子があの女の虜になりやがった!しかも極度の愛され体質で女子の嫉妬を買うこともない、男子が西野梨杏に贈り物をしている写真を突き付けても女子は「まぁ、梨杏ちゃんなら仕方ないよね、」なんて平然としてやがる!これは由々しき事態だ!



「あの!」

「はい?え!…あ、はい?」

そんなある日いきなり西野に話しかけられた、うっかり変な返事をしてしまったが、それもそのはず、一瞬ピンクのオーラがこいつを覆っているように見えたからだ、ピンクのオーラの正体は無数のピンクの矢印、お前…どんな生き方してきたんだ…見たことねーぞそんなの、しかも嫉妬を表す紫色の矢印もせいぜい2,3本、信頼を表す青の矢印もこれまた多い!

「これ、落とされましたよね?」

そういって西野に渡されたのは駅前で配っていたポケットティッシュだ

「おお、ありがとう」



そう言った瞬間、何かが変わった、何とは言えないがとにかく何かが変わった、自分が自分じゃなくなったような感じで、まるで台本を読まされているかのようだ


貴女   どこに行くんですか?

    →写真部なんですよね?

暁大河『あぁ、そうだけど?』

貴女  →どんな写真を撮られてるんですか?

     写真撮るのって楽しいですか?

暁大河『うーん、人をよく撮ってるかな(妖笑)』

貴女   今度行かせて貰いますね、

    →お昼ご一緒させてもらってもいいですか?

暁大河『いや、友人と約束があるから、それじゃ』



なんだったんださっきのは!?怖いというか気持ち悪かったな…出来ればもう二度と味わいたくない経験だ

「あの娘…一体なんだ?」

そう言葉に出した瞬間、反応したのは何故か親友(笑)だった、

「多分これだな、」

そういって差し出されたのはいわゆる乙女ゲーのパッケージだ、

「…は?」

「いや、だからあいつはゲームのヒロイン役って事だ、イケメンと親交を深め最終的にはハッピーエンド」



いまいち言葉の意味が分からず学食のラウンジで女友達と食事をしている西野を見ると、なるほど、他の矢印と比べて太いピンクの矢印が8本、辿ってみると生徒会長だったり、サッカー部エースだったり、図書委員長もか!どいつもこいつもうちの学校でイケメンと噂の奴ばかりだ



親友に渡された乙女ゲーのパッケージを裏返すと『8人のイケメンとドキドキ!学園生活!!』なんて書いてある

「なぁ、親友よ、これって一人のキャラしか落とせないのか?」

「基本そうだな、まぁ作品によりけりだけど、」

「全員落としてハーレムにする事は?」

「それも又作品によりけりだけど、普通は好感度が同じぐらいだと通常エンドになるな」

しかし、ここは現実世界だ、やろうと思えば出来るのだろう、なるほど、面白くなってきたじゃないか

「つまり、お前の話を全部鵜呑みにすると、あいつは乙女ゲーの主人公のつもりで、この学校に来ているということか?」

「嘘じゃねーし…鵜呑みにしてもOKなんだけどなー」

「信じるかそんな話、だがいい情報だ、お前が乙女ゲー趣味の男子高校生でこっそりゲームを持ってきてる事は黙っておいてやろう」

「え、おいお前なに考えてるんだよ」

「さーね、」



奴には少なからず怨みがある、金の怨みは恐ろしいぞ、復讐させてもらおう…とは言っても面白半分だがな、

あの娘の狙いは分かった、ハーレム作りだ、調査の結果やはり先程の8人と友達以上に親しくしている。

ではやはり最高の復讐とは何か、8人の好意のベクトルをあいつから外すのだ。



調査の途中で詩人チックな生徒会長殿と話す機会があった

「そういえば西野梨杏さんと仲がいいみたいですね、」

「あぁ、彼女か、実は恥ずかしい話ながら彼女は僕の運命の人なんじゃないかと感じている、」

「ほほぉ?彼女の為なら?」

「なんでもするさ!彼女と話した時妙な感じがしてね、まるで…自分が自分じゃなくなったような…あれが恋に落ちるという事なのかな…」

「ん?自分が自分じゃなくなった?」

「あぁ、不思議な感じだったなぁ…」



次の日、親友にこの前の乙女ゲーを持ってこさせて詰め寄った

「おい!この攻略対象者って8人しかいないのか?」

「え、まぁそのはずだけど…」

「ほんとか?」

「あ、ちょっとまって、確か隠しキャラがいたはずだよ」

攻略サイトを見ると確かにいた、9人目の攻略対象者が、

「おい、親友!お前、西野と話した事は?」

「え、まぁあるけど…」

「その時変な感じがしなかったか?自分が自分じゃなくなるみたいな」

「いや、特には…」

「なるほど、なるほど、そういうことか…」



するとラウンジのいつもの場所で昼食をとっている西野と目があった、

会釈をしてくる西野に向かって笑顔を表では繕いながら腹の中で呟く

(俺もハーレムの一部ってことか…いいだろうその喧嘩買ってやる)



攻略済みの8人を見ていて気づいた事が1つ、こいつら仲悪いわ、それぞれがそれぞれにライバル心と嫉妬を合わせた赤紫色の太い矢印を向けている、ここに爆弾をぶちこんだらどうなるかな~?




あっはっはっは!勝ったぞ!西野!お前のハーレムは総崩れじゃないか、俺がしたことは簡単な事だ、西野と誰かが二人っきりでイチャイチャしている事を写真にとらえ、他のメンツに見せた、それだけだ。



生徒会長は気絶し、サッカー部エースは怒り、図書委員長は愛想をつかし、不良少年はそんなバカなみたいな顔してたぞ!

これで西野のハーレム作りは失敗した!俺の勝ちだ!


しかし何かがつっかかる、何だ?……いや、自分を誤魔化すのはやめにしよう、俺は自分から西野へとまっすぐ伸びるピンクの矢印を見つめた、まさかずっと飯の種にしていたこれが自分から出るとはなぁ…


でも、西野にはもっといい奴がいるはずだ、西野は性格もいいからな…俺なんかと一緒になってはならない、これが俺の初恋か、なんともまぁ憐れなものだ。


その時、すれちがった女子生徒達の言葉が耳に入った

「ねーねー、梨杏ちゃんってすごいお金持ちなんだって?」

「そうそう、私もおうちに一回行った事があるけどすごく大きかったよ!」

「確かお父さんが大企業の社長?なんだっけ?」

「へー!いいなーー」

「ね!」


その日から俺は全身全霊で西野梨杏を口説きに行った

暁大河…人の感情が矢印となって見える不思議な目の持ち主、家が貧乏なためお金大好き、西野梨杏が生前プレイしていた乙女ゲーの隠し攻略キャラ、作中には書いてなかったですが、イケメンの類いに入る


西野梨杏…転生者、自分がプレイしていた乙女ゲーの仲に転生して、ハーレムを作ろうとするも失敗する、と思ったら全然自分になびかなかった暁大河に言い寄られ嬉しいやら悲しいやら


親友…作品内でそこそこ活躍してるはずなのに名前が付かなかったかわいそうな人、実はこの人も転生者で西野梨杏を鼻から見抜いてたり見抜いてなかったり、生前は女性でした

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