表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/53

チートの生まれた日。

クローム傭兵団。

アリアさんたちの所属するチームの名前だそうだ。

両親の作ったチームで、父親が怪我を理由に引退し、アリアさんと弟で継ぎ、この街周辺では中の下くらいの実力だったらしい。

・・・だった、の部分で悔しそうな顔をしていたが。

神でさえ拒まれるこの世界、失うと困るものは現在自分の命と加護というある意味身軽な僕に、他人の不幸を一緒に背負えるほどの器があるとは思えない。

でも、できることはある・・・と思う。


・・・そしてとりあえず武器屋へ。 訓練用のハンマーとナイフを探し、購入。

実戦でも使えるレベルの品だそうだ、が神界の武器を持つ僕が実戦に使用する理由はない。

戦いの中で学ぶこともあるが、そこに自分の命以外がかかっているのなら過剰に守るべきだと思う。

獅子は兎を狩るのにも全力を出す、という喩えがあるが群れで行動するライオンは狩りの成功率や獲物の量を常に気にする必要がある。

だから、ウサギなんて獲物に全力を出すくらいならシマウマやヌーを狙うべきである。

加えて、母親たちは子供たちが大きくなると狩りを教えるが、基本失敗が続くので、自分たちで狩りをする。 

経験豊富なメスたちの全力でも狩りに失敗することは普通だ。 たしか成功率は3割くらいだっけ?

・・・つまり、全力で、ウサギを狩るのは無駄でしかない。

しかし、全力でも狩れるかは分からない。

なら、ライオンはどうするべきなのか?

答えは簡単だ。 出来るだけ簡単に狩れて、しかも肉の多い獲物を狙えばいい。

基本ライオンが狙うのは群れからはぐれた子供の草食獣、である。

・・・つまり、僕が言いたいのは狩る側に立てるなら、全力で、ではなく本気で仕留めるのがベストである、ということだ。

・・・そもそもライオンの生息域にウサギがいるのか僕は知らないけど。

相手の抵抗を読み、それよりも多くの力で潰す。

僕の場合、神の武具という牙があるのだ。

抵抗できる相手は少ないだろうし、抵抗できる相手はそもそも避けるべきだ。

・・・まあ単に慣れない武器での戦闘は危ないからしたくないというだけではある。

臆病者は得るものは少ないが失うものもまた少ないのだ。 


というわけで訓練用装備を揃えたあと、鹿の皮を革に出来る店に持ち込むと5ルーバで買ってくれた。

1ルーバ黄銅貨は100円である。 ・・・説明したっけ?

まあ、なめす手間を考えれば買ってもらえただけども良いと思う。

その後、保存食とマナを補うために生鮮食品とキャンプ用品を買った。

キャンプ用品はメグの村のものを借りているため、自分用を買ったのだ。

幸い選べるほどの品揃えがあったし、全部で5ルード程度で済んだ。

後は、下着と水も汲める皮袋を複数に、地図を買った。


買い物も終わり、メグたちと宿で合流した。

たくさん買い、宿へ送ってもらっていると途中であったときに聞いたためである。

かばんに物がたくさん入ると知っているため、明らかに通常持ち帰れる荷物ではない。

全ての荷を受け取り、詰め終わったのは昼過ぎ。

昼食をとり、身支度を整え出発した。

バイクが珍しいのか人通りの多い門の付近では視線を感じた。

・・・まあ浮かんでるからかもね。


で夕方。

街に近い村に到着。

二人は買い物で疲れたのか夕食後すぐに宿で寝てしまった。

リードの村は遠いため明日は早めに出ると伝えておいた。

僕は早速ハンマーとナイフを使って訓練した。

ナイフ格闘は通常通りであったが、ハンマーの立ち回り方はやはり難しい。

ハンマーは振る動作が威力を生むため、生体加速でその隙を埋めないと今は戦えないことが分かった。

アトラスの、とつく割に木の棒のように軽く振れるアレが異常なのだろうね。

そして就寝。 魔量制御の特訓は護衛が終わってからにしよう。


そして朝。

日の出前に出発し、特にトラブルもなく進んできている。

リードは本を読んでいるし、メグは楽しそうに運転している。

・・・そう、運転はメグに任せている。 サイドカーを2つで飛行する姿は不思議かもしれない。

操作は僕の乗っているサイドカーでも出来るが基本はメグに任せている。

私にも運転させて欲しいと頼まれ、疲れが出始めたら変わるという条件で許可した。


で昼過ぎ。

昼食をとり、休憩後再び出発。

運転を代わり、リードの住む村を目指す。

そして夜。

ついに村に到着。 かなり早い帰還に驚かれたものの、お土産の品々に喜んでいた。

そして報酬として5ゴルド頂いた。 正直かなり美味しい仕事だった。

その日は一日中運転したため早めに寝た。 もちろん地面に。


でまた朝。 リードたちに別れを告げ、メグの運転で帰還する。

到着は夕方ごろだろう。

リードがいなくなり、よりスピードが出せるようになったメグは人のいない街道を爆走していた。

夕暮れ前。

こちらでも早い、そして無事の帰還を大いに歓迎してくれた。

お土産を渡し、報酬として10ゴルド貰った。

もっと渡すといわれたが、断った。

この村にあまり余裕がないことは街やその近くの村との比較で分かっていたしね。

で明日色々と話すことになり、今日は楽しい夜を過ごし、地め以下略。


翌朝。

村長宅前の広場で話中。


「まずは改めて、ありがとうございました。 これで村の状況も良くなるでしょう。」

「いえ。 ちゃんと報酬も頂きましたし。 あ、そういえば・・・。」


商隊の人たちを襲う強盗団がいたこと。 それによって、物資の流れが断たれていたことを伝えた。

そして、それを排除したため物資が届く可能性が高くなったはずである。


「さすが天使様ですな。 ところで天使様はこれからどうするおつもりですかな?」

「・・・・。 実はとある傭兵団に入ろうかと思いまして。」

「・・・。 そうですか。 この村へはいつでもまた来てください。 歓迎いたします。」

「ありがとうございます。 妖魔の退治をすることになると思いますので、きっとすぐに再会することになると思いますが。」


道中色々と考えた結果、アリアさんと仕事をしようと思った。

かわいそうだから、ではなくおもしろそうだったから、である。

この世界をより知るには街の方が便利だし、仕事も請けやすいという現実的な理由もあるしね。

アリアさんの言うとおりコネで仕事を回してもらえるならだいぶ楽が出来る。

・・・あんなこと言ったけど、彼女の提示したメリットは十分に僕を魅了していた。

金銭的に割と、というかかなり潤ってはいるけどレベルも神格も上げ・・・。

そういえばギルドカードをしばらく確認してなかったな。

・・・レベルは上がって、ないかなー?

!? 神格が2になってるぅー。 しかもレベルも96になってはる。

スキルが増えているからそのおかげかな。

えーと効果は・・・。


スキル

戦士の勘

発動条件 常に発動

効果 相手の弱点がなんとなく分かるようになる。 熟練度の上昇によって、より正確に。


闘士の心得1

発動条件 常に発動

効果 全身の筋力を少しを向上させる。


戦士の心得1

発動条件 常に発動

効果 身体能力を少し向上させる。


・・・微妙。 ま、ないよりはいい。 てか違いが分からない。

それよりもこれ。

神業の空きが1になっている件。 である。

正直バイクの便利さを実感している以上変なのは作りたくない。

で、今欲しい力は何かといえば・・・

武器の取り扱いが神レベルになるか、魔力の自動回復の2択だと思う。

・・・魔力だな。 武器は自力で何とかしよう。

えーと、魔力が回復・・・。

・単位時間ごとにMP回復


・・・。


・その際マナを消費しない。


これは無難かな? あとは神界王様と自分の実力を信じよう。

では、祈ろうか。


「神界王様、こんな神業オナシャス!!」



・・・きませり。

成功した予感きませり。


神業

いつでも迷子

発動条件 標準時間で1分が経過。

効果 魔力最大値の1%が回復


1%ということは今は1000くらいのMPだから10ポインツか。

・・・すごくなーい?

1分で1%でしょ? 戦闘中はともかく、何もしなければ100分で魔力満タンて。

この神業、あると思います。

正直ミノリンさまの神業イラ・・・なくはない。

そういえば、地べたに寝転ぶとまるで布団に包まれているような心地よさがある。

ということは、どんな所でも心地よく眠れる神業という活路もある。

・・・まあ、マナを回復と魔力を回復だしこれでかつるってことにしとこう。 

よし、フォロー終わり。

これで、心置きなく魔力制御の訓練が可能になった。

神術の習得のためにも肉体強化は習得しませう。



そして昼過ぎ。

メグにまたバイクに乗せて欲しいと頼まれつつ、村を出る。

もう魔力は戦闘しない限り増える一方なので、全力で飛ばす。

もはや飛空艇と化したバイクで鳥に気をつけつつ街を目指していると街道に人が見えた。

・・・手を振っている。

「おーい。 止まってくれー。」

とか聞こえる。


いやな予感しかしないが天使だもの。 無視しませんとも。

・・・後悔ってのは後で以下略。

読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ