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クイナさんはスライム(天使)

説明回です。

とばしてもおけです。

「ではまず、このギルドカードについて説明しますね。 このカードにはその方の職務内容や魂の波長、所持している祝福や加護、神業などが記録されていて、門番の方に渡すことで担当世界への進入許可をもらったり、クレジットカードとして使ったり、ギルドで仕事を選んでもらうのに使えます。」

「クレジットカード、ですか?」

「ええ、下界担当の天使の方は給料が歩合制の口座振込みになります。 ですが、色々な世界を渡り歩いたり、忙しかったりすると天界の通貨は天界以外では消滅してしまうため現金で所持するのは手間がかかります。 よって天界での支払いにはギルドカードを提示し、口座から引き落としてもらうようにするのです。」

「なるほど。 ちなみに給料と言うのは幾ら位なんでしょうか?」

「天界で働く天使で最低でも16万サンク、下界勤務だと最低で10万サンクですね。」

「・・・。 なるほど(それは高いのかな?)。」


あとでトーガさんに聞いたら1サンクおよそ2円だそうです。


「もちろん、最低でもですから駆け出しの方でも14万サンク程度の収入があります。」

「・・・他の機能についても教えてください。」

「はい。 まず下界への門を開けてもらうには神格がいくつであっても、神王様以外はギルドの許可が必要です。 これは徒に奇跡を起こしてしまうとその世界のバランスを崩してしまう危険性があるためです。 下界担当の天使になるにはギルドで試験を受け許可をもらうか、その世界を管理している神様に進入の許可をもらう必要があります。 当然神格が低いと、基本的に行きたい世界に行かせてもらえることはほぼありませんのでご了承ください。」

「はい。」

「そして許可が下りるとギルドでその世界の担当者登録を行い、以降は任期の間、門にギルドカードをかざすことで担当の世界へ移動できるようになりますが、その前に門番の天使にカードをチェックされ、許可が下りているか、本人であるかをカードと本人の魂の波長を計測することで確認します。」


魂の波長というのは、魂から絶えず発せられる魔力を揺らす波のようなもので、その人の魔力にも同じ波長が刻まれるそうで、一人一人異なるため、指紋や網膜などのように魔力の存在する世界では本人確認に用いられ、高度な探知魔法であれば誰の発動した魔法かさえも分かるそうだ。 

ちなみに、契約魔法は、この波長を刻むことで効果があるため、魔力さえ纏えれば使用可能である。


「このカードを紛失しても、逆に他人のものを得ても悪用や偽装は困難です。 ギルドカードの製造機は神王様の祝福を受けているため、それ以上の神格の無い神では改ざんは不可能です。 ですから、良からぬ事は考えないでくださいね。 痕跡はちゃんと残りますから。」

「・・・はい。肝に銘じます。」

「あとは記載される祝福や加護についてですが、違い等の説明は必要ですか?」

「お願いします。」

「はい。 祝福とは自分の神格以下の神や精霊、神獣たちによって与えられた力、若しくは神格が上の存在に、所有権を委譲された力のこと、または無生物に与えられた加護のことを指します。 基本的にその効果はそれを与えてくれた存在にちなんだ神業が使用可能になると言うものですが、加護と違い、自分の所有物として自由に行使できますし、祝福した存在がなんらかの理由で消滅しても永久的に使えます。  もちろん勝手に失われることもありません。 一方、加護とは自分より神格が上の存在に与えられる力です。 よって、祝福と同様に神業の行使は可能ですが、あくまでも加護を授けた存在の代行としての行使のため、加護を与えた存在の一存によって使用が不可能になります。 当然、もし加護を与えられた存在が消滅したり、加護を取り消されればその力は失われます。」

「つまり、好き放題していると加護の力を失う危険性はあるが、祝福は永久的に使えるということですか?」

「そうですね。 ただ、最悪神格の剥奪もありうるので最低限のモラルは持っていてください。」


神格の剥奪は死刑の一歩手前の処罰だそうだ。 処された者はかつて20人程度いて、神業で担当の世界に混沌をもたらしたそうだ。


「もし、加護を与えてくれている方の神格に追いついたら加護は祝福に変化するんですか?」

「いえ、その際は失われます。 あくまでも加護は貸すだけですから、いきなりもらうことはできません。 もちろん、改めて祝福を受け取ることは可能です。」


いわゆる借りパクはできないのか。

・・・説明の続きを聞こう。


「なるほど。 では、次は神業について教えてください。」

「はい。 神業とは、神のみに扱える力のことで、魔力や身体能力を高める受動的なものと自分の言動によって発動する能動的なものがあります。 神格が高いほど多くのオリジナルの神業を持て、その効果も高くなります。 当然祝福や加護によって得た神業も与えた存在の格によって効果が変化します。」

「偉い神様の力ほど強力なんですね? では自分オリジナルの神業は、どうやって得るのでしょうか?」

「方法としましては、自身で創造するか下界の人たちに与えてもらうと言うのが普通です。 前者は、こんな力が欲しいというイメージを上手く具現化することで得ることができます。 もちろんその神業と自身の適正、神格が一致しなければ具現化は不可能です。 また、オリジナルの神業は神格と同じだけしかもてません。 つまり、シュユ君は1つしか今は持てません。 後者は自分自身の行いを神話として人々に語ってもらい、空想のなかで勝手に膨らませてもらうことで本来持ち得ない力を与えてもらう、と言うものです。 この方法ではどんな神業を得るかは分かりませんが、自身の適正は無視して力を得られるため、時には矛盾した力、たとえば水の神様が火を操れるようになる、と言ったことも起こります。 しかし、神格に見合わない強大な力を得ることはできません。 また、この方法では語る人たちの信仰の度合い、つまりどの程度神として崇められているか、という点も大きくかかわってきます。 当然人々に愛されている神ほど多くの、そして強力な神業を得ることになります。 また、この方法でなら理論上は無限に神業を得ることができます。」 


つまり、川を割ったと言う事実が語られる途中で、海を割ったになったり空を飛んで渡ったに変化してしまうとその変化が神に、新たな神業を得ると言う形で変化をあたえ、あの神様スゲー!!とか、あの神マジゴッド!!と崇拝されているとその分具現化される神業の量も質も向上する、いうことか。

誇張や勘違いを力に変えるとは、さすがゴッド。


「また、神業同士を組み合わせることでより強力な神業に変化させることができます。 神業とはその神の持つ可能性でもありますから、たとえば動物と会話できる神業と植物と意思疎通できる神業を持っているなら、すべとの生物と会話できる神業を創造できる可能性が十分にある、ということです。 但しこの方法で得る神業の元に加護や祝福で得た神業を用いることはできませんし、創造の一種なのでオリジナルの神業に空きがないと実行できません。」


ということは、神格を上げつつ人々に愛されるとより強い神になれ、その力でさらに神格を上げてと無限ループできるのか。


「あと、人々に物語の中で、自身が悪い言動をする神話を広められると邪神として扱われるようになり、変な神業を得たり人前で行使できない惨い神業を得たりすることもよくあります。」

「・・・たとえばどんな神業ですか?」

「そうですねぇ。 死体の上で踊ると魔力が回復するとか、処女の生き血をすすると傷が治るとか、あと目が合った人間をミンチにするとかもありましたね。」

「・・・最後のは制御できるやつなんですか?」

「・・・いえ。 その方は基本サングラスをかけています。」


よし、下界では変な事はしないようにする。

これがマストだな。


「では、続いて神格等について説明します。 神格は神としてどの程度偉いかの基準となり、生き物の感謝の気持ちを糧に成長し、減少はしません。 神格が高まれば魔力量の最大値や身体能力の向上、神業の所有限度の増加が見られます。 つまり、善行を積むことでその見返りとして魔力や神業など力を得ると言うある意味俗っぽいものです。 ただ善き神が強い力を持つことで人々にもメリットがあるので共生関係にあるともいえます。 また神格が一定値になるごとにオリジナルの神業とは別に全ての神に共通する神業を習得でき、それを習得すると呼び名が変化します。 まず、神格が20以下を聖人、20になると下級神と呼ばれマナを吸収した際に吸収量より多くのマナを得るようになります。 その増加量は神格に比例して上昇します。 そして神王様に頼めば〇〇の神と名乗る許可が出されます。 〇〇には、神になってどんなことをしたか、神業はどんなものを持っているかなど総合的に見て判断され、適した名前が与えられます。 この段階で一応一人前の神と認められます。」

「なるほど、とりあえずの目標、ということですね?」

「はい、そのとおりです。 下級神になれば寿命という概念も無くなり、殺されることはあっても老衰で亡くなることはありません。 但し、外見の変化も意図的に変化させない限り変わらなくなるのでシュユ君のように未成年の場合、神格を上げる速度を考えないと幼い外見のままになってしまうことも十分にあります。 当然、逆に永遠に老けたままになることもありえますので20に近づいてきたらタイミングを考えておいてください。」

「・・・分かりました。」

「あと、もうひとつ大切なことがあります。 下級神になると自動的に神壁を纏うようになります。」

「神壁・・・ですか?」

「そうですね。 雑に言うと常に肉体強化や生命維持、状態異常耐性の魔法がかけられた状態になります。 ただ維持に魔力を消耗するので、人からすれば莫大な魔力を有する下級神でもマナの補給が重要になります。 また、神格が上昇するとその強化の度合いも上昇し、最高神クラスになると同格の神同士でも傷つけるのは困難になります。」

「なるほど。便利だけど維持するには魔力を使うので戦闘での魔力消費には気をつけろ、と言うことですね?」

「はい。 でも意識しなくても魔力を纏えるので返って魔力消費量が減る方の方が多いです。」


オートパイロット、というよりは優秀なOSが搭載されるようなものなのかも。


「ちなみに、神格が100以上で中級神、300以上で上級神、500以上で最高神となり以降は無限に神格は上昇しますが呼び名に変更はありません。」


無限に上がるのね。 神界王は神格いくつなのだろうか?


「では、ギルドカードに記載される他の強さに関する項目についても説明します。」

「はい、お願いします。」

「まずはレベルですね。 これはその人の強さを総合的に見た値です。但し、体術や魔法の練度、所持している能動的なスキルや神業、装備の質は考慮に入らず単純な身体能力と魔力量の最大値に受動的なスキルや神業の値を付加した値で計算されるため、素手で魔力を纏って殴り合いをしたらどの位強いかの目安になります。」

「あまり、意味の無い値のような気もするんですけど?」

「そんなことはありません。 少なくとも魔力をどの程度持っているかは推測できますし、レベルが高ければそれだけ色々な経験を積んだ証なので、強力なスキルや魔法を多く持っているとか、剣術や体術が得意であるなど、相手がどの程度危険なのかを判断するには十分役立つ値ですよ。 ただ、神格やクラスをもつ存在だと魔力量がレベルを引き上げてしまうので判断しにくくなります。」

「なるほど。 大切な情報なんですね?」

「はい。 レベルを上げるには、まずは魔力量を増やすか、体を鍛えて身体能力を高めるのがスタートですね。 しかし、これだけだと個人差や性差はあれど最大値は種族に依存します。 そこで魔獣や妖魔を倒し、肉体と魂に高濃度のマナを吸収させ、限界値を高めます。 ただし、神格やクラスを持たない人が急激にマナを吸収すると魂がその負荷に耐え切れずに死んでしまいます。 また、老化や怪我、病気などによってレベルは一時的、あるいは永続的に減少します。」


一気にレベルアップは基本的に危険なようだ。

健康を保ち、毎日コツコツと努力するのがベターなのはどの世界も共通なのだろう。


「では、クラスについて説明します。 クラスとは、レベルが100を超えると得るもので、全てのステータスにボーナスが付きますが、クラスがいくつでも、神格を得れば天界ではその値が優先的な判断材料とされます。 クラスを上げるにはレベルを上げてください。 レベル100でクラス1、以降はレベル20ごとに1ずつ上昇し、減少することはありません。 クラスが20を超えると、神に神格を与えられる可能性が出てきます。 ・・・実はシュユ君のような例はとても珍しいんですよ? まあ、神格を与えるかどうかは、神王様の意思があることと2柱以上の最高神に加護を得ていることが条件なので、実際はクラスは関係ないんですけどね。 まあそれくらいの強さと神に愛される人格があれば神になる資格を得られると言う目安ではありますが。 あとは神格と同様に一定のクラスになると特殊なスキルが身に付きます。」

「そういえば、スキルと神業は違うんですか?」

「はい。 スキルはジョブの熟練度やステータス、経験値などが一定以上になると得られる下位スキルと、下位スキルの熟練度が一定以上になると得られる上位スキル、クラスの上昇によって得られる最上位スキル、種族や性別、あるいは複数のスキルの習得など変わった条件によって得られる特殊スキルがあります。 どれも便利なもので最上位スキルは強力なものも多いですが、他人に渡したりはできず、神業と比べると最上位のもの以外はやはり弱いものがほとんどですし、基本的に物理法則を無視できません。 たとえば大剣を振り回す技があったとして、神業であれば生まれたばかりの子供でも軽々と振れますし、水中や空中でも使用可能で威力の変化もあるませんが、スキルだと大剣の重さや、筋力、抵抗など多くの要素によって威力の減少やスキルの不発が起こりえます。 ただ習得難易度や消費する体力や魔力は圧倒的にスキルの方が下です。 ですから実戦なら使い分けも必要になってきます。」


人間用のスキルと、神用の神業と言うことか。


「人でも神業の行使は可能なんですか?」

「はい。加護や祝福を得ると可能です。 ただ、何度も使える方はそういないでしょうね。」

「なるほど。」

「では、ギルドカードを作って実際にシュユ君のステータスを確認してみましょうか。 この白いカードに契約魔法を施してください。」

「はい。 ・・・むむっ。」

「できましたね では確認してみましょう。 私についてきてください。」


カードを持ってクイナさんと部屋を出て、情報を読み取り、閲覧できる機械まで移動した。


シュユのステータスとは!?

後半へつづく。

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