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ありえない、なんてことはありえない。それが天界クオリティー。

翌日。

ちゃっちゃと準備を済ませサロンでドゥラリン様と合流。

腕の良い鍛治師がいてオーダーメイドも可能という武具店 アルヨ へ。

品揃えと品質に自身があるそうだ。

店内はスポーツ用品店のようではあるが剣に槍、斧や弓などいかにもって感じではある。

店主の趣味により銃はおいていないのだそうだ。

ちなみに店主は30代前半らしき男性、服装はつなぎのような服にテンガロンハットである。


「店主。 注文しても良いだろうか?」

「・・・欲しい得物は棚に無いのかい?」

「うむ。 我輩の妹が彼にあたえる為の得物なのでな。 特注したい。」

「・・・どんなのが欲しいんだい?」

「こんなのできますかね?」


昨日書いた設計図を見せた。


「・・・こんなんでいいのかい? もっと派手に蹴散らせる武器、あるよぉ。」

「いえ。 命を奪うために使うものですから。 地味でも確実に奪うためには、これが今の僕に最も適していると判断しました。 なれない得物は、相手の武器になりますから。」


祖父曰く、武器は体の一部になったものをいい、まともに扱えないなら手も足も体の一部とは言わない。

のだそうだ。


「・・・代金は2本で30万サンク、明日の昼には出来てるから取りに来な。」

「思ったよりもかなり安いな。 シュユ君、他に欲しい武器は無いのかね? 妹には100万サンク程度のを2振りぐらい買うように言われているのだ。 これでは妹になんと言われるか分からん。」

「・・・ちなみにそれはどの位強いんですか?」

「・・・100万サンクなら上級の竜の鱗も紙のように切れるよぉ。」


ぱないの!!


「店主。そのナイフ、より優れた物に出来ないのかね?」

「・・・作る予定のナイフもそれくらい出来るもんだよぉ。 ただ、刃渡りも短くシンプルな機能だとこんなもんが妥当だよぉ。」

「ううむ。 シュユ君。店の商品を見て良いのがあったらいってくれたまえ。 それもプレゼントしよう。」

「ありがとうございます。」


これは買わないと

「あら、トラ? 偉く安く済ませたのね? 隣で文句でも言ったのかしら?」

とか

「猫。 お使いも出来ないなんて犬にも劣るな。」

とか毒舌シスターズはいいそうである。 兄に。

どうせならバイクに乗ったときに使う道具でも探そうかな。

手袋は最初のでいいから・・・ブーツもあるし・・・ヘルメットか。

戦闘中も使えるようなのが良いかな。

幸い防具の品揃えも充実しているし。

って・・・すごいの見つけた。

乱気竜の眼

上位竜 乱気竜の持つコアを加工したネックレス。

これを身につけていれば基本的に呼吸や、温度変化、気圧変化に困ることはない。

50000サンク

・・・安いな。 しかし、神格が上がれば必要なくなる為、無難な値段なのか?


「これもください。」

「安いな・・・。 他のも買いたまえ。」


よし。 実は生体加速中は周りの空気の移動速度も遅くなるため加速しすぎると呼吸できなくなるのだ。 当然神格が上がれば以下略。

他には・・・

むむっ。 これは・・・。

アトラスの破壊槌

巨人の拳の如き破壊力を持つハンマー。 この武器の前では物理的な強度など考慮に値しない。

ただし、衝撃を無効化する魔法には滅法弱い。 両手持ち推奨。

300000サンク

・・・錆びたスイッチでも押せそうな見た目である。


「・・・店主これも頂く。 ・・・もう少し買いたまえ。」


おそらく合計で100万サンクは使いたいのだろう。

てことはあと35万か。

僕が剣士ならダ〇ゴロン刀でも探すのだが・・・。

あ、これはよさそうだ・・・。

アンチマジックシールド

最悪の妖魔、魔蝕蟲のコアと甲殻を用いて作られた魔法使い泣かせの盾。

持ち手以外に触れるあらゆる存在から魔力を吸いマナに変換しコアに溜め込む。

貯めたマナは盾に使われた甲殻の強化に用いられその強度は無限に増す。 ただし、元々の強度は鋼鉄の盾と同程度のため、注意が必要。

13000000サンク

って高いな。 これはパスで。

他のは・・・。

阿吽の爪

最悪の妖魔、天穿鬼に仕える双子の妖魔、阿鬼と吽鬼の素材で作った朱と蒼の籠手。

身につけると元々自分の腕だったような錯覚に陥るほど良く馴染み、主への脅威を阻む。 

朱の籠手は打撃に適し、蒼の籠手は掴むのに適している。 魔力を纏うと爪が現れるギミック付き。

430000サンク


「じゃあ最後にこれが欲しいです。」

「・・・確かに良さそうな武具だ。 店主、これも頂こう。」

「・・・毎度どうも。 契約魔法を忘れるなよぉ・・・。」

「はい。」


こうして装備だけは天使らしくなったのである。

契約すると武器は消え、念じれば現れると言うおまけ付きであった。

なんでもありだ。 もはや驚かなかったが。

ナレッテコワイナー。



ドゥラリン様にお礼をいい別れたあと、帰宅前に他の武具屋によって見たが予算の都合上もあり、買い足せるものは無かった。

そもそも値段設定が一桁違った。 最高神に選ばれる店は安さも凄かった。

・・・おそらく僕だけで買いにいっていたら売ってもらえなかったのかもしれない。

安いが気に入った人にしか売らないとか、ありそうだ。 

でなければあの店の商品は大体すぐ売切れてしまうはずである。

・・・明日受け取るナイフの出来も期待できそうだ。

ギルドの訓練場で装備の使い心地を試して帰宅。

トーガさんの仕事を手伝ったあと、眠りについた。



そして翌日、一人でナイフを受け取りに行き、その場で契約。

手に馴染み適度な重さ、サバイバルナイフは3メートルまでワイヤーを引き出せるし、トレンチナイフはメリケンサックのような柄に殴った際、指へのダメージを防ぐ効果が付加されているらしい。

切れ味もおそらく凄いのだろう。 ただ、持ち主には絶対怪我をさせないそうだ。

受け取る際、店主さんに


「道具に使われるなよぉ。」


と釘を刺された。 やはり僕の実力では不相応なほどの高性能な装備なんだろう。 

とはいえ、そのことはすでに昨日の訓練で痛感していた。 

扱えないのではない。 扱え過ぎるのだ。 まるですべて自分の力であると錯覚するほどに。

ハンマーなんて振るったことの無い僕にもアレは自分の手のように振るえたし、籠手も腕全体の防御に加え腕力の上昇を感じたし、爪は攻撃にも引っ掛けて上るためにも使えそうなものであった。

加えて、今日。 久しぶりのナイフ格闘術の訓練は、自分が強くなっていると感じるものであった。

・・・しばらく訓練は装備なしでやろう。 

そして、下界へ降りたら見た目や重さの似た普通の装備を訓練用に買うべきだな。 

サポートありきの強さなんて信用できない。


そして、訓練後ハローワーク天界第一層店へ。

ジョブを得るための施設であり、いくつか候補を見せてもらったが、ジョブ選びに迷う事は無かった。

選んだジョブは、天界の戦士、である。

得られるスキルは身体能力上昇など常に効果のあるものが多く、攻撃系のスキルは装備に囚われないものばかりであった。

一人での戦闘訓練しかしていない僕にとって、装備や戦い方に制限や型を設けるのは愚策だし、そもそも素手かナイフを軸にする予定であるため器用貧乏になろうと汎用性を重視した。

そもそもスキルは一度得れば他のジョブでも使える。

ということは、土台を一度作ってしまえばジョブを変えても戦闘能力が低下することは無いのだ。

ゲームと違い、ジョブによって装備できない武具はないそうだし。


そして月日は流れ、現在ジョブを得た日から6日後の朝。

魔力制御に重点を置いた訓練によって、纏うだけなら全身、両手か両足の硬化が可能になった。

出来ると思い込んで訓練した方がいいとギルドの教官に言われ、毎日マナ一発で胃を荒らしながら神業や装備の使い方を覚えつつ戦闘訓練を積んだ。

全身硬化や部分展開、その速さの特訓で手足だけなら1秒ほどで展開、硬化できるようになったものの全身では2分で展開、2分で硬化、維持できるのは現在6分程度。

実践レベルではない。

この魔力制御訓練、魔力を膨大に使うためマナの回復手段はドーピングか地面に寝転ぶしかない現在、他の訓練と同時進行できないところが最大の欠点である。

とはいえ天使としての仕事は可能であると教官にいわれ、ほっと胸を撫で下ろしたのが昨日。

因みに教官はクイナさんであった。 あの人チョー強い。

生体加速は、最低で2倍速、通常時間で1秒ごとにMPを2消費する。 そこから3,4と倍率を上げていき、上げるごとに消費MPは倍になっていく。 また速度を上げると1秒経っていなくても魔力は消耗する。 つまり、1秒経つ前に加速を繰り返す無限加速は出来ない仕様である。

しかし、神格があがれば時間の概念さえ覆せるらしく、僕がいくら加速してもクイナさんが遅れることは無かった。

最初は生体加速が発動していないのかと思ったが


「あら、いきなり速くなったわね。」


と普通に言われ割とショックだった。

この神業は相手にもよるが、神格をある程度高めてからでないと真価を発揮しないのである。

・・・こほん。 まあそんなこんなで今日、天使デビューします。


ゲートの入り口で門番にカードを見せ、ゲートの中へ。

内部はある程度の広さの部屋の中にロッカーのようなものが30ほど。

半分が出発用、残り半分が帰還用だそうだ。

ロッカーのような部屋は誰かが入るとロックされ、転送が終わると自動でドアが開く。

とはいえ、別に混んでいる訳でもなく空いているとこに入りカードを戻したデンワを機械に設置した。

転移先の世界を管理をしている部署に転移する神の名前が送られ、許可が出されると転移が始まるそうだ。

許可が下りたようだ。 デンワをかばんにしまい、画面のエントリーキーを押す。

すると光に包まれた。

あとは、何もしなくても勝手に転移してくれるそうだ。


・・・こうして今日、僕は天使として下界へと降りたのだった。


   

次回からついに異世界物らしさが出ると思います。

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