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最強美少女と最強男子  作者: キシゲ イシン シヨウ
第3章
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第10話 偶然

 走ってくる足音がしたため、美幸は素早く振り向くと、男がナイフを握って走ってきた。

「(ナイフ!?)」

 さすがの美幸でもナイフ相手に構えずにいるのは無謀なため、空手の構えをして、戦闘態勢に入る。

 男はそのまま突っ込んできたため、ナイフを避けると男の腹部に前蹴りを入れた。ハイヒールの前蹴りを食らった男は後方に吹っ飛んだが、すぐに立ち上がり再び突っ込んでこようとした。ところが、男は後方から誰かに横っ腹を蹴られ、壁に衝突して気絶した。

 男を蹴り飛ばしたのは、青城大付属高校の制服を着た金髪の男子だった。

「大丈夫ですか?」

「ええ。助けてくれてありがとう!」

「いえ、男として当たり前のことをしただけです。それより警察に連絡をしないと(斎藤に似てる)」

「そうね」





 5分後、警察が来て男たちは連行された。後日、美幸と金髪の男子は事情聴取をすることになった。

「それじゃあ、俺はこれで」

「あ、ちょっと待って! 助けてもらったお礼に夕飯をご馳走させて」

「ですが……」

「私の家、ここから近いの」

「……わかりました。それじゃあ、ご馳走になります」

 美幸は金髪男子と自宅へ向けて歩きだした。



「君、青城大付属高校の生徒よね?」

「はい」

「うちの娘もそうなのよ」

「そうなんですか。それにして、さっきの格闘シーンは凄かったですね。何か武道を心得でもあるんですか?」

「学生時代に合気道をね。あと空手を少々。空手なら、娘の方が凄いけどね」

「娘さん、空手を嗜んでいるんですか(もしかして、この人……)」

「長女は空手と柔道と合気道の3つね。次女は柔道と合気道、一番下の双子は空手と合気道をね」

「4人のお子さんがいるんですか!? とてもそうには見えません」

「よく言われるわ! そのせいでさっきみたいにしょっちゅうナンパされるのよ。娘と一緒でもね。着いたわ。ここのマンションよ」





 6階でエレベーターを降り、607号室の前に来たとき、金髪男子が口を開いた。

「何となく、そんな気がしていたんですけど……」

「何が?」

 そう言いながら鍵を開け、ドアを開ける。

「さあ、入って!」

「お邪魔します」

 金髪男子は靴を脱いで美幸の後をついて行く。廊下の先のドアを開けて見えたのはリビングだった。


「ただいま!」

「お帰りなさい! 今日は早かったね」

「上手くいったからね」

「そうなんだ。ところで誰かいるみたいだけど、お客さん?」

「ええ。帰りにナンパにあって揉めてたところを助けてくれたの」

「へえ」

「さあ、こっちに」

 美幸が手招きするので金髪男子はリビングに入り、美幸と話していた相手である美咲と顔を合わせた。

「えっ……、黒田……」

「お邪魔します……」

 金髪男子は拓海だった。

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