第6話 断る!!!
「可愛いからって汚い手で触るな」
声と一緒に美咲の腕を掴んでいた男の手が放れ、誰かに抱え込まれた。
(!?)
その声は美咲が知っている人物のものだった。
「熱っ!! 大丈夫、斎藤?」
そう言って拓海は美咲の額に手を当てると、かなり熱く、顔を見ると真っ赤だった。
「「「く、黒田!?」」」
「誰かと思えば、中学時代よくうちの学校に喧嘩を売りに来て、いつも俺らに返り討ちにされた奴らか」
「「「す、すいませんでしたー!!」」」
チャラ男たちは全力でその場を去った。
「……ありがとう……黒田……」
「どういたしまして。だから、ゆっくり休みな」
拓海の言葉を聞くと、美咲は眠りについた。
(…………ん………ここは……私の部屋……)
気が付いた美咲はここが自分の部屋であることを確認。どうやら店長が連絡して美幸に迎えにきてもらったようだ。今、何時なのかと、時計を見ると、時計の針は12時を指している。この部屋には窓がないため、昼なのか夜なのかはわからない。そこへ、美幸がお粥を持った。
「具合はどう?」
「まだ少し熱があるみたい」
「そう。もう頑張りすぎないでね」
「うん。今、夜?」
「お昼よ。お粥作ったけど、食べる?」
「うん」
美咲はお粥を食べ、また眠った。翌朝には完全復活した
月曜日――――――――――――
拓海は昼休み、時々校舎の屋上の端で昼寝をしている。金曜日のお礼を言うために、美咲は屋上に向かう。
屋上に出ると、偶々なのか生徒の姿はなく、隅の方を見ると拓海が横になっていた。
「黒田、起きてるか?」
「ん? 何、斎藤。どうかした?」
「金曜はありがとな」
「別にいいよ。そんなこと」
「そうか。だが、貸しを作るのは好きじゃないからお礼をしたいんだが、何も思いつかなくてな。何かないか?」
「………それじゃあ、俺の彼女か俺だけのメイドになって」
「どっちも断る!!!(怒)////////」
美咲は顔を赤くして怒鳴ると、その場を全力疾走で立ち去った。
(何なんだよ、あいつ! これじゃあ完璧に某少女漫画にそっくりな展開じゃない! 一体あいつは何がしたいのよ!? これだから金持ちの考えていることは理解できないのよ!)
美咲は頭の中がパニック状態になるのであった。
「………やっぱり、まだ無理か………」
誰もいない屋上で拓海は呟き、立ち上がって先程まで美咲がいた方を向き、今度は笑みを浮かべて呟いた。
「………頑張るか………俺のことを好きになってくれるように………」