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採取ツアー@火山

アーズダインに戻って4日後。

イリスとエルマがオフの日であった今日、イリスの装備用と、売ってエルマの装備の資金にするための希少な鉱石を掘るためにザンドから西に500キロ程度の位置にあるナール火山帯へと出発した。

ナール火山帯は特殊地帯である。

特殊地帯とは、危険であったり保護の対象であったりする地域を指し、国に管理されている。

ナール火山帯はその特殊な性質により危険性と保護の重要性から管理されている。

危険とは、周期的に噴火が起こるということである。

噴煙が少ないのが特徴らしく、それによる特殊地帯以外に影響はほぼ無いのが救いらしい。

大きな火山が7つあり、1週間ごとに噴火する火山が変わる。

そのため、安全地帯と危険地帯が週によって変化するので管理の対象になった。

保護すべき点はその溶岩が希少な鉱石の重要な供給源である、という点である。

7つの山はそれぞれ異なった鉱石を吐き出し、噴火の周期によって金属の価値が変化するほどの量を垂れ流す。

この特殊地帯では現在噴火している山とその1つ前の山以外のエリアには入山料5ルードを払うことで24時間入ることが出来る。

採掘用の道具は無料で借りることが出来る、というかそれしか使えない。

採掘で得た鉱石は基本的にいくら持って帰ってもタダであるが、逆に1グラムも採掘しなくても入山料はかえってこない。

鉱石の量は来た人がどれだけ掘ったかに依存する為、目的の鉱石がどれだけ取れるかは運らしい。


以上がパンフレット情報である。

で、せっせと仕事をして貯めたお金で採掘ツアーに僕とイリス、エルマ、キイチの4人で出発した。

僕にはかばんがあるため、掘り尽されていなければ元は確実に取れるはずである。

というわけで火山に一番近い町、フォーグに到着。

現在進入できない火山では赤と緑、つまり火と風に関する精霊魔法を強化する金属が取れるそうなので目的は達成できそうだ。


で、昼食後。

24時間山に篭れる程度の装備を整えた。


その後、入山。


「よし!! じゃ、さっそくメルキュル鉱石を掘りにいこうぜ!!」

「テンション高いな。 じゃ2人とも行こうか。」

「ええ。」

「はいぃ。」


採掘用のピッケルを背負い、メルキュル鉱石の取れる火山を目指す。


10分後、火山の麓に到着。

周りの黒い溶岩が固まった石には鉱石が含まれているらしく、所々輝いている。

ただ、採掘された後が目立つ。


「早速上の方に行こうぜ。」

「ああ。」


バイクで黒い塊の多い場所を探す。


数分後、山の中腹程度に一帯が黒い部分を見つけた。


「よし、早速掘ろうぜ。」

「コツとかあるの?」

「一応な。 鉱石の方が硬いからな、適当に掘ってある程度の塊を見つけたら借りたハンマーで適当に削るのが基本なんだが、鉱石は基本小石位のが多い。 だから、俺たち2人で大きめに掘ってイリスちゃんとエルマちゃんに細かく割ってもらうのが効率が良さそうだな。 まあ、プロは鉱石と溶岩石の硬度の違いを利用するらしいけどな。 方法は知らねぇけど。」

「じゃ、2人ともその作戦で行こうか。」


それから1時間。

カルコスさんには、最低でもバケツ1杯ぐらいの鉱石を採掘したほうがいいといわれていたけど、現在はその半分くらい採掘できた。

ただ、メルキュル鉱石のみではないらしいのでその倍のバケツ2杯は掘ることにした。

イリスとエルマは精霊のため、魔力供給が続く限り疲労することは無い。

僕も1時間ピッケルを振り回しても特に問題は無かった。

ただ・・・。


「シュユ、休憩しようぜ?」

「あ、これ鉱石が大きめだな。 イリス、頼む。」

「はいぃ。」

「あ、鉱石あったわよ。」

「本当だ。 じゃ、次はこの塊を頼むよ。」

「はいはい。 でも飽きてきたわね。」

「そうだろ!? じゃ、休もう「この馬鹿野郎!!」 何だよ!?」

「この中で1番レベル高いくせに最初に音を上げるなんてどういう了見だ、てめぇ!!」


最初は楽しそうに掘っていたが、40分ほど経った辺りからうるさくなった。


「お前がおかしいんだよ!! 化け物か!!」

「天使だよ!!」

「知ってるよ!!」

「黙って掘って欲しいですぅ。」

「・・・すいません。」

「ノルマ達成まではとりあえず掘ろうよ。 キイチだってまだ十分な量取れてないでしょ?」

「ま、まあそうだけどさ? もう疲れたんだよ。」

「じゃ、1人で休みなさいよ。 シュユ、こういうのは好きなようにさせておけばいいのよ。 さっさと掘って他の山に行きましょ。」

「エルマちゃん、冷てー・・・。」


その後、文句を言うキイチを無視して掘り続け、結局2時間ほどで目標に達した。

3人で話し合った結果、オリビアやアリアさんにお土産を、ということでとりあえず黄魔法用の鉱石が取れる隣の山へ。

キイチは一攫千金を目指し、宝石類が取れる山へと行った。

その山は、平均を取れば一番儲けが少ないが、最高額の儲けを出せるという博打性の高い山である。

とりあえず、日が沈むころに宿の食堂に集合、ということになった。

この特殊地帯内にも、国営の宿泊施設がある。

どの火山が噴火しても被害を受けない位置に立てられており、避難施設でもある。

今回は必要量は既に手に入ったので、徹夜で掘り続けるのではなく宿に泊まることになった。


「キイチ、1番安い宝石でいいから硬くて綺麗な石があったら取っといてくれるか?」

「いいけど、どうすんだよそれ。」

「子供たちに加工してあげようかと思って。 上手く削ればそれなりのものができるはずだし。」

「なるほどねぇ。 じゃ、そっちの鉱石も少し分けてくれよ? お前と違って俺は合流するまでは石を運ばないといけねぇんだし。」

「もちろん。 じゃ、また後で。」

「おう!! じゃあな。」


キイチを目的の山の中ほどに下ろし、その隣の山を目指した。

前と同じく黒い火山岩の多いエリアで降りた。

採掘をしている人がこちらには結構いた。

前の山は噴火してだいぶ経っていたので人がほぼいなかったけど、こっちは今噴火している山の2つ前、つまり現在入山できる山で最も新しい採掘場所であるためである。

この山では、主にバルク鉱石が採掘されるらしい。

この鉱石は黄魔法強化だけでなく、青魔法の強化もある程度できるそうなので先に来たのだ。


「よし。 じゃさっきと同じくらいは掘ろうか?」

「そうね。 アリアにはお世話になってるし。」

「頑張りましょうねぇ。」


それから1時間。

噴火して間もないからか、バケツ三杯程度の鉱石がとれた。

純度的には最低でも1割がバルク鉱石らしいので装備1つは作れるはず。


「日暮れまではあと1時間半くらいか。 どうしようか?」

「そうね・・・。 アンバル鉱石のとれる山に行かない?」

「アンバル鉱石って?」

「これよ。」


受付で貰ったパンフレットを見た。

アンバル鉱石は、汎用性の高い金属でメルキュル鉱石やバルク鉱石と混ぜて合金にできるようだ。

アンバル鉱石は他の金属の性質をある程度高めるという性質を持ち、優れているが硬度の低い金属と混ぜて合金にする、というのが一般的な用途らしい。


「なるほど。 この鉱石があれば他の鉱石が少し足りなくてもなんとかなるってことだね?」

「そうよ。 それに余っても売りやすそうでしょ?」

「じゃあ、行きましょうかぁ。」

「そうだね。 今日のうちに掘れるだけ掘っとこうか。」


それから日暮れまで採掘した。

アンバル鉱石は人気なのか、そこらじゅう掘られた後だったが山頂近くにはまだ溶岩石が所々に残っていた。

それらを丁寧に割っていき、日暮れ間際にはバケツ1杯分程度にはなった。


で、宿まで帰り食堂へ。


「おーい、こっちだ。」


キイチは先に帰ってきていた。


「どうだった?」

「まあまあだな。 そうだ、これ。」


小石のような何かの原石を20個ほど渡された。


「頼まれてた奴だよ。 クアルソの原石だ。」


クアルソは水晶のような石で、透明度が高いものほど良いとされる。

色は様々で、透明なものから赤や紫、緑にオレンジと濁ってはいるものの十分に綺麗だった。


「表面を削れば見栄えも良くなるし、子供にはこれで十分だろ。」

「ありがとう。 じゃこれ。」


握りこぶしほどのアンバル鉱石を渡す。


「アンバル鉱石だ。」

「なかなか良いじゃん。 でも値段で言うとこっちのほうが高くね?」

「ま、十分取れたし良いよ。」

「サンキュー。 じゃ、代わりにこれもやるよ。」


キイチは親指の先ほどの小石を渡してきた。

黒い水晶のようだ。


「これは?」

「カバルスって石だよ、多分。」

「宝石?」

「本物なら黒魔法を強化する石の材料だよ。」

「でも高いんじゃないの?」

「いや、それ1つで1シルバくらいだな。 それに特別な処理をして出来るアカウスって石ならそれで1つ100ゴルドくらいにはなるだろうけど。」

「そんなに!? ほんとに貰っていいの?」

「ああ。 加工には100ゴルド以上は掛かるけどな。」

「・・・なにそれ。」

「カバルスはここじゃなくても宝石の鉱脈を掘れば結構取れる。 だから加工方法を知ってて自分でそれが出来る奴らはそれをアカウスにして売ってるよ。 もちろん聞いても方法は教えてくれねぇけどな。 その石は割りと透明度が高いから加工してアクセサリーに出来そうだったから拾っただけだよ。」

「そうなのか・・・。」

「ま、男用のアクセサリーにはその色があってるからそっちの需要のほうが一般的だな。 透明度が高い奴以外はほぼゴミだけどな。」


確かに、輝きこそ無いがブラックダイアのような色合いで男性用の装飾品にはあいそうかも。


「ま、とりあえず飯にしようぜ?」

「そうだね。」

「私はお魚でおねがいしますぅ。」

「もちろん私は肉ね?」

「りょーかい。 じゃキイチ、買いに行くぞ。」

「おし!! じゃあ明日も頑張る為にしっかり食おうぜ?」

「・・・あんたが一番疲れてたじゃない。」

「だからこそ、だよ!!」

「はいはい。」


食堂には結構な人たちがいた。

そのせいか、メニューは大釜で一度にたくさん作れそうなものばかりであったが、味は良かった。

夕飯後、キイチはまた宝石を掘りに行くそうだ。

ここの火山からは希少な宝石として知られているもののうち、半分程度が過去に採掘されているらしく、かつて握りこぶし2つ程度の大きさの原石を見つけ、1晩で3200ゴルド稼いだ人もいるらしい。

自分もそうなりたい、という人々が後を絶たずに採掘しているため、その火山が噴火後に解禁される日が最も混むらしい。

・・・死ぬなよ。 キイチ。

僕たちは軽く訓練をしたのちにシャワーを浴び、就寝した。



翌朝。

軽く体を動かしたあと、3人で食堂へ行くとキイチがぐったりとして待合室のような所にいた。

・・・収穫は芳しくないらしい。


「キイチ、どうしたの?」

「・・・ん? ああ、シュユたちか。 見て分かるだろ? 今のとこメルキュル鉱石が無かったら赤字だよ。」

「なら一応黒字なんでしょ?」

「そうだけどさぁー、1晩頑張ってこれじゃ泣けてくるぜ。」

「ふーん。 じゃ、これからどうするの?」

「もう少し休憩したら朝飯食って最後まで掘るさ。 絶対良いの見つけてやる!!」


競馬場とか、パチンコの前で見るおっさんの目をしていた。

・・・一応黒字だから止めないけど。

その後、3人で朝食を取りオリビアが得意な茶色魔法を強化するカルン鉱石の取れる火山へと移動した。


1時間後。

こちらでも採掘が完了した。

かばんには結構な量の鉱石がすでに収められている。

・・・残り時間はあと4時間程度ある。


「僕たちも宝石を掘りに行こうか?」

「何言ってんの? 他の鉱石を掘った方が明らかにいいじゃない。」

「そうですよぉ。 時間の無駄ですぅ。」

「実はさ、2人に掘った宝石でプレゼントを贈りたいんだ。」

「・・・何のよ?」

「もちろん欲しいですけどぉ、確かに何のプレゼントですかぁ?」

「2人が凄い仕事を頑張ってくれてるって聞いてさ。 僕が留守の間もさぼらず頑張ってくれてるし、何かあげたいなって。」

「・・・いいの?」

「そうですよぉ。 もう十分色々貰ってますしぃ、むしろ私のほうが恩返ししたいくらいなのにぃ。」

「・・・生まれたばっかりだったとはいえ、役立たずの私を使い魔にしてくれたのはとても感謝してるわ。 だから仕事も頑張ってるわけだし。」

「そうですよぉ。 私もぉ、あの時見捨てられてたら今頃どうなっていたかぁ。」

「それはそれ、これはこれでしょ? 2人は仕事も訓練も頑張ってくれてる。 なら、一応僕は主なんだし、ご褒美ぐらい渡すのは普通だよ。 ・・・受け取ってもらえないかな?」

「ふ、ふーん? そこまで言うなら? 貰ってあげてもいいわ。」

「ありがとうございますぅ。 大切にしますねぇ。」

「あ。 あと、これからは掘った分は全部自分のものってことで、2人が珍しい宝石を見つけたらそれも全部あげるよ。」

「じゃ、頑張らないといけないわね。」

「はいぃ!!」


キイチのいる火山へと移動。

山にはそこらじゅうに人がいた。

鉱石と違い小さくても価値の高い石が多いため、みな真剣に細かく石を割っていた。


「人がいないとこを掘りましょ?」

「そうだね。」


人がいない場所を探すがなかなか見つからない。


「マスター、あそこに穴が開いてますよぉ?」

「ん? あ、本当だ。」


崖の下の溶岩ではなく、山の石がむき出しになっているあたりに穴がおそらく人工的に開けられていた。


「入ってみるか。」

「そうね。」


バイクで直接進入した。

中は暗かったので明かりを灯して進む。

・・・人はいないようだ。


「何かを掘り出したあとかな?」

「一応奥まで行きましょ。」

「そうですねぇー。」


30分ほど歩くと一番奥に黒い壁が現れた。


「これは・・・溶岩石だね。」

「掘っても大丈夫なの? 崩れたりしない?」

「大丈夫じゃないですかぁ?」

「壁になってるけど横は普通の石だし、大丈夫じゃない?」

「じゃ、軽く掘ってみなさいよ。」

「うん。 ・・・それっ!!」


壁にピッケルを何度も突き立て壁を崩す。


「あら、宝石じゃない? これ。」

「本当だ。 周りのを落としといて。」

「はいはい。」


最初に崩した所から早速何かの原石を掘り出した。

・・・それからしばらく掘り続けた。


1時間後。

結構な量の原石を掘り出した。

が、価値があるかどうかは鑑定できる人がいないので分からない。

10分ごとに交代で壁を崩し、自分で掘った石を交代後に細かく割る、というのを繰り返していた。


「あれ? ここ、なんか違うぞ・・・。」


掘り進めていた溶岩石の壁に一部白くなっている所を見つけた。


「本当ね。 周りを崩して取ってみたら?」

「うん。 ・・・よし、取れた。」


取れた石は石灰岩のような白い石だった。


「宝石・・・じゃなさそうね。 まあ、一応持って帰りましょ。」

「あっ。 原石ですよぉ。」

「本当だ。」


後ろでせっせと石を割っていたイリスが何かを見つけたようだ。

その後、エルマと交代し、自分で掘った石をせっせと割る。

白い石は結構硬いらしく、周りの溶岩石が綺麗に取れた。

形はカカオのようで大きさは卵くらい。

・・・ま、後で見てもらえばいいか。

それから僕の番まで同じ作業を続け、原石を3つほど見つけた。


それから2時間ほど。

残り時間も少なくなり、この穴から出ることにした。

溶岩石を穴の外に捨て、原石をつめた袋をかばんにしまう。


「あの白い石、高いといいわね。」

「そうですねぇ。 あ、私も綺麗な原石を見つけたので楽しみですぅ。」

「そうね。 儲けがでたら何を買おうかしら?」


2人とも満足げなので良かった。

・・・昨日キイチに宝石掘ってもらう必要なかったな。

なんてケチなこといわなくていいか。


お読み頂きありがとうございます。

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