第2話 青城大附属成城中最強の4人
美咲視点です。
入学式の翌日。
私は昨日と同じ時間に家を出て駅に向かった。駅で美奈たちと待ち合わせると昨日と同じ電車に乗った。
恵比寿駅から学校へ向かっていると擦れ違う人たちがみんなこちらを振り向いてくる。
今日も3人に見蕩れてるばっかり。3人とも超美人で可愛いから仕方ないか。
「どうしたの、美咲?」
「いや……また3人のことを見ている人いるなぁ。と、思ってね」
「いつものことだね」
「『男女』とか『鬼』とか『魔神』とか言われてる私には無縁なことだけどね」
「「「え!?」」」
「しかも美奈はサッカー日本代表のキャプテンで現役最年長選手の娘、美琴はスポーツメーカー社長の娘で、美帆はすかいほーくグループ総帥の娘。それに対して私は一般庶民」
(美咲ったら、自分のことにはほんと鈍感だよね!)
(そうそう! 美咲が一番美人なのに“中の中”としか思っていないもん)
(しかもこう言っているけど、まるで気にしてないしね)
「まあ、どうでもいっか!」
そう言って私たちは正門を通って校舎に向かった。
私たちが教室に入ると、教室は女子でいっぱいだった。
「何だろ? この人集りは」
私は美琴に聞くと美帆が答えた。
「多分、例の4人じゃない?」
「例の4人?」
(例の4人って、あの……)
「“青城大附属成城中最強の4人”よ」
青城大附属成城中最強の4人とは、青城大附属成城中からの内部進学者である大迫駿と椎名雅樹と高橋祐輔と黒田拓海のことだ。
黒のツンツンはねた短髪の男子が大迫駿。彼はイケメンでかなりモテている。中学時代は、うちらの中学である千歳台中サッカー部の全大会の優勝を阻んだ成城中サッカー部のエース。
彼の父親は大手広告代理店電報の代表取締役で、母親は有名デザイナーで有名スタイリスト。双方の収入はかなりの額だとか。
茶色の短髪の男子が椎名雅樹。彼は大迫と同様にイケメンでモテる。中学時代は、これまた千歳台千歳台中男子バスケ部の全大会の優勝を阻んだ成城中男子バスケ部部長。
彼の父親は有名なハリウッドのアクションスターで、母親はハリウッド女優というなんとも豪華な親だ。そのため、収入が途轍もない額だ。
黒のサラサラした短髪の男子が高橋祐輔。彼も大迫や椎名と同様にイケメンで超モテる。さらにこいつも中学時代、中野球部の全大会の優勝を阻んだ成城中野球部の4番打者。
彼の父親は高橋製薬の社長だ。高橋製薬は年商2兆円を超える会社で世界的にも有名だ。
そして、エメラルドグリーンの瞳で色素の薄い金髪の男子が黒田拓海。こいつも3人と同様にイケメンで超モテる。さらに私と同じで 全国中学校柔道大会と全日本ジュニア柔道体重別選手権大会と全国防具付空手道選手権大会3連覇、小学生・中学生全国空手道選手権大会9連覇、近代柔道杯全国中学生柔道大会と全日本選抜柔道体重別選手権大会と世界ジュニア柔道選手権大会で2連覇、世界柔道選手権大会と全日本柔道選手権大会で優勝までしている。
こいつの父親はKURODAグループ総帥であり、黒田商事のCEOでもある。黒田商事は世界有数の大企業で年商5兆円を超え、KURODAグループ全体では年商80兆円を超えるらしい。
この4人、頭脳明晰でスポーツ万能の文武両道である上に憎らしいほど超イケメンでお金持ち。モテて当然だが、私はあまり気に入らない。と、いうか好きじゃない。
私たちはこの4人と同じクラスというなんとも不幸なことだ。