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ある傭兵は言った。「あれが出来てさ、派手なのは無いって言うの?」

金のトンボへと進化した彼の名はオズバルド。

助けてくれた騎士の名を頂いたそうだ。


「で、どうするの? まだ精霊探す?」

「いや。 オズバルドと契約したときイメージが見えたし、妖精と契約して今回は終わろうと思う。」

「そう。 じゃ、私も妖精捕まえて終わるわ。」


結局、僕は赤銅色の鼠と。

オリビアは、岩のような質感の天道虫と、黄緑色の小鳥と契約した。


「じゃ、帰りますか?」

「うん。」


許可証を2人で破る。

すると、入った門の前に転送された。

・・・これが帰還方法の1つらしい。


夕暮れ時。

バイクで夕飯前に帰宅。

エルマ達の夕飯の準備がちょうど終わった頃に帰り着いたようだった。



翌朝。


「で、どんな精霊魔法が使えるようになったの?」

「さあ?」


オズバルドと契約してからすぐに消したので聞いてなかった。


「さあ・・・って。 精霊を出して聞いてみたら?」

「そうだね。 いでよ。」


アルとオズバルド、鼠のソソを呼ぶ。

・・・アルとソソは喋れないけどね。


「妖精に変わったとこはなさそうね・・・。 あんたがオズバルドね?」

「いかにも。 私がシュユ様の忠臣、オズバルドでございます。」

「あんた、得意な魔法は?」

「特には。」

「え? なんですって?」

「私は精霊魔法なぞ使ったことがない故。」

「シュユ、焼いてもいいかしら。」

「ダメダヨ!!」

「ただ、私は白魔法が使えるような気がいたします。」

「白?」

「白魔法は、光を操る系統ね。 てっきり、風かと思ってたわ。」

「光か・・・。 てことは、貫け!!」


狙った訓練用の的にダーツの矢ぐらいの光弾が指先から撃ちだされ、着弾する。

・・・表面に目立った痕跡は残らない。


「お見事でございます。 主様。」

「まあ、練習しなさいな。 訓練、好きなんでしょ?」

「・・・イエッサー。」


流れ星から光の矢を連想したけど、木の葉は何を意味するのかな?


「で、そのヘビとトトはどんな力を持ってたの?」


トトはこの世界の鼠のことである。


「さあ?」

「・・・あんたねぇ。」

「下級魔法を一応全部使ってみたけど変化はなかったよ?」

「なるほどねぇ・・・。 ヘビは付加系、強化や弱体化の効果を持つ場合が多いわ。 あのハルバードを出してみて。」

「うん。 装備。」

「強化してみて。」

「強化?」

「そのヘビが興味を示してるわ。 武器の強化か付加を可能にするかも。」

「そうなの? ・・・強化。」


イメージしてみた。


「あっ!!」


ハルバードの柄に鱗のような紋様が現れ、刃の根元にヘビが巻きついたようなデザインになった。

・・・何の意味が!!


「見た目は悪趣味になったわね。 他には?」


振り回してみるが・・・。


「んー? 少し重くなったかな。 あと、柄が握りやすくなった。」


鱗がいい感じに指に掛かる。


「そう。 じゃあ消していいわ。」

「終わり?」

「妖精なんてそんなもんよ。 で、トトのソソは何が出来るのかしら?」


チチッ、っと鳴く。

・・・何を言っているかは分からない。


「トトは弾を打ち出す系の術に影響を与えることがあるわ。 障害物を避けるとか、壁を登るとか。」

「炎弾に変化はなかったよ?」


赤銅色だし、火と相性がいいのかと思ったけど違った。


「付加系に色は関係ないわ。 トトの性質を付加するんだから、さっきの光弾に付加してみたら?」

「やってみる。 ・・・走れ!!」


再びダーツの矢を飛ばす。

・・・走り回るようなイメージで撃ってみたけど変化はない。


「違うようね。 じゃあ増やしてみたら?」


鼠だけに?


「よし。 爆ぜろ!!」


・・・的に当たった瞬間に弾けたようなそうでもないような・・・。


「これも違うようね。 ・・・じゃあ何かしら? 付加されてる感じはしたのに・・・。 トトじゃないのかもね。」

「でも、オリビアもトトだって言ってたよ?」

「私もそう思ったけど、でも思ったような付加ができないじゃない。」

「おはよーございますぅ。」

「あ、おはよう。 イリス。」

「おはよう。」

「あっ、かわいいミトトですねぇ。」

「ミトト?」

「水辺に住むトトの亜種みたいなもんね。 ・・・でもミトトなら破壊効果かもしれないわ。」

「破壊って何を?」

「物理破壊か魔術破壊ね。 ミトトは木を齧って穴を開けるからそのイメージでやってみなさいよ。」

「じゃあ私がシールドを張りますねぇ。」

「頼むよ。 じゃあいくよ? ・・・噛みつけ!!」


水の盾に矢が刺さる。 ・・・当たるや否や消えた。


「うーん。 少し削られたよなぁ、そうでもないようなぁ。」

「ちゃんと付加されてる感じはしたわ。 ・・・練習してたらいつか分かるでしょ。 じゃ、普通の訓練しましょ?」

「・・・そうだね。 じゃ、始めようか。」


朝食後。

ギルドへ行った。


「おはようございます。」

「あら、シュユ君。 おはようございます。 本日はどのようなご用件で?」

「依頼を受けに来ました。」

「えーっと。 この街から出発の護衛と、自警軍の依頼、あといつもの資材運びに、シュユ君なら荷物の運送もお勧めです。」

「護衛の内容はなんですか?」

「はい。 ・・・この街にいる、とある要人の方を西にある街ザンドまで護送するのですが、最近は魔獣が多いので正規の護衛だけでなく、こうして依頼でも人員を募集しているようです。」

「報酬はどのくらいですか?」

「最大10人まで雇われるようで、1日2ゴルドを応募人数で割るそうです。」


てことは、最低2ルードか。


「ザンドまでは何日の予定ですか?」

「はい。 ・・・7日から9日になってますね。 その間の食事と宿代は1日8シルバまでは依頼主が出してくれるようです。」

「・・・いま何人の方が受けてますか?」

「そうですねぇ・・・。 5人ですね。 ただ、募集は今日の正午までですから、これから増えるかもしれません。」

「そうですか・・・。」


他の依頼よりは報酬が高そうだ・・・。


「じゃあ受けます。」

「分かりました。 ではギルドカードを。」

「はい。」

「ありがとうございます。 では少々お待ちください。」


「お待たせしました。 昼過ぎまでに西門に集合してください。」

「はい。」


市場で食料を買い込み凍結箱へ。

アーズダインの露店の食事は安くてうまいのだ。

・・・これで辛い仕事も頑張れる僕は安いかもね。

その後宿舎へ帰り、しばらく仕事で家を空けることを伝えた。


で昼過ぎ。

昼食後に門の前で待っていると・・・。


「ギルドで護衛の依頼を受けたものはこちらへ!!」


ぞろぞろと兵を連れた霊獣車が来たかと思うと、先頭の全身武装した男性が声を上げた。

僕を含め、7人が集まった。

・・・男5に女2・・・だと思う。 フルフェイスの兜の人が1人に性別の分かりにくい人が1人いる。


「7人か・・・。 まあ良い。 ではこれから出発する。 ギルドカードを提示したものから指示に従い任に就け。」


その後、霊獣の引く車の周りを10人の兵が囲み、2人が側面を。

3人が前、2人が後ろで見張り兼壁をすることになった。

・・・霊獣が買えるなら竜車で空を行けばいいのに。 空を飛ぶ妖魔はほぼいない。 その分強力だけど。


いやそれよりも。 何故、兵たちはみな騎獣に乗っているのか。

徒歩できたから、てっきり徒歩かと思ったが違ったようだ。


「おい!! 聞いてねぇぞ!!」

「護衛の任を受けるのに騎獣を用意していないのか? 万が一があった場合、護衛対象を走って逃がすつもりか?」

「そっ、それは・・・。」


・・・正論ではあるけど。 事前に伝えるべきでもあるだろう、と思う。

どうやら文句を言った彼と僕、困った顔をしている獣耳の女性の3人が騎獣を用意していないようだ。


「あの。 僕が2人を乗せるので前衛に変更してもらえますか?」

「・・・肩車でもするのか?」

「いえ。 召喚。」


いつもの3人乗りバイクを出す。


「!! ・・・かわった乗り物だな。 分かった。 前のもの、3人と場所を変われ。」

「ありがとよ。 天使様。」

「へぇっ!? 天使様なんですか!?」


・・・少し周りがざわざわしている。

彼は僕を知っていたようだ。


「一応ね。 見習いだけど。」

「ありがとうございます!! 走って追いかけるのは無理だし、助かります!!」

「・・・天使様には悪いが、早くしてもらえるか?」

「はい。 ではお2人はその座席へ。」

「ほい。」

「じゃあ私はそっちへ。」


それからは霊獣の駆け足、馬の全力疾走ぐらいで舗装された道を駆ける。

・・・護衛対象が誰かは未だに分からないけど。


「こりゃ便利だな。 天界ではこんな乗り物を売ってんのか?」

「いえ。 これは神業です。」

「すげぇな・・・。 こんな複雑な物質生成をあの速度か。 さすが、天使だな。」

「あの、この乗り物はなんて名前なんですか?」

「一応バイクって言う乗り物をモデルにしてるけど。」

「そうじゃなくて、騎獣みたいに名前をつけてるのかって意味だろう?」

「は、はい。 分かりにくくてすいません。」

「いや、僕が悪かったね。 名前は特にないよ。 見た目も性能もある程度好き放題できるからね。」

「そこまでできるんですか!? 凄いですねぇ。」

「どんなことが出来るんだ?」


・・・説明したら2人とも引いていた。

そういえば、この速度でザンドまで7日も掛かるのか。

退屈しそうだな・・・。


それから夕方ごろ。

とある町に到着。

町の名前はマッカス、名産品はマナを豊富に含んだ青砂糖らしい。


「よし、では町に入る。 宿は手配済みだ。 そこ以外での宿泊や食事は自費になる。 明日は、朝8時までにこの場所へ集まれ。 遅れた場合は報酬を減額する。」


支持された宿は普通の宿だった。 けど、シングルで1人1部屋なのはありがたい。

食事も普通。

これで8シルバなら、普通かな。

・・・って普通ばっかりだな。

夜の町に出て明日の朝、訓練できそうな場所を探したが、特に見つけられなかった。

・・・筋トレだけにしとこう。

お土産に青砂糖を買って宿へ帰った。



翌朝。

訓練後に朝食を頂き、門の前へ。


「全員いるな。 良し、では出発する。」


昨日と同じように移動する。

護衛対象が誰なのか、2人と話したがやはり分からないようだ。


昼過ぎ。

特に戦闘はない。

街道を進んでるから当たり前といえばそうなんだけど。

・・・もしかしたら魔獣より人を警戒しているのかもしれない。

いや、それなら宿を別にする理由がないか。

なんて考えつつ移動。

その後、昼食を取りまた移動。

・・・霊獣車は中にキッチンがあるのだろうか、煙が上がりいいにおいがしている。


夜。

今夜は野宿のようだ。

僕たち全員と兵士の半数が交代で見張りをすることに。

夕飯はまあまあの味だった。



早朝。

見張りの番が終わったが、いつも起きる時間だったのでそのまま訓練をした。

兵士たちには元気だなー、って感じの目で見られた。


朝。

朝食は美味しかった。

今日も同じ陣形で出発した。

・・・そういえば車の中にはトイレもあるのだろうか?

人の出入りは隊長らしき人しかしていない。


昼過ぎ。

散発的に魔獣が出たが、近づく前に魔法で屠られていた。

・・・帰ったら練習しないと。


夕暮れ前。

とある町、オルタに到着。 名産は近くの湖で取れる魚の干物らしい。

ここでも、決められた宿に泊まった。

夕食後、町中を歩いていると広場があったので明日は訓練できそうだ。

宿への帰り道に干物を買った。 

・・・見た目は鮭に似ている。



翌朝。

訓練後に宿で体を拭き、朝食後に門へ。

今日も昨日と同じ隊列のようだ。

今日で行程の半分程度。 正直退屈。

・・・まあ、報酬は同じだし良いけどさ。


で、夜。

今日は魔獣が3匹出ただけ。

特にすることもなくだらだら進み、野宿になった。

他のメンバーも護衛の仕事できたのに戦闘も数分で終わり、あとは騎獣任せの旅に飽きてきたようだった。



早朝。

今回は最後の見張りだった為、見張りが終わるとすぐに朝食だった。

あと数日で終わるとはいえ、つまらない旅は空気を悪くするようだ。


昼過ぎ。

昼食中、早く進んだ為、今夜には目的地ザンドへ着くだろうといわれた。


夕方。

魔獣を山ほど引き連れた巨大なヘビのような妖魔に襲撃された。


「シュユ!! あのでかいヘビが妖魔、ググロだ!! あいつを潰せば群れは散りやすくなるはずだ!!」


バイクで共に来ていた角を持つ男性、カミロ・バルハが叫ぶ。


「魔法を撃ち込みます!!」

「おう!!」

「了解!!」


同じくバイクに乗ってきた女性、クレア・ベイリーは魔法を得意としているようだった。


妖魔が発見された時点で霊獣車は退避を始めていた。

が、ググロと魔獣化したヘビの群れは雪崩のように突っ込んできたため、時間稼ぎが必要になった。

進行方向に現れた群れは道を埋め、進行を阻んだため霊獣車は向きを変え、北へ移動しそのまま目的地を目指すようだ。

その間、僕たちが壁となり、安全を確保するというのが隊長らしき人からの指示だった。

先頭の僕たちはクレアとカミロの魔法とハルバードの先による攻撃で、群れの頭を抑え霊獣車の進行ルートを確保した。

が、7人での攻撃では明らかに多勢に無勢である。

兵士たちは車と群れの間を駆けているが、妖魔への刺激を避ける為か攻撃していない。

・・・もしかしたらググロの出現は予想通りなのかも知れない。

兵士たちの騎獣は速度重視だった。

護衛なら普通は戦闘向きのものを選ぶはずだ。

とはいえ。 逃げたら報酬は貰えない。 


「2人とも!! ググロの特徴を教えて欲しい!!」


2人の魔法を生かすため高度を上げて、一方的に攻撃していた。

が、数は減ったようには見えない。

他の4人は騎獣の足を生かし、距離を取りつつ攻撃をしていた。


「ググロは毒牙と巻きつきによる攻撃が得意のヘビ型の妖魔だ!!」

「えっと、ヘビを操ることが出来るらしく常にヘビを連れています!!」


連れられたヘビは、ググロの放つ瘴気で魔獣化するが操られている為、共食いをしないのだろう。


「あと弱点は火炎系か雷撃系だ、ったよな!!」

「はい!!」


・・・役に立つ情報はあまり無かった。

が、頭さえ潰せば操られているヘビたちは混乱させられる。


ググロの体にはヘビたちが巻きつき鎧と化している。

後ろにいるため、魔法もほとんど当たってはいない。

ただ、襲い来るヘビたちは3メートルはある大型のものばかりで噛み付かれたら痛いじゃすまないと思う。

・・・とりあえずは護衛対象の離脱までは粘らないと。


「狙いは霊獣なのか!? なんで攻撃してないあいつらの方に行くんだよ!!」

「なにか積荷が妖魔の好むものなのかもしれません!!」

「はぁ!? 要人ってのは旨そうなにおいでもすんのかよ!!」

「そうじゃなくて!! マナを多く含む食品や薬品とかです!!」

「ならここまでにもっと襲われたはずだろ!?」

「要人を襲わせるために、誰かが操ってるとかは!?」

「そんなことありえな「くはないです!!」 はぁ!?」

「妖魔を操る方法はあります!! ・・・邪神の加護です!!」

「あれはフィクションだろ!?」

「なんでもいい!! とにかくあいつは霊獣車を狙ってる!! なら、逃げても街まで来るかもしれないってことだ!!」

「なっ!? くそ!! でもどうすんだ!! あんなでけぇググロ初めて見たぞ!?」


普通は7メートルくらいらしいが、目の前の個体は20メートルはある。

太さも1メートル以上はありそうで、地面から浮いている部分にはヘビたちが巻きついている為、実際の姿はよく見えない。


「足を止めるのが先決だと思います!! このままじゃずるずる街まで行ってしまいそうです!!」

「今やってんだろ!?」

「そうですけど!!」

「シュユはなんかできないのか!?」

「派手なのは持ってないんだよ!!」


バイクを消して特攻してもヘビに潰されて終わるだろうし、生体加速はハルバードと同時には使用できない。バイクで突っ込むのも設定を変えるためには、1度消さないといけない。

今の状態で突っ込めばヘビどもに引き摺り下ろされて終わるだろう。

でも、2人を降ろす暇は無い。

あ、詰んだわ。 これ。

って諦めてどうする!!


「魔力はある。 精霊魔法に大切なのはイメージ。」

「おい!! 何ぶつぶつ言ってんだよ!!」

「天使様!?」

「流れ星だ。 木の葉を撒き散らす。」

「どうする!! 下の奴らも疲れてるぞ!!」

「助けてあげないと!!」

「強化。 纏え、光を。 撒き散らせ、木の葉を。 貫け、敵を!!」

「!? お、おいおい、大丈夫か!? 何か瘴気みたいなの出てるぞ!?」

「紫のもやもやが出てますよ!?」


木の葉はアルの力、光はエドバルドの力。

そんな気がした。

なら、これでいけるはずだ。


「貫けぇええええー!!」


ハルバードをググロへと投げる。

ハルバードは光と熱を帯び、透明な緑色の羽根を撒き散らしながら突き進む。

・・・木の葉じゃなくて羽根だったらしい。

あ、ググロが避けた。

着弾点から砂が巻き上がり、砂と共に光と羽根を撒き散らしながらヘビを飲み込んでいく。


「な、何だあれ・・・。」

「さ、さすが天使様です・・・。」


今の一撃でヘビはほぼ壊滅した。

ググロは、避けることで纏ったヘビの左半分が消し飛んだだけだけのように見えたが、動きが鈍くなっている。


「今がチャンスだ!! 降りてググロを叩く!!」

「お、おう!!」

「はい!!」


バイクで近づき、2人を降ろす。

下で戦っていた4人はシールドを展開し、余波から身を守っている。


「援護を頼む!! 生体加速。 加速加速!!」

「お、おうって早い!? 燃えろ!!」

「はい!! 貫いて!!」


炎弾と雷撃を受け、ググロは苦しそうだ。

コアはどこか分からない。

なら、全てを潰すしかない。


ハンマーを装備し、ググロを叩き上げる。

巨体は垂直に飛び上がり、地面に叩きつけられる。

・・・砂がひどい。


「強化。」


生体加速をきり、ハンマーに強化を試す。

・・・やはり他の武器も強化できるようだ。

ハンマーに1対の羽が現れ、緑色のヘビが柄に巻きつく。


「砕けろ!!」


頭が落ちてきた位置に突っ込むと、巨大な頭が動かずにそこにあった。

そこに鉄槌を振り下ろす。

!? ハンマーの振り下ろす速度が急に加速した。

・・・ハンマーの強化はスイング速度を速めるようだ。


「!? 痛たっ!?」


地面をズズン、と揺らしハンマーはググロの頭を水風船のように叩き割り、マナと共に血肉や骨を撒き散らす。

・・・骨片が全身にぶつかって痛い。

そして・・・それ以上にハンマーを振るった両腕が、まるで潰されたかのように痛む。

ググロの長い体と僕にまとわり付いた血肉が青いマナへと変わり、消え去る。

討伐自体は成功したようだ。

・・・が、あまりの激痛に蹲ってしまう。


「大丈夫かシュユ!?」

「天使様!?」

「う、うん。 ただ、出来たら筋肉系の回復魔法を・・・。」

「は、はい!!」


・・・これで倒せてなかったら恥ずかしくて死んでたよ。


 

お読み頂きありがとうございます。


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