第8話 斎藤家の実力(美鈴編)
「「美鈴ちゃん!」」
それは2人の姉である斎藤美鈴だった。美鈴は生徒会長であり、バスケ部部長でもある。
「あんたたちは、もうすでに警察行きが決まっているのよ。大人しく降参しなさい」
「ふざけるな、この尼が!」
「切り刻んでやる!」
余りにも冷静に言う美鈴にキレたヤンキーたちは3人に突っ込んでくる。美鈴は2人の前に出て正面から来た奴を前蹴りで蹴り飛ばす。前蹴りを食らった奴とその後ろにいた2、3人は飛ばされた勢いで地面に思いっきり背中を叩きつけ、戦闘不能。斜め前から来た奴を合気道で次々と投げ、全員を地面に背中を叩きつける。
そして、残った3人を腕がらみと脇固めをきめ、最後の1人を得意の背負投で投げ、全体重をかけて地面に叩きつけた。美鈴はものの1分で片してしまった。
そのあと、先生が呼んだ警察が到着し、ヤンキーたち全員は連行されていった。
「2人とも、無闇に出ていかない!(怒)」
「「ごめんなさい……」
しょんぼりする2人を見て、美鈴はため息をつく。
「2人は美咲ちゃんと違って空手と合気道しかできないでしょ」
「「うん……」」
「私も柔道と合気道くらいしかできないから、人のこと言えないけど。今度からは無闇矢鱈に行動せず、まずは口で相手を丸め込んでからにしなさい」
「「はい」」
美鈴は説教を終えると2人と校舎に入っていった。
放課後、美鈴は部活に行く。
「失礼します! ――――――――――――」
バスケ部部長である美鈴は顧問の先生のところに行って今日の練習メニューを聞いてから部室に行く。部室に着くと、数人の部員が来ていた。
「あ、キャプテン! ちわーす!」
「「「「「ちわーす!」」」」」
「美鈴さん、今日のメニューは?」
「今日は昨日と同じよ」
練習を始めて1時間半が経ち、1on1を始めた。1on1で負けると、壁から壁までを2往復ダッシュの罰ゲームがあるため、みんな真剣にやる。美鈴はいつものように容赦なくシュートを決める。そのシュートは、ジャンプシュート、レイアップ、3P、さらにダンクシュートまで。ちなみにダンクシュートは美咲から教わった。1on1では誰も美鈴に勝てず、全員走らされる。
「美鈴、強すぎだよ……」
「少しは手加減してー!」
「何言ってんのよ。2人ともレギュラーでしょ。そんなこと言ってると後輩にポジション取られるわよ」
休憩時間も美鈴はあらゆる角度からの3Pの練習をしている。美鈴のシュート率は途轍もなく高く、まず外すことがない。そのため3on3や5on5でも無敵の強さだ。
もうじき都大会が始まるため、美鈴はどんな時でも練習する。千歳台中は現在全中3連覇中で3年間負けなし。そのため、かなりのプレッシャーがかかっている。
「5on5、始めるわよ!」
5on5を始めると、全員本気でプレーする。パスやドリブルのスピードが途轍もなく速い。それでも美鈴はパスをあっさりカットし、そのまま一気に4人抜いてダンクを決める。まるで美咲のように……。