第1話 悪夢の序章
――――8月1日――――――――
夏休みになってから初めて顔を会わせる美咲たち4人。今日は映画を見るため、駅で待ち合わせ。待ち合わせの時間は8時半なので、美咲はいつも通り10分前に駅に着いた。
5分後、美奈と美琴が一緒に来た。
「「おはよう!」」
「おはよう! 美帆は一緒じゃないんだね」
「来る途中で美琴に会ったからね」
「それじゃあ、ぎりぎりに来るかな?」
超天然である美帆は待ち合わせをすると4、5割の頻度で時間ぎりぎりに来る。しかし、遅刻はないという不思議な子なのである。
それから4分後の8時29分に1台の車でロータリーに止まり、美帆が出てきた。
「遅れてごめん!」
「ぎりぎりセーフだよ!」
「「おはよう!」」
美帆が遅刻しない理由は遅れそうになっても車で送ってもらえるからだ。
(またベンツで送ってもらうなんて……)
美咲は呆れて溜息をついた。
4人は電車に乗り、新宿へ向かう。場所は、新宿駅前にある新宿シネマシティ。座席数623席と広く音響や画質も良く、毎回満席になるほどだ。そのため、予約をしておいた。
「映画、楽しみだね!」
「そうね!」
「私なんか楽しみすぎて眠れなかったわ!」
「それで遅刻ギリギリになったのね」
美咲にツッコミは図星だったらしく、あははは……と、美帆は苦笑い。
新宿シネマシティに着た4人はチケット売り場でチケットを買い、上映時間を待った。
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11時40分。映画が終わり、昼食は何にするか話しながらロビーに向かう。すると、ロビーで見覚えのある4人と出くわした。
「あれ、上条さんに北村さんに斎藤さんに美島さんじゃん」
その4人とは、拓海、祐輔、雅樹、俊だ。
「4人も映画見に来てたのか?」
「そっちも?」
「何見たの?」
「●●●――――」
拓海たちが見たのは、アクションコメディ映画だった。
「斎藤たちは?」
「こっちは○○○――――――――よ」
美咲たちが見たのは、ミステリー映画だ。
両方ともシリーズ作品で今作は劇場公開からまだ1ヶ月しか経っていないにも拘わらず週末興行収入が4週連続で8億を超えている。
お互いに観た映画の話をしていると、俊が一緒に昼食をとらないかと提案してきたため、一緒に食べることになった。どこで食べるか相談していると、雅樹がバカ高い店の名前を出してきたので、美咲が睨みつけながら却下した。結局、新宿駅の目の前にいるため、都庁の食堂で食べることにした。
昼食を終えた美咲たちは、これからどうするか話した。
「カラオケでも行く?」
「ボーリングはどう?」
「バッティングセンターは?」
あれこれ話していると、美咲は用事を思い出した。美鈴が愛読しているライトノベルの新刊を買ってきてほしいと頼まれていたのだ。
「悪いんだけど本屋寄っていいかな?」
「いいよ!」
「大丈夫だよ!」
全員の了承を得たので美咲は紀●國○書店に向かった。拓海たちも美咲についていきいながらどうするか相談している。
紀●國○書店に着くと美咲は頼まれていた本とついでに美咲が読んでいる漫画とライトノベルと美月と美春が読んでいるライトノベルもそれぞれ新刊が出ていたので購入した。
美咲が本をレジに並んでいる間にボーリングに行くことが決まった。
「お待たせ!」
「ボーリングに決まったけど、よかったかな?」
「大丈夫よ。でもその前に銀行によっていいかな? お金下ろさないと」
「いいよ。それじゃあ、行こう」
紀●國○書店を出て銀行に向かって歩いた。銀行は紀●國○書店を出て右に曲がって100mほど先にあるため、その角を拓海たち曲がり、一番後ろにいた美咲が曲がろうとした。
その時だった。
何故か美咲が立ち止まった。




