第13話 お礼のお弁当
翌朝、いつも通り美咲は美幸分と自分の分のお弁当を作っている。
(今日のお弁当は、唐揚げ! あいつの分も作るか、昨日のお礼に)
なぜそんなことを考えたのか美咲はわからなかったが、もう1つ弁当を作り始めた。あいつとはもちろん拓海のことだ。
「できた!」
美咲は作った弁当をそれぞれ赤、ピンク、青のナフキンに包んだ。赤のナフキンの弁当は美幸、ピンクのナフキン弁当は美咲、残った青のナフキンの弁当は拓海のだ。
「美咲、お弁当できた?」
「できたよ。はい!」
美幸に赤のナフキンの弁当箱を渡した。
「ありがとう!」
美幸は弁当をバッグに入れると着替えに寝室へ戻った。それと同時に、美鈴と美月と美春が家を出た。
「「「行ってきます!」」」
「いってらっしゃい!」
美咲はキッチンを片付け、ガス栓を閉めると、弁当箱を持って、着替えに部屋に戻る。すると、美幸がドアを開けた。
「それじゃあ、戸締まりよろしくね!」
「うん。いってらっしゃい!」
「行ってきます!」
美咲は制服に着替えると、バッグに弁当箱を入れ、すべての窓の鍵やTVの電源などを確認して家を出た。
美奈と美琴と美帆と待ち合わせ、いつも通り学校へ向かった。
学校に着くと、教室には拓海以外誰もいなかった。
(今のうちに渡しちゃおう!)
美咲はバッグを開け、弁当箱を取り出し拓海の元へ。
「おはよう、黒田」
「ん、おはよ」
「昨日はありがとう」
「いいよ」
「これ、昨日のお礼」
「別にいいのに。昨日、夕飯ご馳走になったんだから」
「あれだけじゃ、私の気が済まないわ!」
「……わかった。それじゃあ、有り難く受け取るよ」
美咲は自分の席に戻ると美奈たちが詰め寄ってきた。
「美咲!」
「黒田に話しかけてどうしたの!?」
「しかも、何か渡してたし!?」
美咲は昨日のことを3人に話し先程のやり取りについても話した。3人は納得したが、少々不満そうだ。
「黒田のくせに美咲のご飯をご馳走になるなんて!?」
「そうよ! しかも、お弁当まで食べるなんて!?」
「私たちだって美咲の作ったお弁当食べたいのに!?」
3人のその言葉に美咲は苦笑い。
「今度3人にも作ったあげるから」
「「「ほんと!?」」」
「うん」
「「「約束だからね!」」」
再び苦笑いする美咲だった。




