兄は言った。「数千年無視されていたときに比べればマシである。」と
「そういえば、ドゥラリン様も僕に用があったのではないですか？」
「そうだ。「「チッ。何を偉そうに・・・。」」・・・そうです。」
姉妹の息が合いすぎて、もはや清々しい。
てか、舌打ちて。
「実はわがは・・・私も同じように天使としての仕事の依頼があるの・・・です。」
「・・・どのようなものでしょうか？」
「私は、牙獣、つまり獣たちの管理をしています。 しかし、最近世界中で妖魔の個体数が増加しているようなのです。 妖魔は人よりも獣と生活圏が重なるため、その被害も増加しているのです。 妖魔は獣や人類の血肉を好む傾向が強く、人類の生息域では人々も駆逐してはいるのですが、人にとって未開の地にも妖魔が増え、妖魔によって魔獣たちの発生数も顕著に増加しているのです。そのため、いますぐにでも天使を派遣し妖魔と魔獣の駆逐、及び原因の調査を行いたいのですが・・・。」
「人手が足りないと？」
「う・・・ええ。」
「しかし、神がそんなあからさまに介入してもいいんですか？」
「ええ。 地球のように神が手を直接的に貸さないほうが珍しいのです。 他の世界では、国に使える神もいますから、神格を得ても天使ではなく騎士として人のために戦うことは普通です。」
王権は神に与えられた、見たいな話を歴史の教科書で見た気がするが、王に仕える神がいるのか。
「天界の武器や道具は神格が無ければ扱えませんから、地球で言う所の勇者という存在になることも多々ありますし、人に混じって生活し、神格を上げることなく寿命を終える方もたまにいます。」
「・・・なるほど。」
「ですから、広大な世界に対して天使が少なく、世界の性質上強いものを選んで送り込むのも出来ない以上、適正のある天使一人一人に我ら兄妹が直々に頭を下げているのです。 正直いってシュユ君のような他の世界では実力不足で入れないという天使希望者でもないかぎり我らの世界に入るメリットはあまり無いのです。」
「そうなんですか？」
「・・・ええ。 そうなの。 トラのいうとおりなの。 後で話すつもりではあったけど、実は世界が広いというのは天使からしたらメリットは少ないの。」
「広い方がいい気がするんですけど。」
「もちろんある程度の人がいるのは良いことだけど、広いとそれだけ人口が分散しちゃうし、神話も伝わりにくくなる。 つまり、仕事をしても感謝してくれる人は少なく、依頼は多い。 加えて話を伝える人の流れも広い大地は遅くしてしまう。 ・・・正直天使が少ないのはこのことも理由なんだよね。」
「ええ。 仕事は大変。 けれど旨みは少ない。 ・・・正直ある程度の実力があればうちの世界へ天使としていくのは無駄が多いのよ。 同じ努力をしても神格も神業も得られる量にも質にも差がある。」
「でも、困っている人のために頑張るのが天使なんですよね？ それではあまりにも・・・。」
「誤解して欲しくないのは天使は世界全体で見ても足りていないの。 だから天使にとって美味しい世界に希望が集中してはいるけれど、基本的に満遍なく天使が行き渡るようギルドの方々はがんばってくれています。 しかし、神界王様が造る世界は特殊な世界が多く、入れないというのはうちだけだけれど適正が無ければ神でも生活できない世界は多々あるの。 それにおよそ１００日に１つというペースで新たな世界が増えています。 消える世界はほぼ無いため外からの管理さえ出来ていない世界は多いわ。 地球には、八百万の神がいるそうだけど実はそのほとんどは地球から異世界へ天使として派遣されているの。 それでもなお需要に追いついていないのよ。」
「・・・そうだったんですか。」
「ええ。 うちは神王様のおかげで特別に入れる天使を優先的に紹介してもらえているけれど本人の意思が当然優先されるわ。」
「そう。 だからもしこの話を聞いてシュユの気が変わったんなら正直に言ってね？ 無理強いはお互いに良くないから。」
「妖魔や魔獣はどの世界にもいます。 うちの世界でわざわざ危険を冒す必要性は無いのです。」
「・・・ありますよ。 僕はその世界に入れる。 獣たちが、おそらく他の人たちも困っているはずです。 死ぬはずだったのに神になれた。 なら、僕が、天使がいれば助かる命を救うのは当たり前です。 義務感でも、負い目からでもなく自分の意思でそう思います。」
「・・・ふふっ。 やはりミズホの目に狂いは無かったのね。」
「うん！！ 今度ビール買ってあげようね。 姉ちゃん！！」
「僕の分も渡してもらえますか？ 妹にとっても僕にとっても命の恩人なんです。」
「そうね。 とりあえず、報酬の前払いとして地球上のビール全部ミズホにあなたからといって渡しとくわね。」
「・・・おねがいします。」
「妹よ。それはさすがにやりすｇ「シュユ君の感謝の気持ちとは釣り合っていないとでも？」・・・うむ。 無くなったら次は我輩が同じ量をシュユ君からだといって渡しておこう。」
あとで、小分けにしてもらおう。
でないと、何故か地球からビールが消えてしまう。
「それは別としてなにか力になるものをシュユに渡してあげないと。 何かあったら困るし。」
「そうね。 シュユ君の得意な得物はありますか？」
「基本素手なんですけど・・・サバイバルナイフとかトレンチナイフみたいな便利なのがあればいいとは思います。」
「ナイフねぇ。 トラ、持ってないの？」
「いや。 残念ながら。 ナイフよりも長い刃のある武器の方が有利ではないかと思うのだが。」
「狭い所とか、近づいて戦う場合だと振るよりも刺す方が威力が高くなるんですよ。」
「ふむ。では、設計図と欲しい機能をまとめておくといい。 出来次第知り合いの武器屋に作ってもらおう。」
「では、その代金は私が持ちましょう。」
「じゃあ、私は防具にしようかな？ シュユはどんなのが欲しい？」
「そうですね。 軽くて熱や水、衝撃や刃物に強いものが欲しいです。」
「それくらい普通だよ！！ もっとこう、サプライズな機能ないの？」
「ええっと。 じゃあ反作用の力を殴る力に上乗せするガントレット・・・とか？」
ベクトルを変換する人の技をあなたに。
キャッチコピーはこれだね。
「それ魔法でやりなよ。」
「・・・すいません。 平和な世界に住んでたので思いつかなくて。」
「そっか。 じゃあ神業を分けたげるよ。 どんなのが良い？」
モリリン様はたしか植物系の神様だったよね？
「じゃあ・・・植物と意思疎通できる神業とか・・・？」
純粋に便利な神業だと思う。
クイナさんの話に出てきてから少し欲しかった。
「そんなのでいいの？ でもシュユが欲しいならあげるよ。 で、猫は？」
「では、私も神業を。」
「へえ。 まさか妹と同じ数じゃあないわよね？」
「・・・２つ「え？ 聞こえないんだけど？」・・・３つ「からの？」・・・４つで。」
「まあいいわ。 あれあげなさいよ。 獣操れるやつ。」
「シュユはどんな神業が欲しいの？ こいつ戦闘狂だから色々持ってるよ？」
「じゃあ、獣と会話できる・・とか？」
「・・・シュユはお話好きなの？」
「いえ。 妖魔の目撃情報とか特徴を聞けるかな・・・と。」
「たしかにそういわれると便利そうね。 あと３つはどうする？」
神龍をいきなり呼び出されたらこんな気分なんだろうか？
意外と思いつかない。
「常に身体能力が上がるやつとかありますか？」
「・・・では私の持つ神業で一番良いのを渡そう。 あと２つだ。」
・・・姉妹の視線を感じたのだろう。
「あと２つ・・・。 すばやく走れる・・・とか？」
「地味なのばっかだね。 あと１つは？」
「拳や蹴りの一撃を重くする・・・とか大丈夫ですか？」
「・・・問題ない。」
「じゃ。私の祝福あげるね。 そおい！！」
「では、私も渡そう。 ふっ。」
「ありがとうございます。」
「なんか私だけ地味ね。 じゃ私も神業を、はい。 どんな効果かは後で確認してね。」
このあと、ギルドで天使として登録したあと最高神様たちと別れた。
もちろんカード交換もした。
ドゥラリン様と武器屋へ行くのは明日の朝１０時からとなった。
・・・神業を確認しておこう。
神業８(１)
・・・新しいのは
植物との会話術 あの花を口説く１００の言葉
発動条件 常に発動
効果 植物と意思疎通を可能にする。 植物型の妖魔や魔草とは不可能。
サルでも分かる獣会話術
発動条件 常に発動
効果 獣との会話を可能にする。 獣型の妖魔や獣魔とは不可能。
生体加速
発動条件 クロックアップと発声する。
効果 魔力を消費して物理法則を捻じ曲げ、すばやく動き回れる。 肉体への直接的なダメージはないがこの神業の発動中に常に発動する神業以外の行使は不可能。
鬼神の加護
発動条件 常に発動
効果 邪神たちに鬼神と恐れられた天罰神の加護。 己の正義を貫こうとするものに力を与え、その拳は魂を砕き皮膚は魔剣さえ弾く。
旋風
発動条件 蹴りを放つ。
効果 放った蹴りを中断し別の高さへと威力の増した蹴りを放つ。 連続使用は不可能。
大地の抱擁
発動条件 地面に寝転ぶ。 魔力が減少している場合のみ発動。
効果 大地からマナを吸収し魔力を回復する。 魔力が満たされると効果は消える。
空き１
・・・ガチすぎるのが混ざってる。 てか完全にドゥラリン様のだけど。
それ以前に神業なのに名前がアレだね。
チート(養殖)の誕生です。
神業の元ネタは気にしないでください。
ただ敢えて言おう。 原作を愛していると！！
